初恋という狂気の日々 第三十八章〜三十九章

第三十八章 困惑の連続

修学旅行も終わり、普段の学校生活となって 数日が経った。最後に修学旅行の行動班に残された仕事として、修学旅行の新聞作成がある。私達は役割分担をして その作成に取り掛かった。

役割構成としては、三十章で書いた時と同じで
・決める人 温厚さん 美人さん 私(テラバド) 
・従う人 男A 男B 男C 
といった感じである

授業時間を使って制作をしていたが 真剣に取り組んでいる為 時間が足らず、居残りをして制作することになった。 しかしながら 従う人 全員にまで居残りをさせるわけにはいかないので、決める人達だけで居残りをすることとなった。

制作してる中で、修学旅行の思い出話が出てくる。
その中で 三日目の話題が出てきた
温厚さん「三日目の○○も良かったよね〜 あそこ行きたかったから〜」
私「そうよな 俺も気になってる場所やったな まぁ他の班も結構いた辺り、気になっていた人多いんやろうけども…」
温厚さん「わかる! そういえば 三日目で思い出したんだけど テラバド(私)はもしかして………」
温厚さんが質問をしようとした瞬間に、 同じ役員の天狗(二十四章 登場 紹介済)が温厚さんを呼びに教室に来た。

天狗「会議あるだろ はよ来いよ」 
温厚「ごめん 忘れていた じゃ行くね」
こうして私は質問内容が気になりつつも、制作担当に美人さんと二人で行うことになった。

そうして作業をする中で共通の趣味や好きな作品の話しながら作成していると、自然と時間は過ぎていった。
そうして数十分過ぎて終わったから 帰ろうとした時 急に絢辻さんが「あ、ごめん 二人で良いとこ邪魔しちゃった?w」 と茶化しながら、温厚さんと一緒に教室に入ってきた。

私は困惑しつつ返す 「邪魔も何もないやろ… 丁度終わったとこやしな ってか週末会わん?」
絢辻さん「週末なら別に平気だよ」

この時 ふと教室内から視線を感じると、やはり 温厚さんが何かを納得した表情で見ているのだった。
そうして やるべきコトも終わり 皆が帰宅する流れとなった。
三人と下駄箱で別れた後に、帰り道で天狗と出会ったので一緒に帰ることにした。
数分歩いていると、天狗が話しだす「お前 美人も温厚も好きだろw」 私は 「は?根拠は何だ」と問い詰める 天狗は続ける「図星か?w 根拠は簡単だ 温厚を呼びに行った時に、お前が凄い不機嫌な顔をしたからな 美人に関しては前から何となく噂があったし、よく喋ってるから尚更だw」
私は平然を装いつつ返事をする「へぇ 君にしては珍しく 変な考え方じゃないね でも見当違いだな」 
しかし内心では困惑だった ❨たしかに不機嫌な顔をしたけど、それは質問内容が気になったからで……
そして美人さんが好きって噂は前から流されてるんだよな……※第十八章参照❩
天狗「へぇ? 無理に否定しても俺の目には騙せねぇよ ま、俺が好きって情報 流してやっからwww」
私「はぁ……事実ならまだしも そうじゃないのを流されても……そもそも好きな人いないし…」  

こうして分岐路に着くまで、好きな人詮索は続いた

第三十九章 遠慮と気遣い

そうして前章から数日後 週末となり、私は約束通り絢辻さんに会いにいく

絢辻さんが話し出す「あの時 話しかけてくれて ありがとうね 流石に誰かしらに話さないとやってられないわ」
私は同情する「そりゃ あの雰囲気やとなぁ……」
絢辻さんは溜まりに溜まった本音を曝け出す「全く何とかならないかねぇ…  男女で対立は激しすぎるし、お互いに譲歩はしないし…  “職人もちょっと頼りないし…… ”とりあえず言えることとして、少しくらい大人の対応 出来ないのかしら?

この時 私は 動揺した 何故なら ライバル視していた 職人くんに対して“頼りない”と発言したからである。
私はそのせいで返答に時間がかかった。

絢辻さんは様子を窺う 「ん? なにかあった?」
私は咄嗟に職人くんの話題を出す「え、あ、いや 同情していたんだよ。 でもやっぱり仲良い職人くんがいたのは不幸中の幸いなんじゃない?」
絢辻さんは考えながら話す「たしかにねぇ……職人は昔から関わりあるけど、そういう話をする流れは無いからねぇ……向こうも困っていたみたいだし」 

それを聞いた時、私は彼女に対する同情と同時に安堵の気持ちが湧き出て、複雑な心境であった。

そんな心も人知れず 絢辻さんから質問される
「逆にどうだったの? 特に班活動」

予想外の質問に私は言葉を詰まらす 
内心では様々な考えがあった❨ここで安易に楽しかったなんて言ったら、それこそ嫌味になる… けども変に嘘をつくと それはそれで怪しまれる……中々に難解な質問だ❩

濁しつつ答える「え、あ、いやまぁ円滑に班活動が出来たから その点は良かったな〜って でも初日が面白かったかな」

絢辻さんは同意する「そうねぇ 初日だけで充分だったわ……」
ウンウンと私が頷いてると 絢辻さんは不思議そうに聞いてきた
「でも テラバドなら二日目の方が楽しかったって言うと思っていたから意外ね  まさか あの班員でイマイチだった。なんてことないでしょw」

私は焦る 「え?あ、いや まぁ二日目も楽しかったよ 
メンバーも良かったしな… ただ詞(絢辻さん)の言う通り 初日の方が新鮮だったから印象深いかな〜って………」

絢辻さんは疑う「ん? それなら素直に二日目楽しかったって言えば良いじゃない 何でそんな歯切れが悪いの?」

私が白を切って否定すると、彼女は不思議そうに聞いてきた「LINEとかでもたまに感じるけど、全体的に遠慮してない?  何なら、私を恐れてる様に感じる時もあるけど どうして?」

私も諦めて率直に話す「いや 君はつまらない思いをしたのに、俺だけ楽しいって話をしてもアレかなって思って……」

絢辻さんは少し呆れた顔でまた聞き出す
「気遣いはありがとうね でも別に、そんな必要ないわよ じゃあ恐れてる様に対応する時があるのは なんで?」
私は言葉を詰まらす。
内心では❨好きだから 嫌われたくないって気持ちもあるけど、それ以上に裏の顔の君がスゲー怖いのを、さんざん見てきてるからなんだよなぁ そんなこと話したら、怒られるから言えんけど……❩

そう考えながら答える「 いやまぁ自分が小心者だから、こう言ったら嫌われるかな〜とか 気にしてしまうんよ。だから恐れてる様に見えるのかもしれん」

絢辻さんは相変わらず呆れてる
「あんたが小心者ねぇ……w どう見ても その逆だと思うけどもw 」
「いやそこは否定するんかい」と思わず 突っ込みを入れてしまう 
絢辻さんも笑いながら返す「そりゃそうでしょw あんた結構 図太いからね?」 

私は苦笑いするしかない 

その反応を見ると絢辻さんは「たしかに私は裏表で全然違うかもしれないけど、 だからといって そんな私に変な気遣いとか大丈夫だからね」
その時 彼女はキョトンとした顔だった

そうして時間になり お互い帰宅した。

この記事の時点での時系列 中学3年生 春〜夏 出会って五年以上

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