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息子とレゴリラな旅 そのさん

「もう3時やで、一旦お昼ご飯にしないと夕方になってまうし晩御飯との間隔近すぎてわけわからんなってまうから…」と話すもボクハイクと頑なな息子の態度に夫が「まぁ行って来たら?」と図らずも背中を押されて父母交代で再度ドラゴンコースターに並ぶ。この際もういいか、とお昼ご飯は昼の12時前後に食べるという一般感覚を脱ぎ捨て私自身も久しぶりのジェットコースターを息子共々心待ちにした。

もう怖くないんだ!と自信満々に乗り込んだ息子は安全バーとサイドのバーを両手でしっかり握り、急こう配では多少顔を歪ませつつも楽しそうだった。いつかもっと大きなものに一緒に乗る日が来るかな、などと想像しながらその場を後にし、ようやく食事へ。注文を終えて番号で呼ばれるのを待つ間、海賊空間で売っているアップルフライを購入しにいって戻ってきた夫。ついていった息子はその手にチュロスを抱えて頬張っている。思い返してみれば、この場所についてから彼は食事らしい食事をしていないことにこの時気付いた。ポテト、ホットココア、チュロス、チュロス…栄養……栄養……ま、いいか!偏食による栄養不足。旅の醍醐味である。

私はというと3種の食べ比べセットなるものをオーダー。シェパーズパイ、ナシゴレン、そしてひよこ豆のカレーコロッケ。ホットワインも追加で。ナシゴレンって意外とスパイシーで辛いのね!家で作る料理は子どもも食べられるよう基本唐辛子を抜いて作っているため、何度か作ったことがあるナシゴレンだが新鮮に感じられた。ポテト大好きっ子な息子もシェパーズパイなら食べられるだろう、中央にレゴポテトも飾ってあるし…と思い与えようとしたが彼は専らチュロス(こちらは長い形状で回りに沢山砂糖がまぶしてあるタイプのもの)に夢中でそれには見向きもしなかった。

食事を終え、近くでやっていた謎解きカードの答えを伝えに行くとシールが貰えた。こちらは参加人数分の3枚、どれも違った柄のもので嬉しい。

閉園まであと2時間もない。今からすべてを回ることは到底難しく、加えてシーライフにも足を運ぼうと策略する親の独断と偏見で忍者&海賊空間は無かったことになり、息子がまた乗りたいと言っていたサブマリンのアトラクションに戻ることにした。父子で参加する間私は一人またトイレを含めて別行動し、周囲を見て回っていたが特段目新しいものは無いなと思っていた矢先に広がるデュプロワールド…!!!!戻ってきた息子に声を掛けるとロケットの様に飛んでいった。

結局周辺でちょろっと遊んだ後汽車に一人で乗って満喫し、ランドを出た。敢えて入り口付近のショップには足を運ばず、そのままエントランスからすぐ先のシーライフ名古屋へ向かう。ショップで一回1,000円ハズレ無しのくじを息子が引くと5等で小さなジンベイザメを貰えた。キャリーを預ける必要があったのでここで500円ロス、なるほどやはり駅のロッカーを使うべきだったか。

思ったより充実した内容で、行く先々で新しいワクワクがあったシーライフ名古屋。ヒトデに触れられるコーナーもあって新鮮に感じられたが、息子はそこに一切手を付けようとはしなかった。最後タッチパネルで魚に色塗りができ、またそうして色づけられた魚が大画面で泳ぐのが見られるコーナーでは熱心に息子オリジナルフィッシュを色付けしていた。ショップで多少の買い物を済ませるとレゴランドを後に駅へ。とても楽しかったのだろう、閉園したランドのエントランス前を満面の笑みで思いっきり円を描くように走った息子はその後果てたように眠りについた。

脱力した息子を抱え、我々は再び電車に揺られ名駅へ。グーグルマップを片手に目当ての矢場とんへ足を運んだ。数年前、まだ夫婦ではなかった頃に一度本店で食べたことがある味噌カツが忘れられず、夕飯をどこでとるかに迷いは無かった。わらじとんかつ…ああ、思い出しただけで涎が垂れそうだ。肉厚なカツにしみ込んだ味噌にご飯もキャベツも進む。店内は大勢の客で賑わっており、多少外で並んで待つこととなったがその間も、更には食事し終えて店を後にするまでも息子は目を覚まさなかった。

一日の終わり、ホテルへ向かう頃には皆が疲労で思考停止。どの出入口から出れば最短ルートで行けるかを確認したにも関わらず、予想だにしなかった地下道をほろ酔い客達で賑わうバルから漂ういい香りと共に延々と歩く羽目になった。とりあえず地上に出てみたはいいが、天下のグーグルマップが指し示す宿泊先は遠い彼方…我々は一体どこに導かれていたのだろう、と小雨が降る夜道をガラガラとキャリーを転がしながら歩いた。

ようやく看板が見えてきた頃息子が目を覚ましたので買い出しをし、チェックイン。ここで嬉しい誤算だったのは、現地入りしてからどこに足を運ぶかは事前に念入りに確認していたものの宿泊先に関してはノータッチだった為、大浴場がついていることを知らず、カウンターでその存在を知った。

わい氏、歓喜…!

思わず小躍りしたくなったが念のため控えて部屋へ移動。旅の常だが、ホテルの部屋に着くとどことなく安堵し疲労感が襲ってくる。荷物を下ろし、アウターをハンガーにかけるや否や調達したアイスボックスの蓋を剥がして酒を注いだ。楽しかった今日に乾杯…!一人ごちる。安い酒とつまみだが充実した一日の記憶がふくよかな余韻をもたらしてくれた。

つづく

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