無脊椎動物ソーティング

 世代も定かでなくただひたすらにざわめき続ける。
 リンさん(ヒョウモントカゲモドキ)の食餌用にミルワームを飼育している。しかし冬期の現在、リンさんはミルワームを週に1,2匹食べるか食べないかだ。だからといってミルワームの飼育を放棄するわけにもいかず、あてもないままミルワームは繁殖し続けている。
 毎日の作業としては成虫用ケースから死骸を摘出し、幼虫用ケースから蛹を蛹用ケースに移す。蛹用ケースの中に羽化している成虫がいれば成虫用ケースへ。ブロッコリーやキャベツの芯があれば成虫幼虫にそれぞれ与えて1日経ったものは廃棄する。
 冬期はミルワームも活動が落ちるのだが、それでも少しずつ床材の「ふすま」は消費されていく。日が経つにつれ灰色に入れ替わり“臭い”もしてくる。ある程度劣化したら交換しているのだが、他のミルワーム飼育者はどのように床材を交換しているのだろうか。
 成虫は小さなものでも1cmはあるので、床材ごと目の粗い「ふるい」にかければ簡単に分離できる。しかし幼虫は直径が0.5~3mmと幅があるため成虫と同じ「ふるい」では全てを分離できない。かといって目の細かい「ふるい」では、今度は目に「ふすま」が詰まってしまう。仕方無いので幼虫は分離は、目の粗い「ふるい」で大型の幼虫を取り除き残った「ふすま」の幼虫が入っていないあたりを小型シャベルで取り去る、というとても手間のかかることをしている。
 余剰のミルワームは捨ててしまえば楽なのだろうが、動物は動物。迂闊な棄て方をして外来種として生存されても問題であるし、捕食者たるリンさんの寿命が尽きるまで生きてもらわねばならない。
 床材を入れ替えても昨日と同じに蠢き続ける。昆虫を幸せにすることは人間には可能なのだろうか。


今日の英語:Cabbage

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