見出し画像

長く暗いトンネルを抜け出した日

1週間以上、お腹の痛みが続いていた。
以前は2錠くらいだった痛み止め薬は6錠、7錠と増え、それで痛みがおさまればまだいいのだが、「耐えられない痛み」が「耐えられる痛み」になる程度しか効かない。
何十時間も痛みと向き合っていると、良くなるイメージがまったく湧かなくなる。大げさでなく、気が狂いそうになる。
夜中に痛みで何度も起きて、呻いていると、夫が湯たんぽを作ってくれたり、薬を飲ませてくれたりする。
早く良くなりたい、1日に3時間でいいから痛みから解放されたい、と思う。3時間あれば集中して原稿が書ける。
でも、それも叶わないから、少しでも痛みが軽い時に呻きながら必死に書く。いつも1時間半が限界。

ずっと料理もしていない。いつの間にか夫が食事当番になり、洗い物まですべてやってくれる。
私はただ寝て、薬を飲んで、少し原稿を書いて、また薬を飲んで寝るだけ。

そんな調子だったが、金曜日くらいから光が見え始めた。痛み止めが効いて、動ける時間が増えてきたのだ。一度も目が覚めずに4時間連続で眠れた時は感動した。
ご飯も痛みであまり食べられなかったのだが(痛くて座っていられない)、一人前を食べられるようになってきた。
痛み止めは手放せないものの、1日のうちで「痛みがゼロ」の時間が少しずつ増えている。
ようやくきた、痛みからの解放!
これくらいなら、なんとか耐えられる。正気を保てる。

昨日は天気もよく、朝から痛みも抑えられていたので、夫と近くの川まで桜を見に行こうということになった。
家を出たのは1週間ぶりだった。
風が心地よく、太陽の光が眩しかった。長いトンネルを抜けた気がした。

桜並木は満開
歩いて5分。
山に囲まれた町に暮らしています。

コンビニでパンとお茶を買って、桜を見ながら食べた。
また今年もここで同じように桜を見ることができた。足元を見ると、タンポポとオオイヌノフグリとツクシ。春の代表を集めたみたい。
ぽかぽかと暖かい太陽の光を背中に受けながら、ただ感謝していた。布団から抜け出せたことに。わずかな時間でも痛みから解放されていることに。

noteもやっと書ける。
書きたいことがたくさんあるんだ。
今日はここからは嬉しいことばかりを書く。

まずは、姉がクッキー缶を作ってくれたこと。
お菓子の腕前がプロ並みで、食への欲望がハンパない姉の話は以前書いたが、その姉からクッキー缶が届いたのだ。

画像は姉のインスタから拝借

開けてびっくり。10種類も入っているし、彩りやかたちもさまざまで、測ったようにピッタリ缶に入っている。
聞けば、本当に「測った」らしい。
缶の大きさを測って、それぞれのクッキーを詰める位置を考え、ピッタリになるようサイズを決めて焼いたのだとか。
こういうのを聞くと、「(実家のほうの)血やな〜」と思う。マメで凝り性。完璧主義。
美味しかったとLINEしたら、「食べたらランキングつけて教えてな」と返ってきた。そういうところも姉らしい。
甲乙つけがたいほど、どれも美味しかった!
でもやっぱりスノーボールだな(上段真ん中の白いやつ)。私がスノーボールが大好物と知っていて、別にスノーボールだけの袋も付けてくれていた。
姉なりのお見舞い。嬉しかった。

このクッキー缶を姉は実家の両親にもあげると、実家に持ってきてくれたので、それを取りに行かなければならなかった。だが、私は痛みで動ける状態ではない。いつも両親に心配かけるのがいやで、多少辛くても顔を見せてニコニコしているのだが、それができないほど痛みが強く、夫に頼んだ。(うちから実家までは車で10分もかからない)

夫がクッキー缶を持って帰ってきて、それから「これ、お母さんから」と花を手渡してくれた。
私が病気でも、元気でも、母はいつも庭の花を切ってくれる。
だから、こんなこと特別なことじゃないのに、なんだか胸がいっぱいになった。よろよろ起き上がって、すぐに花瓶に活けた。

アネモネが可愛い

花があるだけで、幸せな気持ちになる。
そうそう、忘れてはいけない。
この間noteで紹介した桜の盆栽がほぼ満開になった!

旭山桜という品種らしい

写真は数日前で、今はもうほとんど散って葉桜になっている。
桜はいいな。花も、緑の葉も、紅葉も楽しめるから。そしてまた枯れ枝のようになったところから、美しい花が咲くのをわくわくしながら待つことができる。1年中楽しめるって素晴らしい。

他にも書きたいことがあるのだが、今日はここまで。
とりあえず、トンネルは抜けた。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?