生活の隙間に適する細部

 容姿に表れない創意工夫。その内蔵の見事さに感心する。
 今私は真空ステンレスボトルを2本持っている。最初のボトルを買ったのは衝動だ。よく行く山羊印コーヒーで、コーヒー豆の販促品としてボトルが売られていた。青の幾何学コラージュ模様、しかも限定品。ここで優柔不断を発揮しては後悔すると勢いをつけて購入した。
 後で知ったのだが、そのボトルは一流の真空魔法瓶メーカー品だった。そのためかすこぶる使い心地が良い。すっかり魅了され長く愛用していたのだが、あるとき転んだはずみでボトル外側が曲がってしまい真空魔法の機能を失ってしまった。あまりに悲しかったので、そのボトルは予備に保管し同タイプのボトルを新たに購入し現在使用している。
 そのボトルの構造には申し分ないのだが、冬の喉が渇かない時期になると容量が多少過剰になる。容量の少ないタイプを同メーカーで探したのだが残念ながら理想と合致するものが見つからず、とりあえずと他メーカーのボトルを購入した。
 そうしたら残念なことに使い心地が悪い。真空断熱機能も水漏れ対策のパッキンも問題ない。デザインだって私の趣味で選んだものだ。しかし肝心の液体の流れが悪い。中のお茶を飲もうと傾けても滑らかに流れてこない。いちいち≪しゃっくり≫のようにつっかかる。このボトルだって作ったのは一流の家電メーカーなのだが、ボトルの製作はまだ軌跡を追うポジションのようだ。たかが水筒であっても細部に計算の妙が生きてくるのだ。
 違和を感じさせない使い心地。沈黙の匠に頭は下がる。

今日の英語:Water bottle

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