葵こころ

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大屋根リングに登る(詩)

登る登る大屋根リング 大空が見える 歩いて行けるだろうか 向こうまで 反対まで 最短距離はいつも同じ 周る道が近道 歩く歩く大屋根リング 芸術が競い合う 世界を眼下に 巡る巡る大屋根リング 世界中を そのレガシーは 目には見えないプロセスだ  登る登る大屋根リング 丸い地球の平たい大地に立つ 立ち上がる

    • 大阪関西万博とアーレント①

      前に進むためには、何かを置いていかなければならない。 ニュートンの運動第三の法則 僕が万博へ興味を持ったのには、ハンナアーレントの哲学が影響している。 「世界」と「社会」の違いとは何か。 「世界」と出会うためにはいかにすれば良いのか。 アーレントの哲学には、「世界」という概念がある。 彼女の伝記には、「世界への愛」という言葉が付けられているように、彼女の哲学にとって「世界」は重要なのである。 普段、働いている会社において、私たちが出会う全てのものは社会に存在するものである

      • 【詩】心臓のビート

        失っていくこれまでの自分を 獲得していくこれからの自分を 今ここにいる自分を 探し出して見つかるわけもなく 周り続ける針の真ん中 私しか通れぬふるいを通り 落ちてきた はるか坂の上 一番近くにいる、一番逃れたいと思う 自分自身 自己嫌悪の延長が環境の差延なら あなたはきっと辿り着ける 自分自身に 始まりはいつも一歩 人が進むことのできる距離は一歩 自転車に乗って、降りて一歩 自動車に乗って、降りて一歩 機関車に乗って、降りて一歩 飛行機に乗って、降りて一歩 はるかか

        • 渡らなくてよい道を渡っていこう 行かなくてよい道を行こう 進まなくてよい道を進もう 歩まなくてよい道を歩もう 選ばなくてよい道を選ぼう

        大屋根リングに登る(詩)

          【詩】ブルートレインとスーサイドトラップ

          お前の血流れるレールの上 走る今日も お前の涙知るレールの上 運ぶ夢追うゴキブリども 渡りきれなかった踏切を越えて 行く道がある 屍の数を数えて 朝を迎えたら 旅立ちの日 いつも始まり 終わらない旅 転がる首 追いかけてたどり着いた場所 カッターで裂いた秘密の入り口 帝王切開 ようこそ世界へ 生命の色は真っ赤 空に飛んでいったお前 地を這う僕だよ ここで見つけた宝物 譲っても帰ってくる不思議 地球は丸かった 世界の目撃者 君の登場を待っている

          【詩】ブルートレインとスーサイドトラップ

          【詩】嘔吐

          ずっとちょっと吐きそう スッキリトイレでおえーっと 吐き出せてしまえば楽なのに それをできるほど ではなくて けれど気持ちが悪い ことは確かで できることといえばちょっと態勢を変えて気を紛らわせたり 違うことに意識を向けて 気持ちの悪さを意識しないようにすること それもあまり効果はなくて ずっとちょっと気持ちが悪い 吐き出せるものがあるのに  それが何なのかわからないで ただそこにはある気持ち悪さは確か 吐き出すべきものがあるのに それがうまくでてこなくて 喉の奥 心の

          【詩】嘔吐

          【詩】ぽい

          簡単に崩れ去ってしまう 表面病だけ取り繕った ぽい ぽいものだけがある 突っつかれればすぐに破ける 処女膜のように 他者を知らない腑抜けの臆病者 誰の心もすくわないぽい ぽい言葉 ぽい感じ ぽいものをぽいようにぽく そんなぽいは 情報の中に 簡単に溶けていく 誰の心もすくわずに

          【詩】ぽい

          記憶の喪失

          記憶の喪失 傷の消失 あまりにも傷つき 傷つけられた思い出を 忘れてもなお なくなるわけじゃない傷 躁鬱のブランコで 夜間飛行 行方不明の操縦者 いまもまだ 砂漠をさまよう 迷うことがないのは 目指すべきものがないから 地図がなくても 欲しいものが何かわかる ゴールがなければ 始めればいいだけ 歩き始めた瞬間が 自分史上の到達地点 砂上のサボテン 目にも止まらぬ速さで進んでく

          記憶の喪失

          【詩】夢の前夜

          眠れ良心よ いまだけは 気づかないふりをする前に 気づいてはいけない 振り返るな旅人よ いまだけを 見つめるべきものを見失う前に 見落としてはいけない 大通りを渡る大衆の大群 待ち合わせ場所は夢の迷路 血迷った正しい性欲の 誘われた阿呆が 阿呆と知って踊る 阿呆どもと馬鹿を囲んで 嘲笑の拍手と中傷の祝辞に迎えられ 気狂い世間と数奇な政策を 讃えて 事後死後仕事、明日も。

          【詩】夢の前夜

          【詩】雨にも負け

          雨にも負け 風にも負け 低気圧に打ちひしがれ 嘘をつかれ 裏切られ 見捨てられ 速く走れず 勉学はできず 話そうとすればどもり 何一つ力を入れることができず 何一つ頑張ることができず 期待や信頼に応えることもできない 何かすれば面倒を起こし ことあるごと中途半端で やることなすことすべてうまくいかない それでも 北に諦めかけるものがいれば「頑張れ」と声をかけ 南に転んだ者がいれば起き上がるために手を貸し 東に夢破れた者を見れば新しい夢があるといい 西に力尽きかけた者あれば眠

          【詩】雨にも負け

          I’m not your friend, but

          友達ではないけれど、 話をする 友達ではないけれど、 ゲームをする 友達ではないけれど、 見捨てはしない 友達ではないけれど、 フェアに向き合う 友達ではないけれど、 君の話を聞く 友達ではないけれど、 君との約束を守る 友達ではないけれど、 君のユーモアに笑う 友達ではないけれど。

          I’m not your friend, but

          『カントの道徳的人間学』を読んで

          私が、カントに強く心惹かれたのは、彼の“人間らしさ“にある。 カントは、一般に「街の人が彼が散歩するのに合わせて時計を合わせた」といったエピソードや「定言命法」「義務論」といった彼の思想に起因する、厳格であまり人間らしくない、いわゆる哲学者然としたイメージを抱かれているように思う。 しかし、私は、彼が学者の中でもかなり人間らしい哲学者の一人だと思う。 それは彼の著名な「三批判書」にも現れている。 そもそも、「純粋理性批判」とはどういった内容であっただろうか? とても簡潔に

          『カントの道徳的人間学』を読んで

          【詩】手中の宇宙

          夜空の星を手にとって 掴んでみるともう見えない 拳の中にある光 信じる者のみ 拳を広げればきっとある 拳を広げれば そこにはもうない 瞬間 それは瞬く間に離れていく 希望の光 もう二度と手を離さない 固く手を繋いだその間に宿る星 暗闇ではない あまりに明るく見えない光 握りしめた拳に星がある 強く握りしめた拳に暗闇がある 拳を握るその瞬間に宇宙がある

          【詩】手中の宇宙

          【詩】戦争のイメージ

          その叫びは 届かなかった 戦場で泣き喚く 少女の声は 私は知る その銃声は 聞こえなかった 海の向こうで鳴り響く サイレンの音を 私は知る その戦闘機は 見えなかった 街の上を飛び交う 破壊の残像を 私は見る その瞬間は見えなかった その痕跡だけを見る 残骸だけが見える 街だったもの 人だったもの 美しかったもの 素晴らしかったもの 遠方の目撃者が 証言台に立ち 平和を誓う 私は見た 戦争の痕跡を 私は見なかった 戦争を 私は知らない 戦争を 私は知らなかっ

          【詩】戦争のイメージ

          【詩】太陽は知っている

          明日も日が昇るか  日は昇るのだろう きっと しかし 当たり前ではない 昨日までずっと 続いてきたことが 明日も続くなんて ことは誰も知らない 太陽はきっと知っている 声の出ない嗚咽 流されることのない涙 聞かれることのない叫び 気づかれることのない苦しみ 知られることのない真実 開かれることのない扉 握られることのない拳 歩まれることのない道 語られることのない歴史 明かされることのない秘密 果たされることのない約束 始められることのない生命 挑まれることのない運命 太

          【詩】太陽は知っている

          【詩】地球がやさしい

          僕を見逃したままの北極の真っ白な熊がやさしい 僕を許したままの 空高く舞い上がる大鷲がやさしい 僕を避けたままの 大きな角を持って進むヘラジカがやさしい 僕の身体に住まない 小さくて大きな群れのアリンコたちがやさしい 僕を燃やし尽くすことのない熱い炎が 僕を照らす太陽だ どれだけ踏みつけられても 絶えることのない大地が 僕を守る地球だ

          【詩】地球がやさしい