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ツチノコを見た話

小学校6年生の頃、近くの漁港に
よく遊びに行っていました。

小さいカニを捕まえたり、
割り箸で作った自作の釣竿を使って
魚を釣ったりして遊んでいました。

まあ、汚い話なんですが、
その漁港の遊び場にはトイレが無くて。
小学生なんで、草むらの奥で立ちションなんですよ。

その日はもう夕方になって皆で
自転車のある場所まで歩きだしました。
その時僕はトイレがしたくなってしまって、
皆に
「ごめん、トイレしてくる!」
と言って、1人で少し離れた草むらに行きました。
こそこそとトイレを済ませて戻ろうとした時、不思議なモノが視界に入りました。

それは、茶色い魚のような、蛇のような
なんとも言えない姿形をしており、
顔のようなものもあります。
表情は少し苦しそうで、カエルのような顔立ちでした。
触ってはいませんが、見ただけで
体がヌルヌルしているのがわかります。
砂や泥も付着しています。

「うわぁっ!」

と、思わず声が出ました。
その何とも形容し難い生物は
ゆっくりゆっくり這いつくばって進んで行きます。
僕は理解しました。

これは、ツチノコだ

急いで友達を呼びに行きました。
友達も皆テンションが上がって
捕まえてやろうと息巻いています。
走ってツチノコが居た場所に到着しました。

が、ツチノコの姿はもうそこにはありませんでした。
諦めきれない僕達はそれから30分くらいは
周囲を探しましたが、残念ながらツチノコは見つかりませんでした。

友達にも若干疑われはじめて、
でも納得できない僕は近くに居た
釣り人の中年男性に事情を説明しましたが、
「大人をからかうな」
と言われ、結局僕の勘違いだという事で
皆帰宅しました。

家に帰ってから両親にツチノコを見たと言っても、笑われて終わりました。


それでも、僕は声を大にして言う。



僕はツチノコを見たんだ。


蒼星和馬

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