ミュージシャン④宇多田ヒカル~21 「HEART STATION・Stay Gold」

「HEART STATION」この曲もまた不思議な作品ですね。「この曲の調性は何か」と言われたら、簡単に答えられると思います。

ただあまり調性を感じないんですよね。

和声が機能的に使われていないからだと思います。感覚的に並べているだけ、といった感じに近いのかもしれません。

そういう意味では前作に近い印象です。

ただ今回特筆すべきは、カップリングの「Stay Gold」だと思います。というのも、「編成」に捉われていない作品だからです。

ミュージシャンって意外と無意識の内に「この楽器は鳴っているべきもの」的な感覚があって、だからこそ世の中にはドラムやベースが自明のものとして入っている作品が多いです。

別に誰が決めた、という筋合いのものではないのに。

「Stay Gold」はそういう所から抜け出していますよね。一般的にはこの編成、ほとんど無いと思います。

これって今の宇多田ヒカルさんにも通じるものがあるんですよ。今の宇多田ヒカルさんって、この楽器は使わなきゃいけない、といった感覚からは全く自由に音楽を制作していますから。

言ってみれば今の宇多田ヒカルさんの「萌芽」とでも呼ぶべきものかもしれません。

「人間活動」の前と後は「非連続的」なものとして語られることも多いですが、意外とそうではなくて、「連続性」を持った部分も多いことが如実に感じられる作品です。

そう考えると「Stay Gold」は意味の大きい作品だと感じています。

ほぼ書きたいことを書いていて、読んでいただけることも期待していませんが、もし波長が合えばサポートいただけると嬉しいです!。