ネコーヒー:ストレート #29杯目

 そのお寺の場所は正確には分かっていない。あの幹線道路と線路の近く、ということは分かっている。

 正確に把握するつもりはない。その近くを自転車で走って“偶然通りかかる”楽しみのままにしたいからだ。

 そこにいる猫は大抵辛辣な目付きをしており簡単には近付けない。でも私はそれでいいと思っている。彼らはあの地域で共生している半野生動物なのだろうから。

 そのお寺の門は開かれている。が、私はまだ中まで入れていない。私は檀家でも信徒でもなく、そして門の内側は猫達のテリトリーであることを強く感じる。

 なので私は境界から眺めて写真だけ撮らせてもらう、その距離感が最善なのだろう。

 そしてまた偶然を装って猫の観音を拝みに行こう。


今日の英語:Boundary

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?