七丘合体 S.P.Q.R.ユピテリオン

 地中海の風が吹く古代ローマの草原を、全高1スタディオンにも及ぼうかという、およそ古今の地球に有り得べからざる巨大な六足の異形が蹂躙していく。

 逃げ惑う人々、無造作に薙ぎ払われる軍団兵。その様子を名高きローマのセルウィウス城壁から鋭く睨む、赤紫のトーガを纏った男が一人!男は片腕を天に掲げ高らかに叫ぶ!
「元老院およびローマ市民の名のもとに、来たれユピテリオン!」

 その瞬間、ローマの七つの丘がまばゆい雷光を天へと放ち、それぞれの丘の宮殿や神殿が、雷鳴とともに狼や馬など様々な姿を模した巨大な機械へと変形した!パラティーノの丘から飛び立った機械鷲が、城壁上の男を掴み上げ、上空へと舞い上がる!

 機械群は変形合体し神話の巨神と見紛う姿を作りあげると、異形の眼前に堂々と立ちふさがった。七丘合体ユピテリオン。いかなる歴史書にも記されぬ、古代ローマの最終兵器……かつて人類の存亡をかけて戦った巨大戦闘機械である!

【続く】

(本記事はフィクションであり実際の古代ローマやラテン語などには準じない部分があります)

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