アカーシャーの記録

 太陽の無い時間に目を醒ました。
 蒼白い虚空のような森。ヒグラシが鳴いている。あたり一帯にヒグラシが鳴いている。昼も夜からも切り離された中空。ヒグラシが波紋のように鳴いている。
 どこにも誰もいない。自分の正体さえわからない。ただヒグラシが鳴いている。ヒグラシだけが鳴いている。
 瞬間だったのか、深淵だったのか。何とも合致しない正体不明の時間。

今日の英語:Void

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