見出し画像

メメント宇宙の死(2020/3 月報)

 どうも。3月は何かと世の中の情勢が険しい感じの月でしたね……原因が原因だけに一過性で片付かない……というか年単位で続きそうな問題なので、この雰囲気が当面続くと思うとなかなか厳しいところ。個人的にもそれに加えて仕事がかなり忙しかったり、親族が亡くなったりと色々あって非常に疲れました。
 こういう時には(意識的にも無意識的にも)スケールの大きいことを考えていることが多いです。地球の死とか宇宙の死とか。

 40億年後には巨大化した太陽が地球表面を焼き尽くすことがわかっていて、宇宙自体が最終的には平衡状態になって死ぬ(という考え方が今のところ主流になっている)ので、今の自分が何をしようと人類がどうなろうと、最終的にその行動の結果や意味は一切残らなくなる。

 そういう意味では世界や未来の事をどうこう考えても、地球規模宇宙規模で考えれば最終的には無になるだけで、というかスケールをそこまで広げなくてもどうせ死後のことは感知しようがないのであまり意味はなくて、あくまで「現在の自分」にフォーカスして良い感じに生きられるように粛々とやっていくしかないんだよなーと(ふんわり)まあ最近はそんなような感じです。

先月の月報

ゲーム

今月はとにかく気力がなかったので、感想を書くような新作や遊びこんだゲームは少なめで、旧作をちょこちょこ遊んでいることが多かったですね。「HellSinker」「怒首領蜂大復活」「Slay the Spire」「モンハンIB」あたり。HellSinkerはいい加減クリアできるようになりたい……

OneShot

 積みゲー崩し活動の一環。2年ぐらい前に買って以降ライブラリの肥やしになっていた。

 「パズルアドベンチャー」と銘打っている通り、戦闘やアクション要素は皆無で、純粋な探索と謎解き、そしてストーリーを楽しむタイプのゲーム。
 探索・謎解きに関してはオーソドックスなツクール系・脱出ゲーム系の文脈という感じですが、このゲームを特徴づけているのはゲーム内から直接的にプレイヤーに働きかけてくるメタ演出の数々。

 PC上で動作するゲームであることを最大限に生かした「お行儀の悪い」演出は非常に個性的かつ強烈で、それを見るためだけでもプレイする価値は間違いなくあると言える作品。脇を固める音楽やグラフィックも良好で、いかにもインディーらしい尖った佳作という印象ですね。

 まさにタイトル通り「Oneshot」、一回性の体験に全振りした感じのゲームだったので、もし興味があって未プレイの人がいれば、なるべくこの手のレビュー文章を見ずに早めに遊ぶべきだと思います。ここでは一応具体的なギミックなどのネタバレは避けますが……

画像2

 残念ながらメタ演出以外の部分に関してはゲームとして緩急に欠けた退屈な部分が多く、機能的にも不便な部分が多く目についてしまい、遊んでいて軽くストレスを感じた部分が多かったですね……。
 特にマップが無駄に広すぎる印象が……移動可能な床面積が1画面に収まらないサイズになっているエリアが多く、通路があまり明確になっていないので、探索範囲の見落としや進行順のミスがないかと気になって微妙なストレスを感じがち。これはちょっと私が神経質すぎるだけな面はありますが。

 また、退屈なゲームパートはともかくとして、物語部分に関してはもう少しじっくりやってくれても良かったのに、という印象も。
 割と複雑な世界観を駆け足気味に説明されるので、真相を知る仲間キャラと黒幕の対立には完全に置いてけぼりにされてしまった感があり、そこまで核心に触れない部分でも会話や交流が全体に短めに片付いてしまうので、あまりキャラに愛着を持てなかった印象。
 世界設定もキャラへの愛着もクライマックスでかなり重要になってくる要素なので、ここでもう少し積み重ねがあれば……!と思ってしまいます。特にキャラは光るものがあるので、もっとじっくり交流して魅力を見たかった……

 しかし設定の複雑さにしても置いてけぼり感にしても、「プレイヤー=主人公キャラ」という形態ではなく、「プレイヤーはあくまで世界の外から干渉している存在である」という構造のために結果的にそうなってしまったという部分はあるのかなと。そしてこの構造は間違いなくこの作品の最大の長所になっている。

 メタ要素を取り入れたゲーム、特に「プレイヤーがゲーム世界に対して強い影響を与えることの暴力性と理不尽さ」みたいなところを語る作品だと、インディー界隈であまりに強力な先行例が思い浮かびます(一応タイトルは伏せます)が、本作も同じところにチャレンジしつつ、よりメタ要素に強くフォーカスして、作品内のストーリーと設定に「プレイヤー」をがっつり組み込んでいる。

 プレイヤーを「プレイヤー」として最後まで一貫した立ち位置で物語に関わらせるというのはかなりのチャレンジだったと思いますし、それによってゲームの世界が「プレイヤーである自分自身の力が無ければ救われない世界」であるということがとても効果的に演出されていた。加えて何より、ニコ(操作キャラ)との交流の感触がゲームとして唯一無二のものになっていて、多くのシーンが非常に印象深く心に刻まれました。

 全体として、不満点は少なからずあるにせよ、間違いなく記憶に残る旅が出来たゲームだったなと思います。

 綺麗なピアノとアンビエントな感じの曲調が退廃的な世界観と合っていてとても美しかったんですが、一貫して暗いノリなのでこれを聞き続けるのはちょっと重たかったですね。「Library Stroll」の空間感(?)が良い。

ドールズフロントライン

 サービス開始直後にちょろっと触り、あんまり惹かれる要素がないなーと早々に放置してそれきりだったんですが、精神的に疲れて何もやる気が起きなくなっていた時期にうっかり復帰。今年はソシャゲはやらないつもりだったんですけどね……

 先達の情報と支援がある状態で集中的に遊びなおして気づいたのが、このゲームが凄まじい拡大再生産的なバランスで成り立っているゲームであるということ。
 単に戦闘ユニットの性能を見ても、レベルを上げると単にステータスが上げられるというだけでなく、そもそもキャラ自体が「増える」(編成拡大)ようになっていて、キャラの戦闘力は「1体ごとのステータス×編成数」がベースになり、さらに各種のバフを重ねがけして戦闘能力を上げていくシステムなので、全体的に「掛け算のゲーム」になっている。
 うまいことに、戦闘能力などステータス値は全体的に公開データとしてわかりやすく表示されるようになっているので、育成すればするだけグングンと戦闘力が上がっていくのを実感できて、「プレイによって数値を上昇させていく」というゲームの根源的な面白みがあります。

 加えていわゆる「遠征」とかその手のシステムも進めれば進めるほどに高効率高リターンのものが開放されるようになっているので、遊べば遊ぶだけ資源効率などゲームとしての快適性も向上していくバランス。
 システムの複雑さや序盤の渋さによる間口の狭さはどうなんだという印象はありますが、どうにかそこを乗り越えられれば達成感・成功報酬みたいなところは安定的に強く得られる構造になっているんだなあと感心しました。
 それはつまりエンドコンテンツまで到達しちゃうと途端に……というフラグじゃねえのという感はありますが、とりあえず当面はほどほどに楽しんで遊べそうです。あと9A-91がかわいい。

CivilizationⅤ

 今更Ⅴかよという感もありますが、先日セールの時に友人に勧めている間に久しぶりに遊びたくなってしまったので。
 結果的に友人は買わなかったので、ひとりでにミイラになっただけに終わりましたが……。まあいつ遊んでも一人で遊んでも楽しいゲームだからOKでしょう(?)

画像1

 以前は適当プレイの国王プレイヤーだったんですが、今回は皇帝で2戦2勝。調子に乗って不死チャレンジしたらボロクソにやられました……
 昔遊んでいた頃にはちゃんとデータ的なところや定石を調べた事がなく、まあ勝利までには早くても400ターン以上はかかるよねという感じだったんですが、軽く調べてちょっと意識して遊んだら300ターンあたりで既に宇宙開発に手が届き、366ターンで宇宙勝利、みたいなレベルで世界が変わって困惑。1900年代入る前に核開発とは……。

 しかしまあCivⅤはやはりよく出来ているゲームだなあと。全体として遊びやすくシステムも明快で、「強力だがプレイの上では退屈」みたいな体験の質を下げるテクニックも少なめ。それでいて深堀りしてみると別世界が見えてくるという絶妙のバランスで、一番他人に安心しておすすめできるストラテジーだと思います。

 こうなるとⅥも気になりますが、あれはまあDLCが出切ってコンプリートエディションが出るまで待つとして、逆にⅣを十分に調べて遊び込んでいないのが心残りになってきてしまう。
 ただまあ今からアレに手を出すと他の積みコンテンツの消化が大変なことになってしまうので、まあ多少触ってあるだけでもOKということで自分を納得させておきたいと思います。

アニメ

 冬アニメ終わりましたね。春アニメは今の所気になる作品が全然ないので、話題作の後追いか過去作漁りのシーズンになりそうです。

マギアレコード

 12話まで視聴完了。「週刊女女の緊張感」という感じのアニメでしたね……。毎週凄まじい感情が供給されて恐ろしかった。後半は制作のギリギリ感が伝わってくるような画も多かったですが、ともあれ全体としては演出もかなり決まっていてお話も面白くキャラも良く大満足。友人界隈ではアニメからゲームのほうに入った人も多いですが、私はゲームの方はちょっとダメでしたね……。

 人物から人物への感情の籠もった台詞の表現がとにかく見事なアニメでした。短い台詞の中にキャラクター同士の距離や温度感、過去の関係や信頼関係、そして嫉妬心など、互いの感情とその変化が絶妙に匂い立ってくる。毎話どこかしらの台詞で「ウッッッッ!!!!!」と悶えていた気がします。二期が楽しみ。

 EDでやちよさんが傘2本持ってる理由とそこからOPに繋がって意味合いが変化する流れを””””理解””””した回ですごい声が出た。ClariS曲は外れないですねホント。

映像研には手を出すな!

 これも崩れず最後まで突っ走った感じのアニメで良かったですね。1月時点での好印象が最後まで続いた印象で、やはり「アニメ制作のアニメ」という点での映像的ハードルをキッチリ超え続けてみせたのはお見事。登場キャラが自分の信念を通しきったのも見ていて気持ちが良かった。

 全体的には大満足なんですけど、一つだけどうしても引っかかっちゃってるのが、声優オーディションまでして最終制作物にほぼ声入ってなくね……? というあたり。いくら内容変更があったとはいえそれは流石に怒られるのでは……いやまあアニメ内で流しているのはダイジェスト版であって作中世界において実際に作ったアニメではちゃんと喋ってる、というような感じなのかもわかりませんが。

異世界レビュアーズ

 いやあダークホースでしたね。めちゃくちゃ面白かった。「これをアニメにしよう」「地上波で流そう」と実行に移した人間がいることがすごい。各局ぜひとも最後までやりきって欲しかったですね……。(というか一回やると決めたものを放送中止にすること自体はやはり表現の自由の問題ではあろうと思う)

 若干誤解を招きそうな表現になるので、別にことさらSF「だから良い」とかSFの功績扱いにするとかそういう牽強付会的なニュアンスは無いと断っておきますが、すごくSF的な話だよなあと。固有の文化を持つ沢山の種族とそれぞれの視点を徹底的に考察して表現していて、全くの異文化、新しい価値観に触れる驚きと面白さに満ちている。

 それでいてどの価値観が良いとも悪いともせず、「あくまでこの人物の価値観からするとこう」のラインを超えないのが心地よい。いち視聴者の私からすれば全くギャグにしか見えなかったり不快に感じたりする部分もあるわけですが、作中でもちゃんと不快感を表明する役割のキャラが居るので、そのように感じること自体を否定していないというバランスが絶妙ですね。

 また、作品の内容的に当然注力されてるポイントではありましょうけど、サキュ嬢もあれだけたくさんの種族のキャラを毎話大量に出しておきながら安定してデザインの出来が良くて、それぞれの個性と魅力を持っていたのもすさまじいことだよなと。嬢じゃないけど産卵の店の受付のミミズクの娘がめちゃくちゃ好きですね。

PSYCHO-PASS

 今更ながら「1」ですね。去年末から少しずつ見てようやく完走。いやー面白かった!

 SFガジェットは格好良く、それでいて程よく胡散臭くて、世界設定も理想的なようで閉塞感と矛盾が漂う良い感じのディストピア。その社会の中で変化する人間性と変わらないもの、ロートル刑事の矜持、親子の絆、因縁の対決……。
 SF管理社会刑事モノ、という構成要素で期待するものを全部やりきってくれた感じのアニメで、とにかく全体的な完成度と納得度が高かった印象。改て感想を書こうと思うと付け足せることが全然ないですね……。とにかく面白かった。
 「2」以降はなんかあんまり評判が……な雰囲気なので一旦保留にします。

ファウンデーションシリーズ

  2月3月でゆっくり読んで「第二ファウンデーション」まで読了(読書ペースが絶望的に遅い)。さすが有名シリーズだけあって間違いなく面白かったですね。「ファウンデーション」の段階では「歴代ファウンデーションのリーダーがいかにして技術と機知で宇宙の敵を打ち倒していくのか」みたいなシリーズなのかなと思っていたんですが、同一シリーズ内でどんどん方向性が変わっていくのでびっくり。しかしどのエピソードもそれぞれ面白かった。

 超能力的な概念が出てくるのはちょっと時代を感じるところかなあと思いましたが、読んでいくとこれが面白い。「人間集団の行動を数学的に予測する」心理歴史学という土台ギミックに対して「突然変異によって生まれた圧倒的な特殊能力を持つ個人」が最強の敵として立ちはだかるというのは確かにお見事。
 「ファウンデーション」時点では「カリスマ的指導者による(科学による背景を元にした)宗教的な力による敵の支配→経済力による敵の支配」と遷移したところ、最終的に問題解決の主体が「指導者ではない個人の行動による現状の打破」となるのは政治的なニュアンスが強くてとても興味深いところでもあります。

 で、「ファウンデーションの彼方へ」の電書化はまだですかねハヤカワさん……続き読みたいんですけど……あと「夜明けのロボット」も……

その他とまとめ

 先月までの月報の反省を生かして3月は省力的……というより触れたコンテンツの量が単純に少ないだけですねこれ。Oneshotの感想とか単体で見るとかなり長くなってる……。

 その他だと2回めのスノーボード行ったぐらいですかね。かなり思い通り滑れるようになってきて楽しい。事故は怖いですが……(ウインタースポーツベテランの友人が重症を負ってビビった)

 しかしまあ2月は(結局形にならないにせよ)ちょっと絵を描いてみようとか文章書いてみようという気力があったのに、3月は全くその手の気力が湧かなかったので、4月はその辺ちょっとどうにかしたいですね。
 幸いにも仕事量は控えめで、場合によってはリモートワークもできそうな情勢なので……まあ原因が原因だけにあまり喜んでばかりいられるものでもないですが……浮いた時間で気力を回復させられたら良いなあという感じ。
 インドア派オタクの本領発揮とばかり、ほどほどに楽しみつつ頑張っていけたら良いなあという感じです。

 とりあえず3月はこんな感じで。お付き合いいただきありがとうございました。健康に気をつけつつやっていきましょう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?