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俳句コラム① 17文字で広がる世界



私が俳句を好きになったきっかけ。

それは、有名なプレバト!!の『俳句才能査定ランキング』。
フルーツポンチ村上健志さんの句だ。

村上さんの俳句は、夏井先生曰く”半径1メートルで俳句を詠める人”といわれるように独自の世界観がある。

ポエマー村上さんが繰り広げる俳句の世界に魅了されたうちの1人だ。

季語「八月」を使いこなす


お題「夏の終わり・夕方の空港」で、フルポン村上が詠んだ句はこれだ。

八月の 機内に点る 読書灯

「八月」という季語に含まれる「終戦」や「原爆」などの意味を受け、読書灯を見た時に平和を感じた句、とのこと。

発表された瞬間に『うまっ』と思わず息をのんだ。

どうやら、季節の「8月」はなかなか使いこなすのが難しいようだ。

数字の意味だけでなく、夏っぽさが残っていたり、原爆、お盆、終戦という、複雑な思いがこもっている。
飛行機の機内に点っている読書灯がピースフルだ、と感じる視点や、そこから広がる優しい読書灯の灯りが心に染みわたっていくように感じた。


夏井先生は、「機内に灯る」と表現した点を絶賛していた。

に灯る、というのは自分で灯しているわけではなく、機内に灯っているささやかな光景に、客観的に平和を感じている様子までわかる。



使うのは五七五の17文字だけ。
同じテーマならメチャクチャかぶりそう。でもそうはならない。
言葉の奥深さを感じる。

小さな発見から膨らむ余韻

他にも素敵な句を詠んでいる。

お題は、夏の波紋。



電車に乗って本を読んでいたら、行間に次のページの影がスッと入ってきた。いいな、きれいだなって。その影に気づくと、周りの明るさに今度は気づく。
さっきまで降っていた雨がすっかりやんで晴れていた。
小さなことを発見することで、それ以外の大きな世界が広がるんだなという一句である。


いきなり"行間"が出てきて、
意味を読み取るとか嗅ぎ取ると言いたいのかなと思わせながら"次頁の影"。

これはありありとした映像を詠んでいるのだと分かる。この"行間"の化学変化を起こしているのが"夕立晴"という季語。

さっきまで暗く激しい雨が降っていて、ページの影なんて見えていなかったのに影が美しい。なんで?と思ったら晴れている。ずっと没頭して夕立の間、本を読んでいたに違いないとも分かる。見事な季語の使い方。


実は、それから同期と俳句を作りあって遊んでいたことがある。
コラム化をしていこうと思います。

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