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③人*Mさん

いつか振りですね。肺です。
お元気でしたか?
高校三年生として、大切なことを終えて、
ひと段落ついたので、帰ってきました。
また読んでもらえると嬉しいです。
それでは今日の記事も、何卒。

その詩人さんと初めてお会いしたのは、
受験を終えたので久し振りに立ち寄った、お気に入りの本屋さんでした。
本屋さんであり、カフェであり、雑貨屋であり、
時々マルシェのようになる、お気に入りのお店です。
幸い、お客さんはお母さん世代がほとんどで、
知り合いに会う心配をあまりせずに済む場所でもあります。

暖簾をくぐり、おばあちゃん家のような引き戸を引く。
引き出しと瓶でいっぱいのキッチンカウンターから
店長さんが「お久しぶり!」と、出迎えてくれます。
美大を志望することを知っている店長さんが
とてもレアな本をおすすめしてくれました。
(もしかしたら、その本についても記事を書くかもです。)
その本の購入を決め、他の商品を眺めていると、
店内にもう1人いらっしゃったお客さん、と思っていた男性から話しかけられました。
その方が詩人さん(以下、Mさん)でした。

私はきっと、興奮していたのでしょう。
詩人さんだ、本物の詩人さんだ
興奮のあまり、私たちが何から会話を始めたとか、そういうのを覚えていません。

興奮したり、大切に思った時間ほど、
感覚や、印象だけしか残っていないのはなぜだろうと、考えたことがある。
何度もある。
しかし、油絵を学んでいくうちに気付いたのが、
「感覚、印象だけをすくい取れるほどに、純粋で透明な記憶へと完成したから」
という答えだ。
だから、大切な時間を忘れることを気に病むことはない。
その完成した記憶を、表現することができるなら、尚更。

閑話休題。

Mさんは、詩を声に出すことを大切にする詩人さんでした。
今回は詩集の販売にこの本屋さんに。
その詩集を中原中也賞に応募しているというお話を聞いて、
中原中也ファンの私は……ますます興味が湧いていました。

Mさんの詩は、詩集は、
中也好きにはたまらない、「印刷を想定した空白」がありました。
これは、私、言葉を紡ぐにあたっての、最上級の配慮だと思うのです。
なんと言っても、可愛らしい。
日本の三つの文字(かなカタ漢)が、
「ここが私の場所」と言わんばかりに、
Mさんの表現をまとって、そこに刷られていました。

オタクな感性が発生したお陰で、私のこの日の記憶はここでプツり。
しかし、Mさんのお声かけ(インスタのDM)おかげで、私はまたMさんにお会いすることができました。
それはまたあの本屋で行われた、Mさんのサイン会。
DMで、「学校なので行けないかもしれません」と言って、
おとなーに、諦めかけていたのに、
私は子どもなので、欲望には勝てませんでした。
学校を、サボって、あの本屋へ

「いらっしゃい!やっぱりきたのね!」と店長さん。
学校をサボって来た事を告げると、悪い笑みで迎えてくれました。
とてもいい人です。
Mさんの隣にはサイン会の先客がいらっしゃいました。
いえ、正確に言いますと、新聞社の方(以下、記者さん)でした。
記者さんは、サボりの学生に丁寧に挨拶をしてくれた後、名刺を差し出しました。
大人の方だ、社会の方だ、
という印象にサボりの学生の未熟者はあっけに取られました……。
記者さんは、Mさんのサイン会の様子を撮りたいので、私にも写って欲しいとのことだったので、了承し、不思議な雰囲気でサイン会の私の番がやってきました。

Mさんは、この前販売していた詩集に、
ご自身のサインと、詩の引用、私の名前を書いてくれました。
私は何を話したのでしょうか。失礼なことは言っていなかった事を願います。
しばらくお話しした後、Mさんは詩を朗読してくれました。
国内外でとても高い評価を得て来たMさんの朗読です。
無料で、ほぼ独り占めで聞ける私は、幸運にも程があります。
詩をひとりの部屋で声に出して遊ぶことはありますが、
言葉を紡いだ本人の朗読は、
本物でした。
レインコートに落ちてくるのは、真水でも、ミネラルウォータでもなく、
本物の雨でした。

⌛️

まさかこんなに書かない期間が続くとは思いませんでした。
お陰様で進学先も決まり、春から美大生となり、油絵を学べることになりました。
そしてこれからも更新予定です

読んでいただき、ありがとうございました。

次回も何卒。

追伸
今日の絵は、星を集める少女です。

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