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コスプレ撮影における写真の加工(レタッチ)とは何か?~共通理解を得るために~ (最終更新日:2023, Jul.1)


1.はじめに

コスプレ界隈では「加工までがコスプレ写真」という言葉をよく耳に巣r7宇。
近年「盛れ写真」を撮るためのスマホアプリの発達によりコスプレ関係者以外でも大幅な写真加工をする人が増えているが、それでもコスプレ写真に比べると加工量は少ないと想像する。

コスプレ写真における「加工」とは何だろう?
コスプレ界隈で良く議論になるのが、
・加工はどこまでしていいか? (これはいろんな文脈で語られる)
・加工は誰がするのか?
・加工のためのツールは何を使うのか?
・加工の技術とは?
あたりではないだろうか?

特にカメラマンとレイヤーで「加工」という言葉にどのような内容が含まれているかの共通理解が確立している訳ではないのではないだろうか? (無論、気心の知れた関係なら共通理解がある場合もあるだろう)
少なくとも初心者カメラマンの小官はそのような事例 (加工の定義) を存じ上げない。

そこでこの記事では「コスプレ写真における加工とは?」を (無謀を承知で) 一覧化してみようと思う。

なお本記事では「加工」と「レタッチ」はほぼ同じ意味であると解釈している。

2.コスプレ写真完成までの流れ

加工内容の一覧化の前に、コスプレ写真を撮影してから、完成 (多くのコスプレ写真はなんらかの方法で公開やレイヤー自身用のライブラリの作成といった利用を目的としていると思われるので、利用できるレベルに達する) までの流れをざっと明らかにしていこう。

  1. 撮影し、編集環境へデータ移動する
    カメラマンはほとんどの場合、データをPC/Macで取り扱う

  2. 選別する
    撮影した複数のデータから作品として仕上げる写真を選ぶ。
    小官は、テストショット (明るさ調整や構図決めのために撮影した、作品として完成させることを意図していなかった写真)や、明らかなミスショット (ピントを合わせる場所を間違えてボケボケの写真、手ブレや被写体ブレなどでボケボケの写真、ストロボの発光不良で露出が不適切な写真、など)以外は、全てレイヤー様にお渡しするが、レイヤー様側で更に「使えそう」な写真を選択しておられることは言うまでも無いだろう。
    そして、おそらくレイヤー様側での「加工」は選択されたデータに対して行っておられると推察する。
    加工してみて「使えない」と判断するケースもあるだろうが、少なくとも全てのデータを加工することは無いと推測する。

  3. カメラマンが加工する
    加工内容詳細は3項参照。

  4. 受け渡し可能なデータ形式に変換する
    撮影時あるいは加工時には JPG以外の形式 (JPGは加工すると画質が低下することが多いので、加工時には画質が低下しづらい形式=RAW, TIFF他) で取り扱うことが少なくない。
    だがJPG以外の形式は取り扱える環境が限定される。
    そのためカメラマンからレイヤー様にお渡しするデータ形式はJPGであることがほとんどであるので、受け渡し前に撮影/加工用の形式からJPG形式ファイルへ変換する必要がある。

  5. ファイル名を変更する
    撮影時に生成されるデータファイルには「IMG_0000」といったファイル名が割り振られる。だがこれでは何のファイルかがわかりにくい。
    そのため内容をより理解しやすいファイル名に変更する場合がある。
    例えば、
    20230601_StudioXYZ_001.JPG
    2023年6月1日にスタジオXYZで撮影した1枚目の写真を示すファイル名の一案である。

  6. ファイルをまとめる
    複数のファイルをバラバラに送ると送付・受け取りとも手間が多くなるので、一つのファイルにまとめて送受信することが多い。
    一般的に使われるまとめファイルの形式は ZIP であろう。
    ZIPならほとんどのシステム (PC/Mac/スマホ他) で取り扱い可能だからである。

  7. カメラマンからレイヤー様にお渡しする
    手段は問わない。ネット経由 (有名なのはギガファイル便) や SDカードに格納して渡す場合もあるだろう。

  8. レイヤー様が加工する
    加工内容詳細は3項参照。

これらの手順は一部前後するものもあり、また省略される手順もあると考える。例えば、3.のカメラマン側での加工、5.ファイル名の変更、を行わないケースも少なからずあると考える。
またデータ選別は、カメラマン側だけでは無くレイヤー様でも行われると考える。
あるいは、カメラマンでは選別は行わない、以下のような流れの場合もある。

  1. 撮影する

  2. 全データをレイヤー様にお渡しする

  3. データを選別する
    レイヤー様がデータを選別し、加工対象とするファイルをカメラマンに伝達する

  4. カメラマンが加工する 

  5. 加工済みデータをレイヤー様に送付する

  6. レイヤー様が加工する

3.加工とは何をすることか

ここからが本題である。
小官のこれまでの撮影経験と、そしてネットなどで見聞きする情報を元に、コスプレ写真の加工とはどんなことをすることなのか?を列挙してみる。

「これは違う」とか「他にこんなこともある」というご指摘があれば、ぜひコメントいただきたい。なお、項目間で一部重複している、あるいは類似している項目があるが、画像の加工方法が複数種類あるためである。

1) 明るさ調整

全体的、あるいは部分的に画像の明るさを変更することを指す。調整方法はツールごとに多種あるため、詳細は触れない。

2) 色調整

カメラで撮影し表現された色が何らかの理由でカメラマンやレイヤー様の表現意図に合わない場合、全体的、あるいは部分的に色調を変更することを差す。
・ホワイトバランス調整
・色被り除去
・カラーシフト
・彩度や色相の変更
・モノクロ化
・セピア化
などが含まれる。

3) トリミング

何らかの理由で、撮影画像の一部だけを取り出して最終作品に仕上げることがある。
・少し広い範囲を撮影しておいて不要範囲を削る
・不要物が映り込んでいる範囲を切り取る
・構図や縦横比を変更する
などが含まれる。

4) 不要物除去

撮像素子上やレンズ上に付着したゴミが映像として映り込んだ場合の消去、撮影範囲に存在した表現意図と異なる物体の消去など。トリミングでは除去できないような不要物を消去する。

5) 肌処理

レイヤー様の理想とする肌の状態を写真上で実現するために実施する。
・肌荒れ/ニキビ/シミ/シワ/ほうれい線などの改善
・リフトテープの消去
・筋肉スーツなどの境界線のボカシ (実際の肉体であるかのような表現)
・筋肉スーツなどの肌の質感をレイヤー様の実際の肌の質感と合わせる
などが含まれる。

6) ボディパーツの整形

レイヤー様の身体部位の形状や色調を整える。
・眼/鼻/耳/フェイスライン/ボディラインの変形やサイズ変更
・瞳/肌/髪の毛の色の変更
などが含まれる。

7) 特殊効果の追加

撮影時には存在しない物体などを付け加える。
・実在しない物体 (霊的な存在/使い魔/瞳の★etc) の追加
・特殊な表現効果 (炎、稲妻、魔法表現、擬音etc) の追加
などが含まれる。

8) 疑似動画化

GIFアニメなどに変換する。
特殊効果を動かす場合なども含む。

9) 複数画像の切り貼り

いわゆるコラージュである。

更新履歴

2023/07/25 一部表現変更
2023/07/01 新規公開