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【治療日記6】安らぎの1日から地獄へ

土曜は昼間は元気に過ごせていたが、夕方になると急激に調子が悪くなった。またごはんをあまり食べられなかった。

日曜は朝から元気。どうしても読みかけの本「水車小屋のネネ」を読み切ってしまいたくて、午前中は読書にあてた。
私は「結末を早く知りたい派」なので、読みかけの本を途中でしばらく置いておくということができない。あと少しだったので一気に読み切った。

「水車小屋のネネ」はとてもいい本だった。
母親に短大の入学金を振り込んでもらえなかったり、「新しいお父さん」に妹が軽い虐待を受けたりしたことをきっかけに、18歳と10歳の姉妹は2人で家を出て、知らない町のそば屋で住み込みのような形で(正確には住み込みではない)働き、2人で暮らし始める。
そのそば屋では水車を利用して石臼でそば粉を挽くのだが、その管理をしているのがヨウムというしゃべれる鳥のネネだった。
その町で姉妹はネネと仲良く働きながら、いろいろな人に助けられ、成長していく。
シビアな話のようだが、ネネの存在と町の人たちの朴訥な優しさで、第一章はちょっとジブリの世界のような気さえした。
かなりページ数のある分厚い本だが、難なくずっと読める。40年にわたる物語なので、登場人物たちの成長や変化も、知り合いのように微笑ましく思ったり。読後感もよかった。

午後から原稿を書いた。体調が良かったので筆がすいすいと進んだ。あと少しというところまで来た。ここまで来るともう続きが書きたくて仕方なくなる。楽しい。

お風呂に入って寝る前に血圧を測ったら久しぶりの正常値。やはりレンビマを減らしたことが体にちゃんと現れている。降圧薬は飲まずに寝た。
体もラクで、いい1日だったなぁと思って布団に入った。

それなのに、夜中2時半に目が覚めてから地獄を見るとは。
最初はちょっとお腹が痛いかな、という程度だった。トラマドールとロキソニンを飲んで横になったが、効くどころか激痛が襲ってきた。それも今はまで感じたことのない種類の痛み。
レベルでいうと、いつもの痛みの最高が5とすれば、8はいっている。(5だって滅多にない)
恥骨の左側、左下腹部のかなり下のほうに、ペンチでも突っ込まれて中身をねじ切ろうとされているような、そんな痛みだ。(自分で書いていてこの表現恐ろしい)
じっとしていることもできず、布団で悶えて、呻きながら耐えていたら、さすがに夫が起きた。
息も絶え絶えでのたうちまわるわたしを見て驚き、心配してくれるが、それに応える余裕もない。
いつものように湯たんぽを作ってくれたが、温めてみるとなぜか痛みが強力になった。
それから4時半までの2時間、悶えながら薬を追加し、トラマドール3個とロキソニン2個飲んで、なんとか少しずつ落ち着いていった。
まともな呼吸ができるようになった時はホッとした。
それにしても変な痛みだ。お腹が痛いというよりは、ケガした時のような外傷的な痛みに近い。外から触るだけでも飛び上がるほど痛いのだ。
一番ラクな体勢を探り、うつ伏せになって寝たら少しマシになって、少しずつ痛みも落ち着いていった。
このまま痛みが消えなかったらどうしようかと思った。

これも副作用の1つなのだろうか。
私の体の中で確かに何かが起きている。
外から握れるほど硬く大きくなっていた腫瘍の1つが、触ってもよくわからなくなった。消えたのか?
夫に言うと、お腹を触って、「ほんまや。睾丸みたいなやつがあったのにな」と言われた。
「やめてよ」
「なんで?睾丸みたいやったやん」
「なんかいややわ」
私のお腹の腫瘍を触りながらそんなことを思っていたのか、こいつ。

起きてから血圧を測ったら160を超えていた。
ほとんど寝てないし、あんな興奮したから、そりゃそうかと思う。
痛みはマシで、なんとか動けるレベル3くらい。
今日は受診の予約があったので、夫に病院まで送ってもらった。歩くのはまだ辛かった。

主治医に会うと安心した。
血圧をなんとかコントロールして、レンビマを20mgで続けることを目標に、内科で診てもらうことを提案された。その場ですぐに内科に連絡をとってくれて、明日の11時から総合診療内科というところに診察と検査の予約を入れてくれた。

明日は東京の取引先とのオンライン定例会議があるんだがなぁ、と思ったが、病院を優先することにした。
そんなわけで、明日も朝から病院に行き、いろいろ検査をすることになった。専門の先生と話して、なんとか血圧コントロールできるといいなと思う。
すぐに対応してくれた主治医にも感謝。
「なんか、効いてる気がするんですよ。もうここの硬いところなくなりました」と言ったら、「ほんまに?もう?」と疑いながらもお腹を触ってくれて、「そんな感じもするなぁ」と。
「まあ、希望的観測なんですけどね」と私が言うと、「いや、そういうの当たってること多いよ!たぶん効いてる!」と強く言ってくれた。
先生にそう言われたら本当に心強い。

昨晩の地獄の痛みについては、よくわからないとのことだったが、きっと何か変化が起きているんだろうと、良い結論を出してこの話は終わった。

結局、今日、明日、明後日と3日連続で病院に行かないといけなくなったが、仕方ない。
最初の2ヶ月は大変と言っていたのはこういうことなんだなと思う。
原稿の続きを早く書きたいが、それどころじゃない。いろいろ予定が変わってしまった。

地獄も見たし、予定も狂ったけど、でもなんかいいイメージしか湧いてこないから大丈夫だ。
いろんなことがきっとうまくいく。
今日は疲れたのでもう寝て、明日5時起きで仕事を追いつかせよう。

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