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高橋幸宏 雨のうた


6月になりました

人の一生は一冊の本のようだ。いま「高橋幸宏」という本を読み終え、多くのファンがあとがきを書こうとしている。物語は終わったが本は消えず、ずっとそこにある。

細野晴臣の追悼文 朝日新聞デジタルより

細野さんの言う通り、残されたファンは、あとがきを綴るだけ。市井の幸宏ファンのあとがきです。
早いもので今年ももう6月になりました。ファンにとって特別なイベントが待っています。
【YUKIHIRO TAKAHASHI COLLECTION  “EVERYDAY LIFE”】
幸宏さんの誕生日6月6日からの開催です。筆者は福岡から6月8日に駆けつけます。どんな展示があるのか楽しみですよね。もちろん、元気なままライブを開催してくれるというのが一番でしたが、それが叶わぬいま、幸宏さんと触れ合える機会が持てることには感謝です。


6月、雨のうた

久しぶりの投稿となる今回は、幸宏さんの雨にかかわる曲をピックアップしてみました。全曲コメントすると長くなるので、さらにピックアップしてコメントしています。

天使と雨 【6月の天使】 【夢からさめたら・・・(天使はすぐそこにいた)】

古くからの幸宏ファンであれば、雨のうたとして、最初に思いつくのが【6月の天使】かもしれません。筆者は湿気が苦手で梅雨はうんざりする季節なのですが、この曲はちょっとそのうんざりを和らげてくれる感じがします。歌詞の中に「銀の糸」とか「雨の五線紙」というフレーズがありますが、こんな風に思えば、雨もいいものですね。
【夢からさめたら・・・(天使はすぐそこにいた)】は、雨が降る日に部屋でみた白昼夢といった内容。どちらの歌詞も天使は女性の比喩になっています。ある意味ストレートな比喩ですが、照れなくこういう歌詞を歌えるのは幸宏さんの育ちの良さという感じがします(笑)。

スウェーデン語が甘美に響く 【WIPER】

この曲がでた2000年代初頭には考えられなかったことがですが、いまはスウェーデン語であろうが、ノルウェー語であろうが、簡単に翻訳してくれる時代になりました。ほんの20年ほどで時代は変わりますね。googleの翻訳よると歌詞は別れの予感、不安を駆り立てるような内容。歌詞の中に、雨はもちろん出てくるのですが、不安の暗喩に使われているようです。
シバオカチホさんの醒めているのに甘い声が素敵です。

ハイライトを売ってくれたおじいちゃん 【僕は運命を信じない】

「雨の降る日に君を 待ち続けるのは何度目?」から始まる歌詞は、この時点で恋の終わりを想起させます。ハイライトを売ってくれたおじいちゃんはこの前日に亡くなっている。これまた全体の雲行きを怪しくさせる描写ですね。希望はほとんどないのですが、「君がもう一度笑う」という奇跡を信じて雨の中に佇む男。森雪之丞さんによる情けない男の歌です。
ちなみにハイライトは幸宏さんが好んだタバコの銘柄。いつ頃まで吸っていたのかは確かではありません…筆者もかつては喫煙していましたが、ハイライトはかなりキツいタバコでした。

【僕は運命を信じない】が収録されたアルバム【Fate of Gold】の雑誌広告
雑誌はミスターハイファッション12月号。幸宏さんの特集でした。

彼女は雨とともに過去のものに 【おいしい水】 【どんないいこと】

【おいしい水】はボサノヴァの名曲と同名ですが、竹中直人作詞、高橋幸宏作曲によるふたりのオリジナル曲。彼女が出ていった夜、外は雨が降り出し、男は一人佇む…「君の後ろ姿が小さく溜息をついた」という歌詞は、何度聴いても胸に迫るものがあります。
「あの曲は幸宏さん?」と何度も聞かれるので、聴いてみたら確かに自分っぽい曲だったということでカバーしたのが【どんないいこと】。SMAPの曲です。当時は意外でしたね。これも切ない別れの歌。雨は別れの切なさをさらに切なく盛り上げます。意外とは書いたのですが、オリジナルはいまだにちゃんと聴いたことがありません(笑)。

これもまた去っていた女性のうた 【A Smile 〜雨の中の笑顔〜】

去っていた女性が微笑むのは夢の中だけ。そして、後悔。幸せは失ってからわかるものです。人並みに生きていれば、誰もがこんな経験があるのではないでしょうか…

誕生日なんて嫌いな男たち 【Rainy Day #66&828】

66はもちろん、幸宏さんの誕生日。828は慶一さんの誕生日。
「消してみたいバースデイ ないことにしたい」。
ある年齢を超えると、また歳をとったかという感想しかなくなるのが誕生日。この歌詞はそんな男たちの歌という感じがします。雨はやっぱりネガティブを表すモチーフです。

いい写真ですね。
アルバム【M.R.I.】の付録的な冊子。ふたりの対談が収められていました。


達観すればマリモになれるのか 【marimo】

「今日も雨降り」から始まる歌詞。でも雨がそれほど大きな意味を持っているわけでもないような気がする。雨だろうと、電車に揺られようと淡々と生きている。それは忍従というよりは達観という感じがします。あなたは、わたしは、マリモのように生きられるか…


情けない男の原点? 【今日の空】

【アタタカイ雨】については前回の記事に書いたので、お時間あればそちらを御覧ください。
先日のJ-WAVEの番組で幸宏さんのお姉様、伊藤美恵さんが一番好きな曲として挙げていた【今日の空】。告白できない、好きな人の近くにいるだけ、こういう男性がこのあとの幸宏さんの曲には頻繁に登場します。切ないんだけど、自分のせいでもあるから、自分を笑ってしまう。そんな少し内省的な男性が浮かびますね。
「雨(みず)に濡れた路の上には君の影がはしゃいでる」と記憶していたのですが、このサイトでは「水に濡れた路の上には君の影がはしゃいでる」という表記に。で、【ONCE A FOOL】の歌詞カードを調べてみると、「雨(みず)」、【HEART OF HURT】の歌詞カードでは「水」になっていました。
実は雨をみずと読ませるところがすごく記憶に残っていたので、ちょっとショックでしたが、後者が誤植と信じたい筆者です。
この曲の詞の世界では雨は上がっているのですが、晴れ渡っているわけでもない。微妙な空が少し悲しいわけで、自分の心も微妙なわけですね。歌詞を暗誦できるほど好きな曲です。

激しい雨の向こうには… 【MY BRIGHT TOMORROW】

黒い雨雲、雷鳴、ナイフで切り裂くような激しい雨。その向こう側に希望に満ちた明日が、薔薇色の明日があるはず。
アルファ時代の曲ではもっとも好きな曲です。そして、困難のあとには希望があるという曲でもあります。人生いろいろあったりしますが、薔薇色の明日は、すぐそこまできている…はず。

久々にLPを引っ張り出して撮影。この写真はずっと好きです。


その日は、みんなでね。

幸宏さんの歌う雨。皆さんのお気に入りはどの曲ですかね。最後にプレイリストにいれたかったのですが、Spotifyになかった曲をご紹介。
YMO【ポケットが虹でいっぱい】こちらも雨に負けず、希望を持とうという歌詞ですね。
本日6月6日は幸宏さんの誕生日。「その日は、みんなでね。」というキャッチフレーズ通り、みんなで幸宏さんを想いましょう。

Rain or shine, it's all my destiny



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