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1日1ショート・その60「あめちゃん」

歴史的な大干ばつが起きる。
川や池の水はすべて干上がった。

ジェレミーは冷たいシャワーを思う存分浴びた日のことを、
かつて川だった場所に腰掛けながら考えていた。
今では濡らしたタオルで体を拭くぐらいしかできない。

「はー」

息を大きく吐き出し、川だった場所に体を横たえてみる。
ここには本当に水があったのか。

と、地面が振動しているのに気づいた。
ジェレミーは上体を起こし、川の上流の方に目をやる。
何かがやってきている。

どでかいナメクジのような見た目。

大きなナメクジはジェレミーに気づき、
動きを止めた。

「アメチャンヲクレ」

飴ちゃんだなんて、どこかの国のおばさんみたいな言い方をするんだな。
ジェレミーは必死そうなナメクジの姿を可哀想だと思い、
ポケットに入っていたキャンディを一粒あげた。

ナメクジは飴を舐めると、
「チガウ〜〜」
と叫び、爆発した。

ナメクジの体は水滴になり、
空から大量に雨のようなものが降ってくる。

気持ちいい。

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