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<備忘録的なもの>最近読んだ本いろいろ

本が部屋からあふれている。
そろそろ整理して、もう読まない本は箱に詰めて古本屋へ送ってしまおうと思っている。
思ってはいるのだが、なかなかその作業をやる気が起きない。
あー、どうにかしないと……と言っている間に、また今日もポストに新たな本が届いていた。

図書館で借りれば、お金はかからないし、本も増えないのだが、私は「本を所有したい熱」が高い人間で。
じゃあ、電子書籍にすればとりあえず物質としての「本」は増えないからいいんじゃないかとも思うが、やっかいなことに、まだ「紙」派で。
ただ、電子書籍はまったく読まないわけではなく、「情報を仕入れたいもの」だけにしている。実用書的なものならいいが、小説は紙じゃないと読む気にならないのだ。
不思議だけど、マンガは電子でも大丈夫。むしろ、もうこれ以上マンガを家に増やしたくないので、すでに1巻から集めているものでまだコミックが続いているもの(キングダム、宇宙兄弟、ブルージャイアント、ワンピース、滅多に出ないけどHUNTER×HUNTER)以外は、最近は電子で買って読んでいる。

今デスクの上には、この2~3週間くらいで読んだ本が積まれている。今日はこの感想でも簡単に書いておこうと思う。
(ちなみに、部屋には巨大な本棚と小型の本棚があるが、そこに入りきらないものが部屋の隅にどんどん積まれていっている状態だ。マンガは別で、納戸にぎっしり入っている)

2024年本屋大賞ノミネート作品を、今年は10作品中7作品読んだ。
↓ この時はまだ6作品。

新たに読んだノミネート作品は、夏川草介氏の「スピノザの診察室」
「神様のカルテ」しか読んだことがなく、その時に苦手意識を持ってしまったのだが、今回はわりとすんなり読めた。病気になった時、どんな医者に出会えるか。それってすごく重要なことなんだと実感。お医者さんって本当に素晴らしい職業だと思う。命と向き合うわけだから。

そういう意味では、秋谷りんこさんの「ナースの卯月に視えるもの」も、看護師さんの仕事に向き合う姿が垣間見られる小説だった。
こちらはnoteの創作大賞2023で「別冊文藝春秋賞」を受賞され、文庫化されたものだ。noteでの関りはなかったが、読み終えてすぐにフォローさせていただいた。
私自身が病院のお世話になっているから、看護師さんの想いや業務以外の休憩室での様子などが描かれていて興味深かったし(もちろん病院によってさまざまだと思うが)、作者の「どうしてもこの思いを伝えたい」という熱が、読んでいて伝わってきた。ちゃんと魂のこもった作品だった。
主人公のナース「卯月(うづき)」の患者さんへの真摯な寄り添い方に感動したし、卯月以外の登場人物一人ひとりのキャラがしっかり確立していて、いろんな人に感情移入することができた。出てくる人物が愛しくなる小説というのが私は好きだ。
少しファンタジーの要素もあるが、それが逆に「命」をテーマにした小説なのに、シビアになりすぎていなくてよかったと思う。すっかり作者のファンになってしまった。今後の作品も楽しみだ。

本屋大賞2024を受賞した宮島未奈さんの「成瀬は天下を取りにいく」の続編、「成瀬は信じた道をいく」も読んでみた。まあ、受賞の理由もわかるし、シリーズで売れているのも理解できる。普段あまり本を読まない人にも読みやすいし、単純に「おもしろい」。成瀬のとりこになってしまう人が多いのもうなずける。
でも、本屋大賞の感想でも書いたが、主人公の成瀬はただの変人で、むしろ成瀬に付き合える周りの人が私にはたくましく、魅力的に見える。成瀬は淡々と我が道を行き、その成瀬と接することによって周りの人が気づきや成長を得る物語なんだなと思う。今回は、びわ湖大津観光大使として成瀬と一緒に活動する篠原かれんさんの変化がステキだった。

東野圭吾氏の小説は、昔はよく読んでいた。私にとって「白夜行」は人生のベスト100に十分入る。読んだ時はとんでもない衝撃を受けた。天才っているんだ、とも思った。
最近はあまり読まなくなって、昨年「クスノキの番人」を読んだのが数年ぶりのこと。今回は「ブラック・ショーマンと名もなき町の殺人」を読んだ。軽快なミステリーで、最後まで犯人も仕掛けもわからず、なかなか読み応えがあった。でも、探偵役の武史に私自身はあまり好感が持てず。作品としてはとても面白かった。

お笑い芸人オードリー若林正恭さんの「ナナメの夕暮れ」というエッセイ。この人の考えていること、まあ性格のようなものが、自分には理解できすぎて、読んでいるとどんどん若い頃の(未熟な)自分のことなど思い出し、眠れなくなり、ちょっとヤバかった。なので、毎日少しずつ読んだ。
若林さんについては、ここではなくまた別の記事でゆっくり書きたいと思う。とりあえず、「生きづらい人間」っているよね、という共感。

中山七里さんの「いつまでもショパン」は、「さよならドビュッシー」に代表される音楽ミステリーシリーズのひとつ。noteでくなんくなんさんの読書感想文の記事を読んでハマり、それからシリーズを順番に読んでいっている。(実は今朝、この次の「どこかでベートーヴェン」も読み終えたところだし、その次の「もういちどベートーヴェン」も買ってある)
正直に言うと、「さよならドビュッシー」があまりに面白すぎたから、その後のシリーズは比べるといまひとつ、と感じていた。若干、演奏の時の描写が細かすぎて(ある意味しつこい)、クラシックや楽器に縁のない自分には退屈に思えるところもあった。
ただ、最近アニメで「四月は君の嘘」や「ピアノの森」を見たところだったので、本気でピアニストを目指す演奏家の気持ちや、ショパン・コンクールに出場することがどれほどの意味をもつのか、ということは多少わかるようになっていたのでよかった。クラシックの知識は皆無だけど、ショパンという音楽家がポーランド人にとってどれほどの英雄であり、誇りであり、その音楽が支えとなっているかも初めて知った。
何でもそうだけど「背景を知る」って大事なことだ。たとえば大河ドラマでも、歴史の背景を知っているかどうかで見る目も感じ方も変わってくる。
クラシックに精通している人ならもっとこの小説を楽しめるんだろうなと思い、それが羨ましく思えた。聴くのはわりと好きなんだけどね。(シリーズは読破するつもりだ)

江國香織さんの「去年の雪」は、この間の【治療日記】で入院中に読んだということを少し書いた。とにかく説明が難しい小説だった。たくさんの人がいろんな場所と時代に現れて、中には死んで魂(幽霊?)になった人も出てきて、時にそれらが繋がり、交差していく。タイムスリップのようなことがあったり、声が聞こえたり。
残念なことに、最初から最後まで何を伝えたいのかまったくわからなかった。(もし読んだ人がいて、この小説を解説できるのなら、ぜひ聞きたいと思う)
ただ、これだけ「わからない」と思いながらも、最後まで読み切らせるところが、さすが作者の力量だとも思うのだけど。

以上。
ここ最近読んだ本について備忘録的に書いておいた。


本当はおすすめの1冊を取り上げてしっかり感想を書きたいのだけど、基本的に「読書感想文」が苦手なので、書くのにはよほどの気合と労力が必要だから、つい面倒でやめてしまう。
でも、2~3日に1冊くらいは何かしら読んでいるのだから、せめてこれくらいの簡単なものでもいいから記録しておきたいという気持ちはある。(それすらなかなか実行できていないが)

そういえば、noteを始めた時にやろうと決めた「人生の100冊」シリーズはどうなったんだろう……。
100冊はだいたい決まっているのだが、若い頃に読んだものが多いので、内容を紹介するために再読するのが大変で(さらっとなぞるだけでも)、なんとなく先延ばしになったままだ。
例えばパール・バックの「大地」とか、いつか再読したいと思っていたし、間違いなく「人生の100冊」に入るのだから、この機会に再読して、自分の中で盛り上がっている状態で記事を書いたら伝わりやすくていいと思うんだが、とにかく長いんだよなぁ。分厚い文庫で4巻。ちょっと気合いが必要だ。
……みたいな感じで先延ばし。
(こういうところが自分のダメなところだと知っている)

ああ、それよりまずは部屋からあふれそうな本をどうするか。
悩んでいる間に、またポストに新しい本が届く。

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