覚えていなかったことを覚えている

 私はどういう段階を経て文字を記憶したかは覚えていない。ただある時点では片仮名を暗記していなかったかは覚えている。
 私が小学校2年生の時、国語の授業でカタカナの書き取りテストがあった。その時どうしても思い出せない文字があった。どう首を捻っても思い出すことができず「あああの表があったら」と想ったのだ。その表とは片仮名の五十音表で、小学校1年生の時には教室に貼ってあったのだ。
 その五十音表は平仮名と片仮名の2種類あり、廊下側の壁の天井近くに貼られていた。それがあればテストの回答が分かる、まあつまりはカンニングできるのにと嘆いたのだ。ちなみに私がどの文字を記憶できていなかったのかテストの結果はいかほどだったのかは全く覚えていない。ただその数秒の記憶が鮮明に残っているお陰で、私は小学校2年時にはまだ片仮名を暗記しきれていなかったというマイナスの一里塚となっている。
 文章のデジタル化が進み文字を書く機会もめっきり減った。それでも読むということ読めるということはこの上なく快楽をもたらすスキルであることはいつまでも変わらないだろう。


今日の英語:Memorization

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