にじの青、本を書く 002.クラウドファンディングに挑戦した3か月

 自費出版を決めた2020年1月。3月末から約40日間ほど、クラウドファンディングでの資金調達に挑戦しました。
 結果は、当初の予定の1/5程度にとどまりましたが、得るものがたくさんありました。

自費出版は手軽だったと知る1月

 年始仕事始め過ぎて直ぐに、大阪梅田のルクアにある蔦屋書店で、一人の人と打ち合わせしました。
 出版請負という仕事をしている知人は、素人でも本や小冊子を簡単に作れるという事実を教えてくれました。2019年に出版クラウドファンディングを行って「お金に縛られない人、お店をつくろう!」という本を書いた友人のテクニカルアナリスト、小西光浩さんもその知人を通して出版をしています。
 私たちは、ベストセラーの出版数や売り上げ冊数ばかりに囚われていて、大手での販路や一度に大量印刷ということしか知らないけれど、実際には小ロットでも請け負ってくれるという事を知れば、誰でも出版は出来るのです。
 原稿を準備して、表紙のデザインも用意して、自分で誤字脱字を確認して、印刷するだけの最終稿を持参すれば、本を作れる。
 このことが、私の未来チケットに再び輝きを取り戻してくれました。

 分からないことは、経験者に訊く。と言う事で、小西さんへ出版の相談をしたのが1月下旬。そこで、私もクラウドファンディングで本を予約販売することを決めたのです。

本のタイトルとテーマにたどり着く2月

 クラウドファンディングは、簡単に言うと予約販売です。
 欲しいと思ってくれる人が予約してくれる。自分の作品や商品をしてもらい、ファンになってもらう。それが、クラウドファンディングだという認識はありました。

 私に、そこまでたくさんのファンがいてくださるんだろうか?
 性教育の本に、そこまで需要が有るのだろうか?

 やはり悩みは、そこに立ち戻ります。

 だから、今までにない視点からの性教育本を作らないと支援に繋がらない。でも、それってどれだろう?
 何が私にお伝えできるだろう。
 私の経験から、本当に役に立つ情報ってどれなんだろう。

 日常の合間に、ノートや紙の裏にアイデアを書きなぐっていきました。

 そこで、自分が性教育を始めようと決めたきっかけに焦点を当てました。私の理想とする性教育は、10歳の時に私自身が知りたかったことを伝える性教育です。10歳の私は、肉体の事よりも内面的なことが知りたかったのです。
 
 自分の個性って、肉体も含めた自分そのもの。つまり、性別は個性の一番中心にあるのではないか?「性別 = 個性」、これだとあいまいなので、「性別 = 自分の個性」だと自分事になるんでは?

 と言う事でタイトルには、セクシャルマイノリティを前面に出すわけでもなく、アンダーグラウンドカルチャー色全開にするわけでもなく、「個性」というキーワードとの組み合わせにしたのです。

クラウドファンディング準備の3月

 クラウドファンディングを始めるなら、この日からという日が最初から決まっていました。3月29日。この日は私が最近意識している、マヤ歴という暦の新年にあたります。そして、マヤ歴で年に4日しかない、「事始め」に最適な日なのです。
 クラウドファンディングには、いろんな運営会社があります。今回はキャンプファイヤーという会社でプロジェクトを公開することにしました。理由は、日本で最も有名なクラウドファンディング運営であること。そして、支援者がID登録しなくても、簡単に支援できるシステムになっていることでした。
 2020年4月以降、クラウドファンディングは新型ウィルスCovid-19による飲食店支援に注目されているため、プロジェクト乱立状態ですが、私が運日していた3月時点では、あいさつ文、リターンなどの入力をした時点から3日ほどで申請に関する第一審査が下りました。ちなみに申請しても、内容によっては審査が下りないケースもあるようです。性教育という文言が、どう判断されるのかは、審査の返答が出るまで正直どきどきしておりました。まず、第一段階はOK。そして、リターンの追加、細部の訂正をメールで3回ほど繰り返し、予定通り3月29日の深夜0時から、39日間のプロジェクトが始まりました。


何もできなかった4月

 プロジェクトを公開した直後、Covid-19に対する全国的な自粛モードが加速しました。緊急事態宣言が4月7日に発令され、外出の自粛によって、飲食店をはじめ多くのサービス業が営業を見合わせる状況に追い込まれました。
 私個人は、ぎっくり腰を発症し、長時間パソコン作業することも出来ず、充分なSNS配信もできない上に、皆が大変な時に「本を書くから予約してね!」という厚顔無恥なお願いもしにくいという変な遠慮から、本当に何もできませんでした。

 本を書くこと以上に、全ての収入減を一旦停止された状況をどう考えるか。いつ、自粛が開けるのか?ここまで、経済が激変した後で、性教育を必要としてくれる人は居てくれるのか?

 私だけでなく、多くの自営業そして、会社経営者が頭を悩ませた30日間。
あれほど、暗く閑散とした街中は、人生これっきりであってほしいです。

 4月下旬には、国や各自治体からの支援も決定されましたが、本当に「何をすべきか」「何が出来るのか」「この先どうするか」を真剣に考える日々でした。腰もなんとか治り、気が付けばクラウドファンディング終了まで10日を切っていました。

 そんな中でも、最後の花電車ストリッパーであるファイヤーヨーコさんにリターンのご協賛をいただいたり、たった1度だけお逢いした人からご支援が有ったり、見ず知らずの人からご支援していただいたり、沢山の嬉しいこともありました。

本を書く準備に入る5月

 2020年5月7日。39日間のクラウドファンディングが終了しました。30人、85,000円のご支援を集めることが出来ました。こんな状況下にもかかわらずご支援いただいた皆様、ありがとうございました。自分に絶対的な自信を持つ、なんてサブタイトルに着けておいて、最後の最後までどぶ板的なお願いもせず、ひっそりと始まりひっそりと終らせてしましましたが、それで良かったと思っています。
 連休明けからは、行政への給付金申請を済ませ、本をどう書いていくかに意識を持っていけるようにしました。
 腰が回復してから約一か月、毎日1000文字程度のコラムを書くというリハビリも続け、パソコンへ向かう習慣も身に付きました。生活のリズムも、執筆と運動を日々の日課に取り入れたスケジュールにすっかり慣れ、書ける環境に意識を持っていけています。

 今、この投稿記事を書いているパソコンは、ウィンドウズ7なので給付金が無事入金されたら、軽量のノートパソコンを入手して、バリバリ執筆を始めたいと思っています。
 
 本音を言えば、原稿用紙にちまちま書き綴っていきたいのですが、どちらにせよ入稿はデータになりますし、文字入力することは決まっているので、アナログとデジタルの両方で作業していく予定です。

 文字を書くことは、小学生のころから好きですし、言語化するのは得意な方ではありますが、それでもド素人の部分がまだまだあります。
 これからもっと良い文章が紡げるように、さらなるインプットもすることにしました。ひょっとすると、7月の出版が伸びるかもしれません。ですが、本当に伝わる本に仕上げますし、なにより「名刺」代わりの本になるので、納得いくものをお届けしたい。
 
 なかなかこうした裏話を書くにも、踏ん切りがつきませんでしたが、今こうして書いてみてタイミングって、本当にあるなと感じています。

 お酒や調味料が発酵し、風味が出来るように、感情や想いもまた時間が必要なのです。今、この時期じゃなかったら。この騒動を経験したから書ける事をこれから、紡いでいきます。
 

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