レプタイトルテ:フルーティ #35個目

 結論から言うと、手遅れだった。
 一昨日リンさん(ヒョウモントカゲモドキ)の左目の異常を見つけ、昨日爬虫類にも対応してくれる獣医院を探して予約し、今日その獣医院を受診した。獣医院は我が家から自転車で15分の距離。リンさんにはプラケースに入ってもらい、予約の30分前に出発した。
 柑橘のようなアロマオイルの香りのする待合室、大丈夫だろうか。
 医師の診察。リンさんの左目は“かさぶた”で塞がっている。おそらく角膜に傷が付き、眼球内部から液体が漏れ出てきたことが原因。原因はおそらく、私が脱皮で剥がれず左目蓋に残っていた皮を強引に取り除いたこと。その時にできた傷をリンさんが繰り返し舐めたため、傷が塞がりきらず液体が浸出し続けてしまった。
 もうこの“かさぶた”は剥がれることはなく、視力も失われている。
 心当たりはあった。確かにリンさんの左目周辺に残った皮をピンセットで剥がしている。良かれと思ってやったことだが、それが失明に繋がっていたとは……。
 後悔と申し訳なさ、取り返しのつかないことをしたことで視界が褪せる。ただ救いなのはリンさんが左目を除けば健康体であること。脱皮にさえ気を付ければ寿命を全うできると獣医に言われたこと。リンさんを健康に生き長らえさせるという目標に償いの気持ちが追加された。
 再びリンさんにプラケースに入ってもらい自転車で帰宅する。気落ち、低気圧も加わり気力が湧かない。今日はケージのサーキュレーターだけ設置して稼働を開始させる。他の掃除はまた明後日だ。
 それでも幸せにしたいし、今こそ美しい。


今日の英語:Broken

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