尾鷲の蜜柑
※この記事は投げ銭制です
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数年前に亡くなった私の祖父は、理系の大学教員をしていたのだが
そのお弟子さんたちは祖父の生前はもちろん、
逝去してもう何年も経つのに、
いまだにこの時期になると、わさわさと集まって、忘年会を行っている。
その祖父の研究室のお弟子さんであるJ先生(現、某大教授)から今年も忘年会のお知らせを頂いた。
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○○研の皆様
もう何回目になるか数え切れませんが,またまた忘年会の季節が
巡ってまいりました.
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面白いと思うのはこの研究室出身の皆さん方と私がメールをやり取りすると、多くの方が、
文章途中は読点「、」ではなくカンマ「,」(しかも必ず半角)であり、
句点「。」でなくピリオド「.」(これも半角)を打っていらっしゃることだ。
彼らの主な仕事は数式を綴ることだからだ。
私は文系だからかもしれないが、横書きでも読点と句点「、」「。」を打つ。
祖父の死後もう何年も経つのに皆さん毎年必ず集まる。
だいたい15人ぐらいは集まる。
昨年は祖父の生誕100周年で、昨年か今年か、研究室の第1期生の先生がたが米寿を迎えられたとか。
つぎの東京オリンピックの年までは、頑張ろうと思います。とおっしゃった1期のM先生。
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忘年会の連絡はメール宛にCCで連絡をいただくのだが、
衝撃的なことに、今年も名簿になぜか私だけ「様」がついている。
毎年このおじいちゃんばかりの忘年会に私がワンピースでお邪魔すると、
なぜかこの小娘(私)は上客扱いとなり、
私のために申し訳ないほどお茶やら給仕やらしてくださる幹事J先生(推定65)。
偉い人なのに恐縮するほどに腰が低い。
だいたい昼に2時間きっかり、集まる。
多くは時間前にいらっしゃり、
店を決めてくださる幹事Iさんがわさわさとビール、ノンアル(ノンアルコールビール)、ウーロン茶の注文をとる。
会がおひらきになると写真を撮ることも忘れ、さああっと解散する。
コース料理なのだがだいたい何品かあらかじめ抜いてある。
平均年齢が高いので食べきれないらしい。
私はウーロン茶を飲みながら、
皆さんの統計学やアクチュアリーや、数理関係の論文や、
この一年の仕事を伺い、
祖父が当時何をしてきて、
いま自分にどんなベクトルが生きているかを確認する。
酔ったWさんが私に叫ぶ、
「○○先生は本当に偉い方だった」。
おととしの忘年会で話したSさんは、
直近納品された仕事の内容について私に話してくださったのだが、
数日後、「はじめて研究仲間以外に、自分の仕事を聞いてもらい、理解してもらえてうれしかった。」という趣旨のメールをくださった。
私にもわかるように皆さん上手に話してくださるので文系と理系の区分けはナンセンスだとも思うけれど、
それも基礎的な研究があってこそ。
来年もちゃんと生きようとおもう。
ちなみに祖父が逝去した年、J先生の親御さんがお悔やみにくださった尾鷲の蜜柑は最高に美味しかった。みかん。あれを越えるものはまだ食べたことがない。
量もおいしさもすごすぎて、結局何の接点もなかった私の勤め先の方にも配った。
死んでもなお人様に富をわけるわたしのおじいちゃんはやっぱりすごい。
と身内ながら内心感心する。
今年もそういう集まりがある。
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