TRIO KT-8000 修理調整記録10
・2024年4月、不要になったKT-8000を研究材料に譲り受けました
・不具合がいろいろあって実用にならないそうです
・実験材料として不用品、故障品の寄付は大歓迎です
・不具合箇所の確認、修理調整、電解コンデンサ総交換、照明LED化
・時間がかかりましたが今後も長く安心して使える一台に仕上がりました
■製品情報--------------------------------------------------
・TRIO KT-8000 製品カタログ 1979年2月版抜粋
・TRIO KT-8000 取扱説明書 日本語版PDF形式
・1976年 KT-9700 \150,000円 初のパルスカウント検波搭載機
・1977年 KT-9900 \200,000円 パルスカウント検波機の最高峰
・1977年 KT-8000 \ 69,800円 中級機で初のパルスカウント検波
・1978年 KT-8300 \ 63,000円 KT-8000の後継機
■動作確認--------------------------------------------------
・フロントパネル上面に打痕、ボディに擦り傷、外観はそれなりの状態
・さて、FMアンテナを接続して電源オン
・窓照明と二つのメーター照明点灯、球切れは無さそう
・選局ツマミを回すと放送局周波数付近でTメーターとSメーターが反応
・ただSメーターの振れ方が過敏で最大点が判別できない
・76~82MHz区間で指針移動すると激しいバリバリ音が発生
・バリバリ音に合わせてSメーターが激しく振れる
・STEREOランプは放送局がない位置でも頻繁に明滅する
・受信しているようだが固定/可変出力とも酷い雑音しか出ない
・wide/narrowとも同じ雑音が聞こえる
・一方でマルチパスH端子からは正常な音声が聞こえる
・まずはバリコン軸の清掃から始めます
■内部確認--------------------------------------------------
・FM専用7連バリコン → HA1137W → MC1496 → PC検波 → HA11223
・マルチパスH端子から正常音声が聴こえる。
・TP1.96MHz周波数カウンタ接続 → L16調整可能 → 正常
・HA11223-2ピン(検波信号入力)→ 正常
・HA11223-5ピン(Rch)、6ピン(Lch)→ ノイズ混りの酷い音×
・不調原因はHA11223の真っ黒に変色した足か?
・あと、バリコン軸の受け部に緑青色に変色した古いグリス
■修理記録:バリバリノイズ対策------------------------------
・76MHz~82MHz間で指針を移動すると激しいバリバリノイズ発生する
・ノイズに合わせてSメーターが大きく振れる
・この症状は経験的にバリコン回転軸の接触不良が怪しいです
・爪楊枝の先端で注意深く回転軸を清掃、仕上げに導通グリスを軽く塗布
・この措置でノイズは解消しました。
・ときには指針を76~90MHz間を往復させてやると良いです。
■修理記録:HA11223洗浄 → 交換------------------------------
・真っ黒に変色した HA11223 の足を歯間ブラシで磨いてみました
・これだけで酷い雑音は解消してキレイなFM音声が流れてきました
・さらに念のためHA11223を取り外して足の裏側まで磨きましたが
・せっかく取り外したのでソケット化し新品のHA11223Wをセット
・取り外したHA11223は使える中古パーツとして保管しておきます
■修理記録:電解コンデンサとタンタル総交換、一部IC交換-----
・電源基板で目視で劣化が分かる電解コンデンサーを新品交換
・将来の照明電球のLED化を踏まえて全数交換しました
・続いてメイン基板の電解コンデンサとタンタルコンデンサも全数交換
・さらに主なICもソケット化して新品に交換しました
・IC表面の印字が消えかけていたので、これですっきり蘇りました
・IC3:LA1222 → LA1222(ソケット化)
・IC4:HA1137W→ HA1137W(ソケット化)
・IC8:HA1457 → HA1457W
・IC9:HA11223→ HA11223W(ソケット化)
・IC10:4558DB→ 4558DD(ソケット化)
■調整記録--------------------------------------------------
【FM OSC調整】
・90MHz → TC7調整 → Sメーター最大
・76MHz → L7間隔調整 → Sメーター最大
※L7調整は難しいので83MHzの一点調整実施
【RF調整】
・90MHz → TC1~6調整 → Sメーター最大
・76MHz → L1~6調整 → Sメーター最大
・83MHz → L11,L12,L13調整 → Sメーター最大
【FM同調点(HA1137W)調整】
・83MHz → L14調整 → Tメーター中点
【IF調整】
・IF BAND=Wide
・83MHz → L12調整 → Sメーター最大
・IF BAND=Narrow
・83MHz → L13調整 → Sメーター最大
【2nd IF調整】
・L16調整 → TPにて1.96MHz確認
【Wide Gain調整】
・IF BAND=Narrow
・VR2中央位置に設定 → Sメーター記録
・IF BAND=Wide
・VR1調整 → 記録したNarrow Sメーターと同値に
【Sメーター調整】
・83MHz受信 → VR3調整 → Sメーター振れ調整
【MPX部調整】
・VR7:パイロットキャンセル調整
・VR6:VCO調整 TP(R133前足)にて76kHz確認
・VR4、VR5:セパレーション調整
※数多くの部品を交換したので馴染むまでの時間を考慮し
※上記調整後、約1カ月に渡って通常運転しました
※6月下旬にもう一度調整をやり直しました
■試聴------------------------------------------------------
・最後に指針を蛍光オレンジ塗料で再塗装しました
・Wavespectraで観察する波形のベースラインが落ち着いています
・電球色に映える周波数窓とアルミパネルのコントラストがいい感じ
・、、ですが、次は照明のLED化にチャレンジ
■改造記録:照明電球のLED化----------------------------------
・オリジナル電源:AC7.6v
・オリジナル電球:8v/0.3A ×5個(並列)※灰色ゴム製ソケット付
・電球をフレームに固定するにはオリジナルのゴム製ソケットが必要
・本機は灰色ゴム製ソケットに長円形の電球がセットされています
・電球高さを合わせるためジャンク箱から茶色ゴム製ソケットを調達
・ゴムを一部切除して高さが干渉しないように加工
注意)天板をセットしたとき、窓照明電球3個が天板に干渉します
・アマゾンで調達した自動車用12v仕様のT10ウエッジLEDを利用
・BORDAN T10 LED 爆光 ホワイト 10SMD 12V 1.2W 色温度6000
・オリジナル電球ソケットに納めるためLEDの端子部を分解除去
・端子根元に+と-の表示がありました +→赤、-→黒
・赤黒電線をハンダ付け、ゴム製ソケットにLED上部だけを納める
・純正フィラメント電球×5個を特製LED球にすべて交換
■改造記録:LED駆動電源の確保--------------------------------
・電源基板の電解コンデンサを容量アップしたのでこのまま使えるか?
・と思いましたが、断念して独立した専用電源回路を製作しました
・経緯は以下の通り
【電源基板11番端子(+13v)を借用した場合】
・LED点灯、二つのメーター動作正常、FM音声も聞こえる
・STEREOランプ点灯、受信動作に影響無し! と思いましたが、
・しかしWavespectraで波形を見ると60Hzの倍数に酷いピークが出現
・安価な中華製LEDがノイズ源になっていました
・もっと高級なLED球を使えば問題ないのかも?
【電源基板13番端子(-13v)を借用した場合】
・LED点灯、二つのメーター動作正常、FM音声も聞こえるが、
・ただSTEREOランプが点灯しなくなった
・-13vを借用するとHA11223W駆動に必要な電流が不足するようです
・電解コンデンサーをさらに容量アップすれば回避できるかも?
【専用電源基板製作】
・上記経緯から電源基板から借用する方法は諦めました
・電源トランスから出ている青色線(AC8v)を流用して電源回路製作
・小基板にダイオードブリッジと電解コンデンサーを並べただけです
・これで AC7.6v → DC11.3v
・電源オフ時の残光時間もなく明るさもちょうどいい感じです
■作業を終えて----------------------------------------------
・正面パネルが銀色アルミ製なので白色LED照明も慣ればいいかも?
・ただ橙色インジケーターがちょっと寝ぼけた感じになりました
・インジケーターは赤色に変えた方が良いかも?と思いつつ
・でも良い出来栄えに自画自賛!!
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