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SONY ST-5000F 修理調整記録8

 ・2023年12月、「F」バッジの無いST-5000F故障機が届きました
 ・受信感度がかなり低いそうです
 ・以下、作業記録です


■製品情報-------------------------------------------------

 ・オーディオ懐古録 SONY ST-5000F \98,000(1969年)
 ・オーディオの足跡 SONY ST-5000F \98,000(1971年頃)
 ・Hifi Engine Sony ST-5000F FM Stereo Tuner (1969-77)
 ・SONY ST-5000F 回路図 (国内機)
 ・SONY ST-5000Fカタログ 1974年5月版

■動作確認-------------------------------------------------

 ・フロントパネルと背面の銘板には ST-5000F とありますが、
 ・本体正面右上角に「F」バッジがありません
 ・電源コードを見ると「1974」の印字
 ・1974年5月版カタログにも掲載があるので製造末期の個体です
 ・「F」バッジが無いのは初期の製品かと思っていましたが??
 ・それとも物理的に外れてしまったのか??
 ・それにしても外装がピカピカ、とても綺麗で驚きました
 ・ガラス窓の内側まで既に清掃済みのようです
 ・底面を見ると4本の脚が大型タイプに交換済み

Fバッジがない

 ・さて、テスト環境に設置して名古屋地区のFM局受信を試みると、
 ・照明窓がちょっと暗い、でも照明電球はすべて点灯している
 ・ご指摘の通りMUTINGオンの状態ではどの局も受信不可
 ・MUTINGオフにするとNHKと民放各局が受信できました
 ・しかしSメーターはほんの少し振れる程度しか動かない
 ・Tメーターの左右の振れ幅も極めて小さい
 ・STEREOランプ点灯しない
 ・受信感度が大幅に落ちているようです

■内部確認-------------------------------------------------

 ・続いてボディを開けて内部確認、これまたビックリ!
 ・シールドカバーもシャーシも隅々までピカピカ光沢です
 ・サビやクスミは一切なく内部もまるで新品みたいに超キレイ!
 ・このレベルで美しい個体は初めて見ました、驚きです
 ・照明電球はすべて点灯しています
 ・電源部の電解コンデンサー交換済み
 ・MPX基板の電解コンデンサも一部交換済み
 ・IF基板、検波基板、MUTING基板はオリジナル状態

隅々までピカピカ

■調整記録-------------------------------------------------

 ・過去の調整記録に従って各部再調整しました
 ・フロントエンドの調整によって受信感度が向上しました
 ・ただSメーター調整VRを最大に回してもSメーターの振れが小さい
  →電波強度60dB Sメーター振れゼロ
  →電波強度70dB Sメーター振れ約10%
  →電波強度80dB Sメーター振れ約50%
  →電波強度90dB Sメーター振れ約60% STEREOランプ点灯
 ・やはりフロントエンドかIF回路に問題がありか?

ST-5000F 上面
ST-5000F 底面

■修理記録:アンテナ線が外れていた!---------------------

 ・IF基板に並ぶトランジスタの足はすべて真っ黒に変色しています
 ・まずはエレクトロニッククリーナーと歯間ブラシで足の清掃作業
 ・しかし全く効果なし
 ・次はフロントエンドユニットか、でもここは分解したくないな~
 ・そんなことを思いつつ、ふとアンテナ端子の内側を見ると、、
 ・何と、背面アンテナ端子とフロントエンドを接続する芯線が
 ・外れていました!またまたビックリ!
 ・たぶん、内部清掃した際に誤って引っ掛けてしまったのかな?
 ・対策として芯線を2cmほど延長して端子にハンダ付け
 ・この結果、受信感度が大幅に向上、というか元に戻りました
 ・Sメーターが大きく振れてMUTINGも正常に作動します
 ・もう一度最初から受信調整をやり直して復活しました

アンテナ線が外れていた

■調整記録(再)-----------------------------------------

【電源電圧調整】
 ・TP24V,TP12V → DC電圧計セット
 ・電源基板 R601調整 → 24V,12Vそれぞれ確認
【OSC調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L105調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → CT105調整 → Sメーター最大
【RF調整】※フロントエンド
 ・76.0MHz受信 → L101,L102,L103,L104調整 → Sメーター最大
 ・90.0MHz受信 → TC101,TC102,TC103,TC104調整 → Sメーター最大
 ・この作業を数回繰り返す
【IFT調整】※フロントエンド
 ・83.0MHz受信 → T101調整 → Sメーター最大
【レシオ検波調整】※検波基板
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz受信 → 指針をSメーター最大位置へ移動
 ・T301上段コア調整 → Tメーター中点(離調点が左右対称)
 ・T301下段コア調整 → 高調波歪最小点
 ・Tメーターが中点からズレた場合 → R319調整 → 中点
【Sメーター振れ調整】※IF基板
 ・83.0MHz 80dB受信 → R211調整 → Sメーターが90%振れる位置に
【MUTINGレベル調整】※ミューティング基板
 ・フロントパネル MUTINGツマミ → ON、最小状態
 ・83.0MHz 20dB受信 → R403調整 → MUTING作動点を左右対称に
【セパレーション調整】※MPX基板
 ・固定出力端子 → WaveSpectra接続
 ・83.0MHz 80dB受信 → R537調整 → セパレーション最大位置へ

FM放送の受信調整

■試聴-----------------------------------------------------

 ・アンテナ線が外れていたとは意外な盲点、
 ・というか最初に確認するべきでした、反省、、
 ・それにしても50年経ってもこのデザインは古さを感じませんね
 ・さすがに高音質とは言えませんが威風堂々の雰囲気です

SONY ST-5000F

ココログ BLUESS Laboratory SONY-ST-5000F 修理調整記録8


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