泡沫を綴る

 日常の流れの中に立って、波の煌めきを掴もうと手を伸ばす。
 私はタイトルを決めるのが苦手だ。シンプルに名詞で決めることができない。どうしてもこねくり回して、いかにも「ないか言いたげな」動詞で切ってしまう。
 たまに漫画家で「あ、この人はただの『イラスト』を描くのは苦手なんだろうな」と感じる人がいる。そういう人はどことなく構図が硬かったり、表紙・裏表紙(もしくはカバー下)でミニマムな漫画を作っていたりする。それが悪いというわけではなく私が勝手にシンパシーを感じているだけだ。
 私のタイトル云々はおそらく優柔不断な性格がそうさせているのだろうが、そもそも私は日記で扱う内容にバリエーションが無い。いつも空や雨や音楽や本、あとは猫とか爬虫類とか。そういった日記のタイトルをシンプルにしてしまうと、いつかネタ切れになるか間違いなく気付かないで重複する。なので何とかして、この文章を表すただひとつのセンテンスを、ぐねぐね考えた挙句に回りくどい言葉になってしまう。たかが数百文字程度の文章、そこから一瞬で結晶を生成する方法はないのだろうか。
 そうして掬いきれず掌に残ったものを見つめ、何を編めるかと思考する。


今日の英語:Title

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