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「中立的アドバイザー」に続き既存金融機関のアドバイス強化策を検討か/【金融当局主要会合傍聴録】顧客本位タスクフォース第5回会合(2022/12/6)

金融庁で12月6日、首相の諮問機関である金融審議会傘下の作業部会の一つ、顧客本位タスクフォースの第5回会合が開かれました。11月に政府が正式決定した資産所得倍増プランを踏まえ、中立的なアドバイスを提供する新業態に関する制度枠組みの構築や、顧客本位の業務運営に関する原則の一部ルール化などを盛り込んだ報告書(「中間報告」)の策定に向けた最終調整を行いました(報告書はその後、12月9日に正式確定)。会合では、今回の報告書で直接的な記載が見送られることになった、既存金融機関のアドバイス機能を強化する策についても近く具体的な検討を進める方向で意見の一致がみられました。

「中立的アドバイザー」から「顧客の立場に立ったアドバイザー」に

今回の報告書の柱は、顧客の立場に立ったアドバイザーの見える化と、「顧客本位の業務運営に関する原則」の一部ルール化および見直しです。

これまでのタスクフォースの議論や資産所得倍増プランの記載によれば、ファイナンシャルプランナーの資格保有者などを念頭に、中間層に家計の総合的アドバイスを提供する新業態「中立的アドバイザー」を、24年をめどに政府が新設する金融経済教育推進機構(仮称)が「認定アドバイザー」として公認。さらに、投資助言業の要件を緩和した新たな枠組みで登録を受けた場合には、通常は禁止されている個別銘柄の言及が、つみたてNISA対象商品などに限定して解禁されるとの方向で制度改正が進められる見込みです。

当初、新たな業態については事務局作成の資料などで「中立的アドバイザー」という呼称が用いられていました。事業者にとって実入りの大きい商品やサービスに提案が偏る手数料バイアスを排除するため、既存金融機関と利害関係を持たず、顧客からのみフィーを受け取る事業者に限定すべきだとの意見が専門家側から相次いでいたためです。
(関連記事:https://note.com/bluebell_report/n/n24f2a08cac4e

この中立的アドバイザーに関する議論とは別に、金融審内では一時、証券会社など既存金融機関(第1種金融商品取引業者)による投資助言業の兼業を促進する案が浮上していました。投資信託などの従来の販売手数料を廃止するかわり、預かり資産残高に連動したフィーを受け取る新たなプランを導入する動きが証券界に広がっていたことが背景にあります。

今回の報告書の主眼は先述の通り、既存金融機関の規制緩和ではなく、金融機関に属さない中立的アドバイザーのビジネス促進です。ただし取りまとめの過程では、制度改正の対象となる業態の書きぶりが「中立的アドバイザー」から「顧客の立場に立ったアドバイザー」へと改められました。
今後、証券会社の現場担当者などを含めた金融業界全体としてのアドバイス機能の強化に向けた法改正の議論を進める伏線ともみられます。

会合でも専門家委員側から、今回報告書に盛り込まれた非金融事業者によるアドバイスに関する制度整備だけでなく、金融商品販売会社によるアドバイスを含めた双方向から議論を継続すべきとの意見が上がりました(下記「参加者発言要旨」参照)。

顧客本位の業務運営に関する原則のルール化については、現在は事業者が任意で利用する商品比較用の共通書面「重要情報シート」の記載項目である利益相反関連情報(販売会社と組成会社の資本関係の有無やインセンティブ体系など)について、顧客への情報提供を義務化する方針が報告書に盛り込まれています。
(関連記事:https://note.com/bluebell_report/n/n3fc7f02dcf43

また、資産所得倍増プランでは、手数料や利益相反関連の見える化を進める対象に保険を含むとも明記され、今後、純保険料と付加保険料の情報開示に関する議論が庁内で加速する可能性が浮上しています。

参加者発言要旨

(取材メモを基に当日参加者の発言要旨を速報として抜粋。当局が後日公表する公式議事録とは表現が異なることがあります)

【I委員】
(アドバイザー)
報告案に示されているように、金融経済協力を進めていく公的機関は国が主体となり、もっぱら国民のライフプランに合わせたマネープラン実現のための自助努力への支援、金融リテラシー向上のための金融経済教育の実行を目的にしていただきたいと思う。

同時に、機構が認定要請するアドバイザーは顧客の立場に立ち、もっぱら顧客の利益のみを考えて必要なアドバイスができる、顧客本位なアドバイザーであるべきだと思う。

報告案に「中立的」ではなく、「顧客の立場に立ったアドバイザー」と明記され、ライフプランに基づいたマネープランも年金制度も含めて考えていくこと、インベストメントチェーンにおいて、顧客と販売会社の間に入り、顧客の判断をサポートするアドバイザーの役割の重要性もご認識していただいたことは、大きな進歩かと思う。

今後は何をもって顧客本位と定義するのか、認定基準をわかりやすく公表し、ゆくゆくは誰が認定されたアドバイザーであるのか、認定者のリストの公表、そしてこのアドバイザーがどんな人で、何を相談できるのか、育成プログラムの公表も不可欠だと考える。これらを引き続き議論・検討して行くことを強くお願いする。

【S委員】
(「顧客本位の業務運営に関する原則」のルール化)
これは本当に感想だが、やはり規制をルールで当てはめるのは限界があるということで、プリンシプルベースを目指してきたわけだが、実際はインセンティブに合わない部分というのは、なかなかプリンシプルベースでやっていても守られないっていう部分があると思う。今回のルール化っていうのはそういう意味で必要なことと思う。

ただ今後は、やはりルールだけではなく、例えばこれまでいろんな形で見える化を金融庁が進めてきたのは、やはりルールでなんでも決めるのではなくて、自助努力を施すとか、そういった側面があったと思う。そのため、今後もそういった面での顧客本位の業務運営の追求というのも、同じく進めていっていただきたいという希望を持っている。

【A委員】
(アドバイザー)
このタスクフォースでは制度論ということで、中立的なアドバイザーに関する検討が中心であった思う。これまでの会合でも発言させていただいたことがあったとおり、専門性とか、信頼性という観点からは、販売業者などの金融機関によるアドバイスの重要性と言うことについても、引き続き高いものがあると考えている。

このようなアドバイザーについては、今年の6月の市場制度ワーキング・グループの中間整理であるとか、今回の中間報告の利益相反管理に関する情報提供の提案などを踏まえて法令改正が進められていって、制度整備が図られていくと、このように理解をしている。

そういった今回のこの中間報告の言葉を使えば、中立性を有しないアドバイザーについても、顧客の立場に立ったアドバイザーにはなり得ると私は思うので、こういったアドバイザーの活用についても、引き続き政策的な検討を進めていただきたいと思う。

また同時に、日本証券業協会であるとか、全国銀行協会さんであるとか、信託協会さんであるとか、こういった業界団体の方々には、このアドバイザーの取り組みと言う点について、ぜひ実務的な取り組みを進めていただきたいと期待をしている。

【S委員】
最も大切なのは、投資の連鎖に係る業務を行うすべてのものが、顧客、最終受益者の最善利益を最大化する機能を果たすべきものである、ということを共通の認識として、さらに深め、実践していく土台となるということだ。

(アドバイザー)
果たして、中立的アドバイザーというのはどういう存在なのか、顧客の立場に立って最大利益を優先してくれるというのはどういう意味なのか、ということについて、共通認識も知識も私たちはまだない段階だと思う。この要件を緩和して、個人向けアドバイザーが認定されることになるが、このアドバイザーになりたいという人は、様々な職歴・出自等、業務経験や所属機関との関係を持った人々が想定される。

能力がある人がなりたいと思えることが最も重要だが、同時に認定する機関が関連団体からも資金や人材を提供されている、新たな統一された金融教育組織であるならば、関連団体との利益の影響を受けない、顧客の立場に立った中立性への信頼が得られる認定となり、アドバイザーとの関係であるということを信任を得ることも大切だ。

個々のアドバイザーについても、顧客がその中立性を自身の判断基準とできるよう、十分にわかりやすく、利益相反や収益の源泉についてさらに踏み込んだ開示をすることが課題となる。

(顧客本位の業務運営に関する原則のルール化)
ルール化についてもミニマムスタンダードでの底上げと共に、引き続きプリンシプルベースでの顧客本位の取り組みを推進するよう、注釈にも書いていただいているところは非常にありがたいと思う。

報道において、既に重要情報シートほかの記載事項へのルール化について、業界からの懸念をいくつか見かけている。非常に低いハードルを設けても、そのような意見が出てくるということ自体が、顧客本位という考え方が十分に浸透していないことを示しているようにも思われてならない。ルールは一番低いハードルであり、その先の自主的な取り組みが求められていること、先駆的な企業に視線を合わせて評価を続けるようお願いしたい。

【W委員】
(アドバイザー)
アドバイザーの中立性の認定の見える化という話について、中長期的に顧客本位の業務運営ということを考えたときに、販売時のミクロデータというもの業者の方々から基本的には、金融庁の方に見えるようにすることで、できればできる限り細かいレベルで見えるようにすることで、常に顧客本位の業務運営になっているかというのをモニタリングできるような仕組み(づくり)を進めていただけると良いのかと思っている。

【T委員】
(顧客本位の業務運営のルール化)
一部ルール化の方向性が示されたとは言え、金融事業者がルール化されたミニマムスタンダードの遵守にとどまることがないよう、独自の創意工夫を続けていくことが重要とあるが、ここが本当に重要だと思う。

今でも、創意工夫に取り組んでいる会社さんもあるが、ルール化ということだけではなくて、やはりプリンシプルベースでの継続に特に取り組んでいただきたいと考える。

(アドバイザー)
認定アドバイザーについて、今回1つの方策としてということで、金融経済教育推進機構が認定アドバイザーを認定するという話が出た。

その際、能力や実務経験など資格要件についても機構はよくよく検討をしていただきたいというのが1つ。また、認定基準については公表をしていただくことが必要だと思う。

また認定するだけではなく、認定した後のほうが大事で、監督やフォローアップをどこが行うのか、またどうなると認定が取り消されるのか、といった基準をあらかじめ作っておくことが必要だと思う。

また今回は認定アドバイザーに限った議論になっているが、将来的にはもう少し幅広い視点での議論が必要だと思う。

例えば、FA、ファイナンシャルアドバイザーでも、投信の信託報酬を一律にして、顧客からのアドバイスフィーを受け取るようにしている会社さんもありますし、販売金融機関でも購入手数料を無料にして、投資助言会社を別途作ってアドバイスフィーを取る仕組み、アドバイザーフィーを取る取り組みをしているような会社も出てきている。

したがってそれぞれの業態にあった、顧客の立場に立ったアドバイスの形、手数料体系について、もう少し俯瞰して議論して行く必要が今後はあるのではないかと考える。

(確定拠出年金)
情報開示や継続研修などについてはまだまだ課題も多いですので、ぜひ厚生労働省と協力をして横断的に顧客本位の業務運営が進むよう、取り組みを進めていただきたい。

(顧客本位の業務運営に関する原則のルール化)
ぜひ国も顧客本位の業務運営を考えていただきたい。

個人が使いやすいようなシンプルな制度の構築、またライフスタイルが多様化する中で、手続きや資産の移管等に今どうしても手間や時間がかかるという課題がある。そうしたことも国として改善にぜひ取り組んでいただきたいと考える。

【M委員】
(アドバイザー)
アドバイザーについては現在、アドバイザーと言えないような不誠実・悪質な業者が投資助言的なことをして、そういったところに飛び付いた人に被害が及んでいる現状があるかと思う。

そういった悪質・不誠実な人々が跋扈しているようでは、健全で誠実なアドバイザーを育成するということの妨げになるし、国民の投資に対するイメージも悪くすると言うことになろうかと思う。

ですので、ぜひそういう悪質な投資助言的なことをやっている業者、特に投資助言に該当するようなことをやっておりながら、投資助言業の登録をしていないというような人々の取締りを強化していただきたい。

それからもう1つは、この今回の認定アドバイザーと言う制度が、そういった不誠実な人々に利用されないよう、もちろん入り口のところで適切にそういった人々を排除していただくことが必要かと思う。一旦認定を受けてからも何かしらの理由で、そういった悪い方向に進んでしまうような方が出てこないように、継続的にモニタリングをしていただきたい。

【S委員】
家計からの成長資金を企業価値の向上、経済の持続的成長に繋げていくためには、適切な先に適切な形で資金が提供されることが必要と思う。

不適切な先や、不適切な形で資金が提供されると、資金の流れが量的に増えたとしてもかえって成長を阻害することになりかねない。

成長資金の提供について、量と共に質を高めることが必要であり、販売業者や投資者によるインベストメントチェーンがある意味、適切に役割を果たしあって成長を促す資金の流れをつくっていく、そのための制度という視点が肝要と考えます。

第2に、中間報告のとおり、取り組みはいまだ道半ばの状況にあると思います。

今回、顧客の最善の利益義務の法定化が行われます。

金融事業者の皆様におかれましては、指摘されている課題の克服や、さらに今後より洗練されたサービス提供を実現するために、これを機会に、顧客の最善の利益のためにマインドセットをさらに高度化、あるいは変革する取り組みを期待したい。

(プロダクトガバナンス)
プロダクトガバナンス等については、引き続きの検討が行われるものと思いますが、今後の議論の中では顧客本位の業務運営原則の原則6についても、さらなる議論の進化を期待したいと思う。

アプローチとしては原則6本文について、エンフォースメントの実行を図りつつ法定化すること、あるいは原則6の注記に記載されている各事項について、具体的にルールベースの法定化を図ることなどが考えられると思う。

規制のベストミックスを念頭に、複線的・複眼的に検討することも必要と考える。

今後の議論の進化には、引き続き米国のベストインタレスト規制等、実例が参考になると考えられる。

海外の制度整備が販売事業者や販売業者や外務員の行動にどのような影響を及ぼしたのか、投資者行動にどのような影響を及ぼしたのか、あるいはどのような新たなイノベーティブな取り組みを生み出したかについて、今後さらに諸方面で認識・検討が含まれることを期待したい。

イノベーションのためには、適切な規制、枠組が必要と考えるが、インターネット社会における国際競争という環境に鑑みても、このような検討は重要と考える。

いずれにせよ、まずは今回の中間報告に基づいた具体的な制度整備を着実に進められることを期待したい。

【N委員】
インベストメントチェーンに関わる関係者すべてが、顧客の最善の利益とか利益相反とか顧客本位とは何かとか、今回のこの議論の中核にあるものを改めて認識をし、最も良い形で自分たちがビジネスに反映させていくというところを、ぜひ文案だとか、内容とは別の次元で考えていただけることが大事ではないかと考える。

(アドバイザー)
今回アドバイザーに関して、今回は資産形成に関するアドバイザーが中心となった議論がまとまってきた、進めてきたと理解をいたしている。

ただ、仕組債などが販売され、トラブルになっていると言うのはどちらかといえば、現役層よりも退職者世帯の層ではないかと思っている。私は本来、顧客の側に立ったアドバイスが一番必要なのは高齢者層だと思っている。この議論が今回の議論だけではカバーできない部分、持ち越しになった部分だと言うふうに私は感じている。

今後とも幅広い関連から家計に対するアドバイス、アドバイザーのあり方についての検討を継続して行くべきであるという点は非常に大事なポイントではないかと思う。

【M委員】
(顧客本位の業務運営に関する原則のルール化)
プリンシプルベースだけでは対応がなかなか難しいのではないかという指摘があった、その利益相反の可能性の顧客への情報提供について、そこの部分について、ピンポイントにルール化を行うべきであるという提案については、とても重要な部分だと思う。大変重要な方向性が示されたのではないかと思う。

(アドバイザー)
これからその顧客がどういった形で実際にアドバイスを受けるのかについては、まだなんとなくイメージがつかないような状態。少し長い視点で、いったいこの後、日本の個人顧客がどういった形で、金融アドバイスを受けるのかということは少し長い目で見ながら、環境整備をして行く必要があると思う。
個人顧客を対象にするということだとすると、159行目かと思いますが、これまでの状況を見ると認定アドバイザーが行うアドバイスを持続可能なビジネスとして成立させていくことはなかなか困難が伴うと言うことも、個人顧客だけを相手にしていると、確かにそうなのではないかというような気もする。果たして個人顧客がどういった形で具体的にアドバイスを受けるという形になっていくのか。おそらく販売会社から利益相反についての開示も受けた上で、販売会社からアドバイスをもらうという形も重要な形として、もちろんこのまま残るだろうし、そうではなくて認定アドバイザーからアドバイスをもらうという方法と2つ、大きなものがおそらく併存することになるんだと思う。

両方の面について、適切なアドバイスを国民が受けられるよう、少し長い視点で、検討して行く必要があるのではないかなと思う。

【K委員】
言葉の問題のところ。資産運用のところで、例えば185行目とか198行目に「顧客利益最優先」という言葉が出てくる。意味するところには異論はないが、言葉だけを読むと、資産運用会社を含む、金融商品の組成管理者には顧客利益最優先のガバナンスとあるので、それ以外の金融事業者は顧客利益最優先ではない基準というか、端的に言いまして、顧客本位、あるいはベストインタレスト、顧客の最善の利益ということなのかという疑問を惹起する余地があるように思う。

ここは顧客本位、顧客の最善の利益という言葉で整合性を取った方がいいかなと少し感じた。具体的には185行目で言えば、顧客の最善の利益を図るガバナンスとか、あるいは顧客本位のガバナンスと、198行の方も同じようなことだが、ただここは、資産運用会社についてやはり特に問題があると、だから顧客利益最優先という言葉をここでは使うのだという、そういう意図であれば、それで結構だ。

【事務局】
K先生のご指摘のとおり、ほかの事業者さんにも顧客利益最優先であるということは間違いないわけだが、兼ねて当庁の高度化レポートなどで、この用語を使っていたのは、やはり販売会社との関係に着眼して、言葉をこう使っているということなので、そのためそういう意味では少し、他の金融事業者さんと違う観点があるということは言えるのではないかと思うが、用語については少し検討させていただいて、またご相談させていただければと思う。

【N委員】
今回のタスクフォースでの議論というのは、国民に向けたもので、この良質なアドバイスっていうのはどういうものかっていうことは、今後の検討が続くということなので、何が良質なアドバイスなのかということは、絶えず、絶えず議論していただきたい。社会、時代の変化、時代が変わるとともに内容も変わってくるものだと思うので、この抽象的な言葉にとどまらないようにして頂きたい。

(金融経済教育機構)
この新設される機構の活動についてはこれからなので、今後どのような活動をされるのかについては、例えば金融審議会のような場で定期的に報告・チェックをいただいて、国民にその活動の見える化をしていただき、活動のPDCAを回していただきたいということを期待したい。

若い人は当然のことながら、資産形成など経験がないわけだから、金融経済教育を受けるということは大変意味のあることだ。ただ、資産形成に向けた一歩を踏み出してもらうためにも、やはり必要な時に適切なアドバイスを受けられる体制、それが安価に、お金がないから受けられないということでは無いようにしなくてはいけない。安価もしくは無償で受けられなくてはいけないと思っている。そのための国のサポートが本当に必要だろうと思っている。

例えばだが、今回の報告書の中にそのような示唆が見て取れるが、若い人にはアドバイスを無償で受けることができるようなクーポンを国が配る、というようなことも今後あっていいのではないかと考えております。

【N委員】
(アドバイザー)
顧客の立場に立ったアドバイザーと言う、137行目以降ですけれども、ここはどちらかというと、その中立性の議論がされてまして、これは非常に重要な論点であったと考えられる。

今後、是非その専門家、専門性の議論もしていただきたいなと思っている。というのも新しいタイプのアドバイザーには、ポートフォリオ型のアドバイスの専門家になっていただきたいと考えているからだ。

金融リテラシーが高くなく、資産形成層であると言うことになると、投資手段はもはやポートフォリオ型の運用以外にはないと思う。

相場状況を見ながら、単品推奨している単品の売買をしている場合ではない。ただそうすると、日本にはまだポートフォリオ型アドバイスをできる専門家、特に個人向けの専門家の方々が少なく、しかも見える化されていないところが課題になるのではないか。

新しい機構の元で新しいアドバイザーを育てていくというのであれば、この方々にはポートフォリオ運用の専門家として、個人に対峙していただきたいと考えている。