手のひらから後方へ流れ出る熱

 私は手袋をふたつ持っている。ひとつは通勤用のニット。一応指先部分がスマートフォン対応になっているが、生地が厚ぼったく狙ったポイントを触れないのでその活用したことはない。ひとつは自転車用のスウェード風合成皮革。既製の革手袋は手の甲の幅が広い私の手は入らないことが多いが、裏起毛のこの手袋は楽に手を出し入れできるので気に入っている。ちなみに偶然どちらも青み寄りの孔雀色だ。
 先日自転車で遠出した時は、当然後者のスウェード風手袋をしていった。しかし体温が上がりとてもではないが手袋をしていられなくなった。特別暖かい日ではなかったのだが、内側の熱気に手袋もマフラーも外してしまった。あれだけスピードを出しても冷たさを感じないとは、速度に丹田の熾火が立ち上がったか。
 この冬この先も自転車での遠出を計画している。しかしスウェード風手袋であれだけ暑いとなると、第三の手袋、夏の遠出で使った指ぬき手袋を出さなければならないか。実際快適であったし、指ぬきタイプはそのまますぐにスマートフォンを操作できて便利であった。だがあれはグレーのアウトドア用、冬の自転車には“ちぐはぐ”ではないか。でも使えなくはない。一目惚れするような自転車用手袋に出会うまではあのグレーの手袋を使っていこう。
 晴れた冬の日、また出掛ける。


今日の英語:Head wind

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