僕は『繊細さん』

最近話題の『繊細さん』という言葉。僕もそれに該当する人。
HSP(Highly Sensitive Person)という気質を持った人のことを、良い意味で呼ぶためにこの言葉が誕生したみたい。

最近繊細さんに関する本をいろいろ読んだので、自分の感じ方で繊細さんについてまとめてみた。


そもそも『繊細さん』とは

繊細さんと呼ばれるHSPとはそもそも何なのか。大事なのはHSPは病気じゃなくて「気質」だってこと。心理学者アーロン博士によって定められたもので、生まれつき人が持ってるもの。
人間など全ての動物の20%はこれに該当するらしい。生物が生き残っていくために、人一倍繊細で敏感な生命体が生まれるべくして生まれたという感じ。

背が高い人が、背を縮めることができないのと同じ。
繊細で敏感な人が、鈍感になることはできない。


次の4つの性質(DOES)に全て該当する人が、HSPに定義される。

1. 深く処理する(深く考える) -Depth-
ものを見た時や話を聞いた時などに、非・繊細さんが1の情報を受け取るのに対して、繊細さんは10くらい受け取る。
僕の場合、何かタスクを処理するときに細かいところまで気を配って、なるべく失敗のリスクを減らすことができていると思う。これは良い面なのかな。
一方で、人から何か言われたときに言葉をまっすぐ受け取ることができず、言葉の裏にある意味はなんだろうとずっと考え込んでしまう。それも大体自分に悪い方面で。

2. 過剰に刺激を受けやすい -Overstimulation-
一度に受け取る情報量が人よりも多いので、刺激が多い空間にいるとかなり疲れてしまう。
僕の場合、ライブとかパーティとか人がたくさんいて盛り上がってる空間が当てはまっていて。しばらくは空気感についていけるんだけど、ふとした瞬間に「あ、無理かも」ってなる。そしたら1人でささっと会場を離れて、人が少ないところで休憩してる。
あとは街中を歩いてる時かな。僕は特に音に弱くて、車の音や自転車の音、人の話し声など、気にしだすとキリがなくなる。だから僕は外出時は常にイヤホンを身につけてる。音楽を聞いていれば少し緩和できるから。

3. 感情反応が強く、共感力が高い -Emotional & Empathy-
人の意思や気持ちを察しやすい。良い意味でも悪い意味でも。
僕が一番嫌なのは、怒られたり注意されたりしている人と一緒の空間にいること。自分が言われている時よりもキツい。つまり、その人への共感力が強すぎて、本人以上に悲しくなってしまうのかな。
良い面としては、作品への感受性が高いこと。映画やドラマ、アニメなどの作品に人よりも入り込めるんだと思う。映画は9割泣く。同じものを5回以上見ても毎回泣く。音楽もそうかな。好きな音楽は聞くだけで涙出てくることもある。

4. ささいな刺激を察知する -Subtlety-
小さな音やかすかな匂い、表情の変化など、細かいことに気付きやすい。
例えば図書館で勉強している時。遠くでドアが閉まった音やペンが落ちた音とかよく聞こえる。人のため息とかめっちゃ耳に入ってくる。だから勉強するときも大体音楽聞いてる。
あと、街中ですれ違う赤の他人の表情を分析してしまう。「あ、なんか落ち込んでそう何があったのかな」「すごく嬉しそう、いいことあったんだね」とかいちいち唱えてる。人の機嫌に左右されやすいのもこれのせいかもしれん。


これら4つの特性全てに当てはまる人がHSPで、一つでも当てはまらないものがあれば厳密にはHSPではないらしい。



『繊細さん』の生き方

基本的に繊細さんは生きづらいと言われている。そりゃ5人いて自分以外みんな非・繊細さんだったら疲れるよな。みんなが気にも留めないような事を気にしてしまうから「自分がおかしいのかな」と感じてしまう。

でも、そんな繊細さんがやっちゃいけないことが「繊細である自分を否定すること」らしい。前述したが、HSPというのは生まれつきのもの。身長を無理やり縮めることと同じくらい、自分ではどうしようもない気質なのである。そんな繊細さんがうまく生きるには「繊細である自分を認めること」が大事。悪いところばかりでは決してないので、良い部分を十分に生かしていけるような生き方をすれば、人生がとても楽しくなるようだ。


例えば人付き合い。
繊細さんは非・繊細さんに比べて、相手の第一印象の正解率が高いと言われている。つまり、初めて会ったときに「この人とは気が合いそう」と思ったら生涯付き合っていく人になるかもだし、「この人は苦手だな」と思ったらなるべく付き合わない方がいいらしい。
しかし、繊細さんはそんな自分を殺して、むしろ苦手な人ほど優しく接してしまう傾向がある。「人を嫌いになる」という負の感情を嫌がるので「仲良くしなきゃ」と思っちゃう。

確かに僕も、昔からそういう傾向にある。周りのみんなが総じて嫌がっている人に対しても、なんだか申し訳ない気持ちがあって仲良くしちゃう。それで面倒なことに巻き込まれることも何回かあったけど。

でも、繊細さんがうまく生きるためには「人は嫌っていい」というのを覚えることかららしい。それも裏で隠れてとかではなく、そういう自分を堂々と出せることが大事なんだと思う。「本当の自分」を出すってやつ。まあこういう所があるから繊細さんは「思いやりがある優しい人」って言われがちなんだろうな。


コロナ社会と『繊細さん』

今年の3月頃からコロナウイルスの影響で自粛生活が始まっている。もう3ヶ月以上もまともに人と会っていない。
そんな生活が繊細さんにとってはどうなのだろうか。人と会わないから人に気をつかう時間が少なくなって、楽になる?と考えることもできるし、コロナによる生きづらさとHSPによる生きづらさが掛け合わさって超生きづらくなるとも考えられると思う。
ここまでコロナ社会で生きてきて、僕はおそらく後者である。


確かに、対面での人付き合いはほとんどなくなった。ただ、それに伴って非対面式のコミュニケーションが増えた。テキストによるメッセージやzoomなどのビデオ会議システム。それも、前から仲が良かったメンバーではなく、新しい環境でまだ対面で全然話したこともない人とのコミュニケーションが増えた。それが僕にとっては辛い部分だった。

僕はとにかく人の言葉の裏を無意識に把握してしまうので、それが得体のしれない相手のメッセージとかならなおさら想像が広がってしまう。「もしかしたら怒っているかも」「もしかしたら呆れられているかも」とか無限に考えている気がする。それで、そう思わせている自分情けないなあ、というふうに勝手に思考が回ってしまう。本当は考えすぎなんだろうけど。


僕の生活では、コロナによって見えない人間関係が増えたため、非常に生きづらくなってしまっている。今まで自分に豊かな感性を与えてくれていた音楽活動も、コロナのせいで全くできなくなっている。生活の中のプラスが消えてマイナスが増えた感じ。
そのせいで6月あたりから定期的にうつっぽくなっている。うつ病と自粛生活は死ぬほど相性が良くてほんとに困ってしまうよ。


『繊細さん』のいいところ

僕はこれまで自分がHSPであることは認識しつつも、HSPだからこその良い面を見つけられなかった。自分の全てが憎たらしく思えた。
ただ最近繊細さんに関する本を読み、日常を見直してみることで、一つ「これは自分が人よりも持ってる良いところ」なのかなと気づいたことがある。あくまで僕個人の考えるいいところだが。

誰よりも素敵な愛情を感じることができるってこと。

何それって感じだけど、この言い方が自分には合ってる気がする。HSPの特徴として、感受性が強いっていうのがあるけど、それに近いかな。自分の愛情っていうよりは、他の人や物に宿る愛情を感じることができるってこと。

ドラマや映画で僕が好きなのは、恋愛映画とか青春モノとか。純愛のある作品が好きなんだと思う。「守りたいあの人のために頑張る主人公の姿」にめっぽう弱い。そこに生まれる愛情がどうしようもなく愛おしくて泣いてしまう。

愛情を感じるのは人だけじゃなくて、景色とかもそう。僕はあまり景色を写真に残すのが好きではなくて、今生で見えてる景色が何よりも素敵なものだと感じているから。
たとえ都会の街中を歩いている時でも、夕日と工事現場が重なって綺麗に見えたり、横断歩道の真ん中から横を見た時に遠くまで道路が見えたり、予測しないタイミングで綺麗な景色がやってくる。そんなときに写真にとるわけじゃないんだけど、どうしようもなくその風景が愛おしくなって少し目頭が熱くなるんだよね。僕はそれを「景色への愛があふれているから」だと捉えている。


思い返してみると、僕はもしかしたらめちゃくちゃ感受性が高い生き物なのかもしれないと思って。それは誰よりも人間らしい人間ということかなと思って。自分が周りよりも優れているのはこの部分なんじゃないかと思った。人間の持つ愛情はこれからも絶対大事にしていきたいな。
愛はお金じゃ買えない派。100:0で愛。



『繊細さん』との向き合い方

これはどちらかというと非・繊細さん向けのもの。『繊細さん』が周りにいた場合にどうすればいいのか的な話。

結局HSPというのは気質なので、自分の力で変えることはできない。繊細さんはいつまでも繊細さんだし、そうでない人はずっとそう。だからこそお互いの理解が必要。繊細さんが「自分は繊細さんなんだ」と認めてあげるのが大事なのと同様に、非・繊細さんは「繊細さんなんて人がいるんだ」って理解するのが大事みたい。

別に特別な関わりをしなきゃいけないわけではない。というかできない。繊細さんの持つ感性と非・繊細さんの持つ感性は絶対にお互いに理解できないものらしい。そもそも脳神経の働き方が違うだとか。だから特別何か気にすることもないけれど、そういう人もいるんだなぁくらいは思っておくといいみたいだ。

僕自身も、自分が繊細さんであるということは十分認めることができたので、次は繊細さんの良いところに目を向けていく努力をしたい。

いつかこんな自分が大好きになれる日が来るといいな。




今回は長めでしたがここまで読んでくださりありがとうございました。