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KENWOOD KT-1100D 修理調整記録21

 ・2024年3月、研究材料としてKT-1100Dの2台セットが届きました
 ・2台とも直せるか、それともニコイチ合体か、
 ・以下、作業記録です


■製品情報--------------------------------------------------

 ・オーディオの足跡 KENWOOD KT-1100D ¥74,800(1987年頃)
 ・KENWOOD チューナーカタログ 1986年11月版

KENWOOD KT-1100D <上段:脚あり、下段:脚なし>
KENWOOD KT-1100D <上段:脚あり、下段:脚なし>

■動作確認--------------------------------------------------

 ・外観の状態は2台とも良好ですが、一方は脚が4個とも欠損しています
 ・そこで両機を識別するため「脚あり」「脚なし」と表記します

<上段:脚あり>
 ・電源コードの印字「1990」
 ・電源オン、表示部に周波数やインジケーターが明るく点灯
 ・表示部の文字欠けや輝度劣化はない
 ・AUTO選局上り方向 → すべての放送局を素通りして受信不可
 ・AUTO選局下り方向 → -0.2MHzの周波数で受信できる局あり
 ・シグナルインジケーターはほとんど点灯しない、受信感度低下
 ・一方AM放送は適当なループアンテナで受信確認OK
 ・FM受信で同調点ズレ、受信感度低下といった症状を確認しました

<下段:脚なし>
 ・電源コードの印字「1990」
 ・電源オン、表示部に周波数やインジケーターが明るく点灯
 ・表示部の文字欠けや輝度劣化はない
 ・AUTO選局上り下り方向とも本来の周波数ですべてのFM局を受信OK
 ・シグナルインジケーターはフル点灯しSTEREOランプも点灯
 ・RF DIRECTでも十分受信可能、各種機能切換OK、REC CALトーンOK
 ・AM放送も適当なループアンテナで受信確認OK
 ・脚が無いこと以外は特に不具合なさそうです

■内部確認--------------------------------------------------

<上段:脚あり>
 ・特記事項なし

<下段:脚なし>
 ・電源スイッチ後方にある小さな基板(X13-)が緑色の両面基板した
 ・それと電源スイッチが載った縦置き基板も緑色の両面基板でした
 ・今まで20台以上のKT-1100Dを見てきましたが緑色両面基板は初対面!

KENWOOD KT-1100D <上段:脚あり>
KENWOOD KT-1100D <下段:脚なし>

■調整記録--------------------------------------------------

【VT電圧】
 ・TP6~TP7 → DC電圧計セット
 ・76MHz → L14調整 → 3.0V±0.1V
 ・90MHz → TC1調整 →25.0V±0.1V
 ★<上段:脚あり>TC1調整で反応が過敏で不安定
【検波調整】
 ・TP10~TP11 → DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L9調整 → 0.0V±10mV
 ・TP12~TP13 → DC電圧計セット
 ・83MHz受信 → L12調整 → 0.0V±10mV
【RF調整】
 ・R67左側 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz → L1,L4,L7,L18調整 → 電圧最大
【IFT調整】
 ・R64左側 → 電圧計セット ※Sメーター電圧
 ・83MHz → L10調整 → 電圧最大
【AUTO STOP=MUTING調整】
 ・83MHz 30dB → VR1調整
【TUNING METER調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR2調整 → ※
  ※中央の縦白セグメント点灯、両側の赤縦セグメントの中点へ
【SIGNAL METER調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR3調整 → ※
  ※バーグラフの点灯レベル調整
【MPX VCO調整】
 ・TP14 → 周波数カウンタ接続
 ・83MHz → VR4調整 → 19kHz
【SUB CARRIER調整(38kHz)】
 ・音声出力 → Wavespectra接続
 ・83MHz SUB信号 → L25調整 → Lchレベル最大
【歪調整1 DLLD】
 ・83MHz(MONO)→ VR3:DET調整 → 歪最小
【歪調整2 MONO】
 ・83MHz(MONO)→ VR4:MONO2調整 → 二次歪最小
【歪調整3 MONO】
 ・83MHz(MONO)→ VR6:MONO3調整 → 三次歪最小
【歪調整4 STEREO】
 ・83MHz(L/R)→ VR5調整 → 歪最小
【歪調整5 STEREO】
 ・83MHz(SUB)→ VR7調整 → 歪率最小
【歪調整6 NARROW】
 ・83MHz(MAIN)→ VR2調整 → 歪率最小
【SEPARATION調整 WIDE】
 ・IF BAND:WIDE
 ・83MHz → VR2調整 → L信号もれ最小
 ・83MHz → VR3調整 → R信号もれ最小
【SEPARATION調整 NARROW】
 ・IF BAND:NARROW
 ・83MHz → VR1調整 → 信号もれ最小
【DEVIATION調整】
 ・83MHz → 本体左側小基板VR4調整 → 100%位置

【AM簡易調整】
 ・TP6~TP7 → 電圧計セット
 ・522kHz → L20調整 → 実測 1.5V 確認のみ
 ・1629kHz→ TC2調整 → 実測 8.0V 確認のみ
 ・ 729kHz NHK第一放送受信 → L21調整 → Sメーター最大
 ・1332kHz 東海ラジオ受信 → TC3調整 → Sメーター最大
 ・1053kHz CBCラジオ受信  → L22調整 → Sメーター最大

受信調整作業

■修理記録:OSCトリマコンデンサ交換---------------

<上段:脚あり>
 ・VT電圧調整時、TC1の反応が過敏で電圧が安定しない
 ・そこでTC1/10pFを新品に交換しました
 ・再調整後はVT電圧がピタッと決まりました

<下段:脚なし>
 ・調整作業を通して特に不具合は無かったのですが、
 ・上段機の事例を鑑みてTC1を予防交換しておきました

TC1交換

■試聴--------------------------------------------

 ・電源コードの印字はどちらも「1990」
 ・2台とも背面パネルにAMアンテナホルダーを取り付ける穴がない
 ・これは製造末期の個体の特徴です
 ・両機のシリアル番号を見比べてみると製造ラインは同じ
 ・<上段:脚あり> ******175
 ・<下段:脚なし> ******080 ※緑色両面基板
 ・末尾の個別番号はわずか95番違い
 ・それでも若い番号の個体だけ緑色の両面基板を採用
 ・どんな事情があったのでしょう?

KENWOOD KT-1100D <上段:脚あり、下段:脚なし>

→ ココログ:BLUESS Laboratory


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