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凡慮、運河に釣行す #5

 目的地近くになって腕時計を忘れたことに気付く。

 本日は前回と同じ運河に挑戦する。仕掛けも同じくハゼの浮き釣り。開始は約13時、水面はまだ堤防の床面から30cmほど低い位置にある。これがまた満ちてくる、その光景が待ち遠しくもある。

 前回は沖を遡上する小型船を頻繁に見掛けた。今回は釣り始めた時間が前回より早いためか数は少ない。それでも船が通ると速度がなくてもかなり高さの波が発生する。今履いている靴は通気性は良いのだが水を全く弾かない。こうした釣りや雨の日の外出用に防水の靴がやはり欲しい……。
 そうこうしているうち、開始より約30分、ヒットする。

 軽い抵抗を感じ、最初は川底の藻にでも引っ掛かったのかと思った。しかし引き上げてみれば初の釣果。7cmほどのハゼだ。

 適当にそれらしい道具を揃えて始めた釣りでも運が良ければ釣れるのだと感心する。しかし小さすぎて食べてしまうのが申し訳なくなる。
 初めてバケツに獲物を入れてさらに釣りを続ける。しかしその後は手応えらしきものは感じるが全く釣れなくなった。目を凝らすと水中に魚影らしきものが見えるのだが。何度か竿を振るうちに根掛かりをおこしまた仕掛けを水中に失くしてしまった。すぐに替わり仕掛けを結び直すが、やはり水に対して申し訳なくなる。
 そうしている間にも水面は上昇していく。

 釣りをする時はいつもコンビニのおにぎりなどで腹ごしらえするのだが、今日は朝食をしっかり食べすぎたせいか全く食欲がわかない。買ったおにぎりは持って帰るしかないな。

 水際が岸を登り始め、竿の長さが対応できなくなる。14時半頃に撤収を開始したところ、下流の方からやってきた小父さんに声をかけられた。
 もう釣りの経験年数は半世紀近いであろう小柄な小父さんが、私が唯一の成果であるハゼを持ち帰ろうと氷水に入れようとしていると「それ持って帰るの?だったらこれもあげるよ」と白いきれいなハゼを2匹くれたのだ。おそらく小父さんはハゼ料理には飽き飽きするくらい釣っているのだろう。ありがたく頂戴し、ついでにこの運河の釣りについて少し話を聞くこともできた。この運河でならもう少し上流に行けば今シーズンはまだ釣れるとのこと。
 今度行ってみよう。



今日の英語:Result

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