初恋という狂気の日々 第四十四章〜四十五章
第四十四章 下駄箱の揉め事
体育大会も終わり数週間が過ぎて夏休みも近くなってきた時期だった
私は準備を済ませ、帰宅しようしていた。
廊下を渡り、階段を下ってすぐの下駄箱に着くと 何やら揉めている雰囲気が感じ取れた。そこには美人さんと温厚さん そして天狗がいた。
遠くから見る限り、天狗が高圧的な態度でダル絡みをして 二人が面倒くさそうにしてる感じである。
私はゆっくり近付き 三人の様子を伺うと 揉めてる要因がわかった。
一言で話すと “天狗が思春期特有のセクハラ混じりな行動をし、 それから避けようとしている” そんな感じである。
私は天狗に呆れつつ注意をする「君が、いくら 美人さんを気になるからって そりゃ無いんじゃないの? それだと嫌われるだけでしょ」
天狗も負けじと強気な態度「俺は自分に素直なだけ 嫌われようが知ったこっちゃない そういうお前は美人をカバって狙っているんだろ?」
私も面倒なので テキトーに対応することにした
「あぁはい……勝手に思っててくださいよw」
そうして 何とか 天狗をあしらうコトができ、二人の無事を確認すると お互い帰宅した。
第四十五章 顔面偏差値
そうして 前章から数日後 絢辻さんと会う約束をしていたので、 この話題を出した。
「この間さぁ 美人が天狗に絡まててかわいそうだったんよ 」
絢辻さんは驚く「えぇ?本当? どんな感じで?」
私が簡潔に説明すると、絢辻さんは軽蔑する様な眼差しで喋りだす「あぁ……またか……アイツを目障りだと思っていた 私の目に間違いはなかったわね……
どうにかしてアイツを同じ役員から退かせないからしら………ねぇ……」
私の方をチラッと見ながら愚痴をこぼす どうやら絢辻さんは心底 天狗に嫌気が差している様だ
私は思わず その視線にドキッとしてしまった。そして つい見栄を張ってしまう「退かせるかはさて置き、俺が出来そうなコトなら何でもするよ」
絢辻さんはその言葉を聞くと
「本当?! やっぱり頼れるのは貴方しかいないわ」
と嬉しそうな反応だった
私は この言葉を久しぶりに聞いた途端 やはり絢辻詞様に全てを捧げるのが生きる意味だと確信するのであった。
そうして数分間 雑談を続けていると私はある疑問が浮かんだので彼女に聞く
「そういえば さっき “またか”って発言していたけど 前はどんなことが あったの?」
絢辻さんは呆れながら話す「いやねぇ……アイツ 温厚ちゃんにも似たようなコトしかけてたのよ」それを聞いて 私も一緒に呆れる
絢辻さんは続ける「全く いくら年頃だからって………ねぇ…やめてくれないかしら 二人がかわいそう でもたしかに二人とも顔面偏差値高いからなぁ…… 」
私はうなずく「たしかに 美人は綺麗だし、温厚さんは可愛い系だよね」
絢辻さん「そうね〜 その点 私はそういう心配はないから安心 安心」
それを聞いて私は彼女に注意を促す「いやいや 詞も天狗と関わる機会は多いんだから、気をつけなきゃだめやろ」
絢辻さんはキョトンとする「ん? いや あの子達は顔面偏差値高いから リスクがあるけど、私は顔面偏差値 大したことないから 平気でしょ」
私恥ずかしくなりながらと否定する「いやいや そういう話じゃなくて 万が一ってあるからな…… というか…詞は…別に……」
絢辻さんは不思議そうに見つめる「別に?…」
私は言葉をつまらせながら続ける「別に……顔面偏差値……低くは……ない……と思うけど」
絢辻さんは笑い出す「あーw お世辞上手いわねw」
私は困りつつ話す「いや……君の雰囲気が好きって人も……誰かしらはいるんだから………」
絢辻さん「えー?いるのそんな人………って……あ…」
最初は鈍感そうに話していたが、途中で意図を察したのか、申し訳なさそうな表情になっていた。
私はうなずくと 彼女は「ありがとう」と応えた
この記事の時点での時系列 中学3年生 夏 出会って五年以上
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