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いのり

どんな言葉さえも届かないあの空の麓で

平穏な日常が取りもどされることをいのり

がらんどうの街に立ち尽くした。

(あのおとはだれのあしおと)

空中を漂っている、あのひとは、どこへ還る

ちいさな画面のなかで、しらない、ひとが、  

泣いている

不和の衝動に取り残された小さな掌

握りしめた文字が温もりを生み

閉じた掌がいつか芽吹きますように

血塗られることを望みませんように

ひらひらと、空が舞う季節のなかで

途方もない祈りと共に、青空は澱むことなく深く広がり

しずかに、ただしずかに、佇み続けていた

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