見出し画像

KENWOOD KT-1100D 修理調整記録20

 ・2024年1月、4年ほど前に修理調整した個体の再修理を承りました
 ・今回は表示部に何も表示されなくなったそうです
 ・以下、作業記録です


■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
 ・KENWOOD チューナーカタログ 1986年11月版

KENWOOD KT-1100D 正面
KENWOOD KT-1100D 背面

■動作確認--------------------------------------------------

 ・電源オン、ご指摘の通り表示部には何も表示されない
 ・ただ眼を凝らすと周波数の一桁部分がかろうじて薄っすら見える
 ・その他の表示内容は読み取れない
 ・PROGRAMボタンを押すと赤色LEDが点灯する
 ・AUTO選局ボタンを押すと赤色LEDが点灯する
 ・音声端子からは受信音や局間ノイズは全く聞こえない、完全に無音
 ・REC CALトーンも聞こえない
 ・まずは電源系統の確認から始めます

■修理記録:電源回路の電解コンデンサ交換--------------------

 ・本体が全く機能していないので電源最上流部から確認開始
 ・電源トランスから出ているAC電圧 → OK
 ・D29,D30,D31,D32 → OK
 ・Q46エミッタ電圧(+28v)← 実測+2v ★ここがおかしい
 ・次にQ46前後の電解コンデンサを確認したところ故障部品発見!
 ・C134(100uF/10v)→ これが1Ωの抵抗と化していました
 ・C134(100uF/10v)→(100uF/50v)新品交換
  ※手持ちが50v品しかなかったので直径が大きめです
 ・交換によって電源電圧がすべて正常化、表示管が点灯し受信動作が復旧
 ・後述の受信調整を経て完全復活しました

電源回路の故障部品
電源回路の故障部品
電源回路の故障部品位置

■調整記録--------------------------------------------------

【VT電圧】
 ・TP6~TP7 → DC電圧計セット
 ・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V ※実測 3.0V
 ・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V ※実測24.8V
【検波調整】
 ・TP10~TP11 → DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L9調整 → 0.0V±10mV ※実測16mV
 ・TP12~TP13 → DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L12調整 → 0.0V±10mV ※実測22mV
【RF調整】
 ・R67左側 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz → L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64左側 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz → L10調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz 30dB → VR1調整
【TUNING METER調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【SIGNAL METER調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR3調整 → ※
  ※バーグラフの点灯レベル調整
【MPX VCO調整】
 ・TP14 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR4調整 → 19kHz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz SUB信号 → L25調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz(MONO)→ VR3:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO)→ VR4:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L/R)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
 ・83MHz(MAIN)→ VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz → VR2調整 → L信号もれ最小
 ・83MHz → VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz → VR1調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR4調整 → 100%位置
【AM簡易調整】
 ・TP6~TP7 → 電圧計セット
 ・522kHz → L20調整 → 実測 1.5V 確認のみ
 ・1629kHz→ TC2調整 → 実測 8.0V 確認のみ
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC3調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L22調整 → Sメーター最大

KENWOOD KT-1100D 受信調整

■試聴------------------------------------------------------

 ・小さな電解コンデンサが1個故障するだけで致命傷になるのですね
 ・でも4年前の再調整から調整ズレはほとんどなかったです
 ・これでまたしばらくは安心して使えます

KENWOOD KT-1100D

 →ココログ BLUESS Laboratory

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?