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美しく枯れる。

若い頃はテレビが大好きだったのに、歳を重ねるにつれてテレビからも遠ざかる生活を送るようになり、働き始めた頃は(本人はあまり気にしていなかったんだけど)超過労働で更にテレビからの距離が遠くなるという状況が当たり前になってしまって。そんな生活が長く続いていましたが、娘たちが生まれ、一緒に幼児向番組を一緒に楽しく観たり、その娘たちが成長するにつれてバラエティ番組を一緒に観たりとテレビとも和解が進み始めました。そしてコロナ禍を境にして自宅で過ごす時間も増えたということと、TVerという便利な仕組みが普及し、テレビに向かう時間も徐々に増加している今日この頃。

そうはいっても定期的に楽しむ番組はとても少なく、でもそんな中でお気に入りのひとつが「町中華で飲ろうぜ」。芸人の玉袋筋太郎さんがMCを務め、町中華に行ってビールを飲みながら食事をするという番組です。このなんともいえないまったりとゆったりとした町中華タイムがたまらなく良い。もともと町中華が好きだからというのもあるのかもですが、紹介されているお店に是非行きたいなぁなんて思いながら楽しませてもらっています。

そんな玉袋筋太郎さんが書いた新著が「美しく枯れる。」です。

現在57歳になった玉さん(敬意を込めてそう呼ばせてもらいます)が等身大で感じていること、考えていることが、テレビと同じく気さくな口語体で綴られています。

私もつい先日の誕生日で50歳になりました。そんな私の50代からの生き方についてとても大切な指針になるような話がたくさん詰まっている本です。タイトルにある通り「美しく枯れる」というのはとてもよいキーワードだと感じました。テレビでは楽しそうに話をする玉さんも、ひとりの人間に戻ったときには辛いことや悲しいことに直面して苦しんでいるということなど、赤裸々に綴られていて、ぐっと心に響きます。

私自身もつい最近、分かっていながらもずっと目を背けていた両親の介護について真剣に考えざるを得ない状況になったばかり。この本にはそんな状況さえも前向きに捉えられるような金言が満ちています。

小さい幸せを探すことを考えながら、毎日を楽しく過ごせるようにしていきたいなと改めて考えさせられました。作家・村上春樹氏も「小確幸(小さくても確かな幸せ)」の大切さをエッセイなどで語られていましたね。私も気持ちを切り替え、多少「過積載」な状態でも人生というトラックをうまく運転していきたいなって思いました。軽く読めてしまいますが中身がぐっと詰まった良い本です。ぜひ読んでいただければ幸いです。

追伸:玉さんの前著も合わせて読んでいただけると、今回の新著での物語がよりわかりやすくなると思いますので合わせてどうぞ。


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