SONY ST-S333ESA 修理調整記録5
・2024年2月、シャンパンゴールドの333ESAが届きました
・FM受信時に不具合がいろいろあって実用にならないそうです
・以下、作業記録です
■製品情報--------------------------------------------------
・オーディオの足跡 SONY ST-S333ESA ¥55,000(1991年発売)
・Hifi engine SONY ST-770ES FM Stereo / FM-AM Tuner (1991-92)
■動作確認--------------------------------------------------
【提供者様からの不具合情報】
・全体的に受信状態が悪い
・フロント部分の扉を開閉するとシグナルメーターが上昇、すぐに戻る
・常に放送のない周波数にてシグナルメーターが3つほど点灯している
・STEREOインジケーターが点灯しない
・ボソッ、ボソッと不定期にノイズが入る
【当方での確認事項】
・フロントパネルと天板はほぼ無傷
・ただサイドウッド角部に突板の割れ欠損、剥がれが目立ちます
・突板が浮いている個所は木工ボンドで補修しておきました
・さて、FMアンテナを接続して電源オン
・表示部が明るく点灯、文字欠けや輝度劣化は感じられない
・IF BANDやRF切換などボタン操作に応じてインジケーター点灯OK
・しかしオート選局で名古屋地区のFM局をすべて素通り受信不可
・MUTINGオフにすると受信OK、周波数ズレなし
・でもSTEREOインジケーター点灯しない
・シグナルインジケーターが常時三つ点灯したまま
・ボディを軽く叩くとシグナルインジケーターの点灯具合が変化する
・受信中に「ボソッ、ボソッ」と不規則な雑音が混入する
・出力端子に繋いだ音声コードに触れると音が途切れる
・適当なAMループアンテナで名古屋地区のAM局をテスト受信
・AMはオート選局で受信OKでした
■内部点検--------------------------------------------------
・部品交換歴は無さそう、オリジナル状態だと思います
・アースバーを指で触るとグラグラの箇所あり
・このときシグナルインジケーターの点灯具合が変動する
・ハンダ面を見るとアースバーにハンダクラック多数
・すべてのヒューズ抵抗チェック、異常値を示す部品なし
・まずは調整手順に従ってFM同調点とフロントエンドを仮調整
→IFT251調整 → FM同調点OK
→CT101,CT102,CT103調整 → 最大電圧がビシッと決まらない
・シグナルインジケーター点灯レベル調整 → RV241
・RV241を最大回してもインジケーターは半分程度しか点灯しない
・受信感度自体が落ちているようです
・CT271に触れるとガサガサノイズ発生
■修理記録:ハンダクラック修正------------------------------
・特にLA1235近くのアースバーがグラグラ状態です
・これを含めすべてのアースバーのハンダ付けをやり直し
・続いて音声端子とアンテナ端子のハンダ割れも修正しました
・背面パネルを取り外すと補修作業や容易になります
■修理記録:フロントエンドのトリマコンデンサ交換------------
・最大電圧がビシッと決まらないトリマを全数交換しました
・フロントエンド:トリマコンデンサCT101,CT102,CT103(10pF)交換
・調整後はシグナルインジケーターがフル点灯するようになりました
■修理記録:PLL検波回路のトリマコンデンサ交換---------------
・CT271に触れるだけでガサガサノイズが発生する
・繰り返しグリグリ回してもノイズは解消しない
・新しいトリマコンデンサ(20pF)に交換
・ガサガサノイズは解消して気持ちよく調整できました
・パーツリストを見ても容量不明ですが 20pF で良さそうです
■修理記録:キャパシタ交換----------------------------------
・放送局をメモリー登録しても翌日には消失している
・キャパシタ:C605(0.1F/5.5V) → 1F/5.5V 交換
・タンタルC604(10uF/6.3v)→ 電解コンデンサ(10uF/50v)交換
■調整記録--------------------------------------------------
【FM同調点調整】
・IF BAND = WIDE
・IC251(LA1235)7pin~10pin間電圧計セット
・83MHz受信 → IFT251調整 → 電圧ゼロ
【VT電圧調整】
・フロントエンド内JW8 電圧計セット
・アンテナ入力なし
・90MHz → L104調整 → 21.0V±0.2V ※調整前実測21.1V
・76MHz → 確認のみ → 8.0V±1.0V ※調整前実測 8.1V
【トラッキング調整】
・IF BAND = NARROW
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・90MHz受信 → CT101,CT102,CT103 → 電圧最大
・76MHz受信 → L101,L102,L103 → 電圧最大
【PLL検波調整】
・IF BAND = WIDE
・TP201を短絡 ※これによってIF回路をパス
・TP271 電圧計セット
・IFT272調整 → 電圧ゼロ ※調整前実測+4.2V
・CT271調整 → 歪最小 ※Wavespectraにて波形確認
・TP201を開放
【IF歪調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・IC251(LA1235) 13pin(又はR261右足)電圧計セット
・RV201、RV202 時計回り一杯に回す
・SSG出力40dBモノラル信号送信
・IFT201調整 → 電圧最大
・SSG出力40dBステレオ信号送信
・IFT202調整 → 電圧最大
・IFT101調整 → 電圧最大 ※IFT101フロントエンド内
・RV201、RV202 回転範囲の中央位置に回す
・SSG出力80dBモノラル信号送信
・IFT203調整 → 歪最小へ
・SSG出力80dBステレオ信号送信
・IFT204調整 → 歪最小へ
【STEREOインジケータ調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = OFF
・SSG83MHz 出力20dB
・RV251調整 → ステレオインジケータ点灯
【MUTINGレベル調整】
・IF BAND = WIDE
・MUTING = ON
・SSG83MHz 出力25dB
・RV252調整 → MUTING調整
【IF NARROWゲイン調整】
・IF BAND = NARROW
・RV203調整 → NARROWゲイン調整
【Sメーター調整】
・RV241調整
【パイロットキャンセル】
・RV303、L301 19kHz信号漏れ最小 左右バランス確認
【セパレーション調整】
・RV301 R→L ※調整後実測62dB
・RV302 L→R ※調整後実測65dB
【CAL TONE】
・Peak Level-6dB 398Hzの波形が出ていました。
【AM調整】
・RV401 Sメーター調整
・RV402 AUTOSTOP調整
■試聴------------------------------------------------------
・当初の不具合はすべて解消しました
・シグナルインジケーターがフル点灯、STEREOインジケータの点灯
・FM/AMとも気持ちよく受信できています
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