良い子のびす子

文章力の整理と、結果を出したくてショートショートを書いています。規定の700文字以上前…

良い子のびす子

文章力の整理と、結果を出したくてショートショートを書いています。規定の700文字以上前後ですが。頑張りたい。ただ何事にも。

最近の記事

死神

散らかる一方のテーブル。床に広がる牛乳のこぼれたヤツ。あの子が好きだったお香を炊いたあと。欲しかった本も無造作に広がってる。 僕はため息をついてソファーに沈む。 こんなままで1日終わるのか… 少し暮れかけたある日。それはおこった。 ピンポーン チャイムが鳴る。誰だ?大家さんか、あの子か、なんか宅配か?ネットで頼んでないけど。 ダルさしかない体を起こし、インターホンのマイクと喋る。 「どちら様ですか?」 「死神ですぅ…」 ?、悪質なイタズラだろう。しかし声は年老いてる感じのおば

    • 列車は走る、海の中に花弁を浮かべて

      列車は走る、海の中に花弁を浮かべて 見てしまった、私は。汗臭い制服を着て、列車を待っていた。早くシャワーを浴びて、お父さんが作ってくれる晩御飯を楽しみにしながら。 今日はお母さんは夜勤、だからお父さんが「今日はお父さんが特製の唐揚げ作るから、待ってなよ、真菜」と笑顔で送り出してくれた。 バスケのレギュラー争いは疲れる。中学と格は違うし、皆バンバン、シュートを決めて、コーチが笑顔を見せる。私は臆病になり、憂鬱になっていた。「お父さん、唐揚げ美味しくだよ…」食べ盛りもあってお父さ

      • 彼女の本

        いつも同じバス。いつも同じ座席に彼女は座る。きっと本好きなんだろうな。白い手に綺麗に塗られたネイルが美しく見えて、彼女が持つその本に興味がいってしまう。 図書館で借りてるんだろうか、じゃないとお財布破産だよな、なんて僕は考える。彼女の想像力、思考力が読めたら、僕はこの長いバス時間の間退屈なんてしない。スマホを見るふりをしながら僕も想像で彼女の本を読む。 自分のどこかで彼女が問いてくる。 「ねえ、今日はこの主人公が母親にいじめられて、昔遊びに行った家の近くの公園で夕暮れを過ぎる