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夢をそのまま文章にする④

とても朧げだったり、妙に現実的だったり、夢はフィクションなのかノンフィクションなのかさえも曖昧なときがあります。或いは、虚構と現実が入り混じり、化学的反応を起こし、複雑な物語を編み出すときもあります。そのような、自分が見た夢をそのまま文章にします。しかし、あくまで夢なので、見たとき、かつ覚えていたときに限り不定期に更新します。暫くは、過去に見た夢でメモ的に記録したものの中から文書を推敲して掲載していきます。登場する人物、団体、地名などは現実のものもあれば、夢の中で生み出された架空のものもありますが、なるべく見た夢のまま表記したいと思います。また、夢なので、作文のセオリーに則って、段落を変えたり、一部を強調したりというような小説的な手法は極力排除し、基本、改行なしの一文として記します。夢の長さには長短があり、そしてそもそも夢というものがシームレスな構造上、意図的に時間を長くしたり遡ったり進めたりもしません。夢の始まりから覚醒まで、見たままの時間軸で記します。それではみなさん、今宵も良き夢を。

第四話 隠された秘密

まもなく閉鎖されようとしている旧日本軍の施設のようなところにいる。先ほどから廊下をコツコツと歩く音が聞こえてきて、部屋から廊下を覗くと長靴を履いた女性将校が角を曲がるところだった。旧日本軍に女性の将校はいない筈だが、背筋をピンと伸ばし凛々しく歩くその将校は確かに女性であった。遠ざかる長靴の音を聴きながら、部屋の机の足元に落ちている徽章のようなものが目に入った。屈んで拾いあげると、それは何かの部隊を表すような数字とアルファベットが入った七宝焼きの章で、濃紺の地に白く文字が抜いてあった。旧日本軍のものならば算用数字やアルファベットを用いることはないと思い、窓から射し込む一条の光に照らしてみたが、融けた釉薬によるガラス様あるいはエナメル様の美しい彩色が光るだけで、その徽章が何を意味しているのかを知る手掛かりはなかった。ふと後ろに人のいる気配があり振り向くと、先ほど廊下を歩いていた女性将校が逆光の中に立っていた。あっと声を漏らしたそのとき、夢から覚めた。

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