保温と保安の両立

 冬にマスクをすると顔が暖かい。これは非常なメリットである。その一方、私のような視力の悪い人間にはある死活問題も発生する。
 眼鏡が曇る。
 マスクから漏れる呼気で眼鏡が曇る、これは脅威である。特に夜間は危険以外の何物でもない。空気が冷たいと視界が真っ白になって塞がれる。かといって眼鏡を外せば、哀しいかな乱視の視力、歩道の段差の高さも覚束ない。街灯のある市街地を歩くだけで正しいレンガを踏まなければ落下する配管工の状態になってしまう。
 なので冬場は眼鏡に曇り止めは必須だ。少しでも呼気で曇るようなことがあれば、帰宅後念入りに眼鏡を拭いて強力な曇り止めで磨く。現代の科学は素晴らしいもので数百円の曇り止めでも劇的に効果を得ることができる。これがモノクロ写真の時代だったら、私は無事に通勤どころか通学できていなかったかもしれない。
 来年の冬、COVID-19がいかなる様相かは何も予想がつかない。いずれにしても私は保温のためにマスクをして、マスクのせいで曇る眼鏡を磨いているだろう。


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