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凡慮、運河に釣行す #2

 今日も先週と同じく天気は「午前は晴れるが午後は青天の霹靂の可能性あり」の予報だった。知るか降ったら濡れるその覚悟はできている今日の釣行を楽しみに一週間を乗り切ってきたのだと、先週と同じ荷物にレインコートだけ追加して出掛けた。

 雨の可能性もあるし今日こそは早く出掛けようと思っていたのだが、結局先週と同じような11時少し前出発になってしまった。場所も同じ運河だが、今回は少し気分を変え対岸に位置を取る。仕掛けの組み立ては前回より若干素早く、11時30分には釣竿を振ることができた。仕掛けは同じくハゼ釣り用の天秤だ。

 挑戦の場をここに選んだのは自宅から近いということもあるが、都内の釣り場案内サイトでハゼ釣りに適していると紹介されていたからだ。実際左右対岸見渡せば釣竿を構えた姿がいくつも見える。が、どうやら私には相性が悪いらしい。憂鬱になるくらい仕掛けをロストする羽目になる。

 前回の教訓を活かして今回は来る途中のコンビニでおにぎり1個と甘くはないカフェラテを購入した。これで切ない思いをせずに釣り場に立ち続けることができる。
 しかし、静かだ。前回は運河の奥にある公園からはしゃいだ幼い声がひっきりなしに聞こえていた。今はそれがない。時折、緊急事態宣言のため滑り台と駐車場が閉鎖になっているというアナウンスがながれるだけだ。

 満ち潮の時間であったらしい。少しずつ水面が近付いてくる。
 前回は仕掛けが根掛かりしてもどうにか引き上げることができた。しかし今回は違う。こちらの河岸は対岸に以上にオブジェクトが多いのか、5投目あたりだったか、太刀打ちのできない根掛かりが発生した。糸を緩めたり引いたり、足場を左右に移動してみたり。上下左右に角度を変えても全くびくともしない。ついにフッという感覚と共に仕掛けが糸から外れてしまった。

 しかも糸を手で引いて離した時の反動で手袋の表面が切れてしまった。買ったばかりなのだが、肌が切れるよりましと思うしかない。
 おにぎりを食べて気を取り直し、前回使った仕掛けを再度装着する。これは根掛かりから何度も復帰したものだから今度は大丈夫だろう。と思ったのだが、2投ほどの根掛かりであっさり切れる。……海釣りは道具が痛みやすいし、仕掛けはほぼ使い捨てと言うが。水中に針とナイロン糸をロストしたかと思うと気が落ちる。

 しかし仕掛けの素材を言っていたら釣りは始められないし、ロストした分の倍のゴミを拾って帰ればよい。
 自然に親しむことは、時に自然を傷つける。
 諦めようかとも思ったが、まだ仕掛けはもう1セットのストックがある。ここで撤退したら初心者は脱せない。場所を移動し新たな仕掛けをセット。これが最後と投じたら本当に最後になった。1投目で根掛かりロスト。もうあきれ果てた。
 釣る術を失ったため撤収。足元の岩に挟まっていたペットボトル2本と釣糸ひと塊、何かのパッケージを拾って自転車に乗ったのが14時。帰り道に職務質問はされるし、これはもう『散々な一日』と総括するしかなかった。

 次回は三度目の正直といくか二度あることは三度あるとなるか、悩むところだ。


今日の英語:Misfortune

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