マガジンのカバー画像

酒のない人生なんて。

36
日本酒ライターが語る、酒のあれこれ。
運営しているクリエイター

2021年9月の記事一覧

この秋、「ひやおろし」を楽しんでみませんか?

最近、「秋の訪れ」をテーマにいくつかnoteを書いたが、「秋」の風物詩といえば、これを忘れてはいけない。 「ひやおろし」だ。 秋に出荷される日本酒のことだが、実は、ひやおろしについて語るのは結構難しい。 というのは、ひやおろしが生まれたとされる江戸時代と今では、お酒を搾ってからの管理方法が異なっているからだ。 もともと日本酒は、「搾った後」と「瓶詰めする前」の2回火入れ(熱殺菌)をするのが一般的だった。 ひやおろしとは、冬に造って搾ったお酒を1回火入れした状態で貯蔵して

酒瓶の裏ラベルは、CDのライナーノーツと同様だ。

昔は日本酒のラベルといえば、達筆な筆文字で銘柄が縦に書かれているだけのようなものしかなかったが、この10年くらいの間にどんどん変わってきている。 ローマ字で横書きの銘柄、可愛い動物のイラストやモダンなデザイン、紙のラベルを貼るのではなく瓶に直接プリントされたものもある。 たとえば、こんなのとか…… こんなのもある(笑)。かわいいよね。 思わず「ジャケ買い」してしまいそうになるし、日本酒は難しいと思っている人にとってもなんとなく手に取りやすいのではないだろうか。 ただ、「

酒飲みの私が尊敬する、若山牧水という歌人について

お酒を飲みすぎた翌朝、必ず思うことがある。 「今日は絶対に飲まないぞ。休肝日にしよう」 そう誓った時は、いたって本気だ。ものすごく真剣だ。固い固い決意のもと一日を過ごす。 するとどうだろう、夕方になるにつれてだんだん飲みたくなってくる。 気がつくと「酒のアテ」を作っている。 そして、酒のアテをずらりと並べたテーブルの前で言う。 「これはお酒がないとダメやね、うん」 言い終わると、朝の誓いなどなかったように、悪びれることもなく、さも当然という顔をして、冷蔵庫に直行。これか