政府がCFP資格者向け投資助言業新枠を検討/【金融当局主要会合傍聴録】顧客本位タスクフォース第3回会合(2022/11/7)

金融庁が、家計に総合的なアドバイスを提供するファイナンシャルプランナー(FP)の一部資格保有者などを対象として、金融商品取引法に規定される投資助言業の枠組みのうちに、営業保証金などの登録要件を緩和した特別枠を設ける方向で議論を進めていることが複数の関係者への取材でわかりました。11月7日に金融庁で開かれた「顧客本位タスクフォース」の第3回会合では専門家委員から、政府が別途検討している金融教育専門の公的機関の新設計画と呼応する形で、中間層向けのアドバイスがビジネスとして成立するよう制度的な後押しを求める声が上がりました。

非兼務者対象に登録要件緩和か

(「金融当局主要会合傍聴録」は、株式会社ブルーベル発行「市場政策レポート」のnote版です)

顧客本位タスクフォースは、年末に政府が公表を予定している資産所得倍増プランの具体策を詰めるため、首相の諮問機関である金融審議会傘下に設置された作業部会です。国が推し進めている「貯蓄から投資(資産形成)へ」の流れを勢いづけるため、国民の金融リテラシーをいかに向上させるかが一つの論点になっています。

これまでの金融審の議論では、証券会社や銀行など既存の金融機関の営業担当者が投資に関するアドバイスを提供する場合、手数料の高い商品やサービスに提案内容が偏るなど、金融機関との利害の不一致によって顧客に不利益が及ぶ「利益相反」が生じる可能性が問題視されていました。金融機関からの報酬やキックバックによって提案が歪められる心配のない中立的、独立的なアドバイザーをいかに育てるかが課題として浮かび上がりました。

そこで今回、白羽の矢が立ったのがFPです。FPは実態として、その大半が証券会社や保険会社などの金融機関に所属し、証券外務員や保険募集人を兼務していますが、一部には個人事務所などを開業している実務者も存在します。

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