初恋という狂気の日々 第三十四章〜三十五章

第三十四章 絶望 

前章から数週間が経ち、いよいよ修学旅行当日となった。
修学旅行は新幹線移動なので、あらかじめ決めた席配置を基に座っていく
私は同じ班の温厚さんや美人さん 他にも別の班員達と一緒に大富豪やババ抜き 王様ゲームをやって時間を潰すことになった。
次第に盛り上がって来ると、他クラスの愛嬌さんらも混ざって 次第に参加人数も増えてきて、より賑やかさが増した。

その時に 私は❨愛嬌さんも来たんだし、絢辻さんも来て欲しいな❩という欲望がよぎった
そうして居ても立っても居られなくなったので、トイレに向かうフリをして、絢辻さんの座席の方へ向かった。 


その瞬間 私は絶望に打ちひしがれた


絢辻さんの隣席に職人くんがいて楽しそうに喋っているのである
しかも仲睦まじい様子で、お互い冗談を言い合い距離が近い
しかも絢辻さんの表情はいつもの真面目で堅い雰囲気とは違って 優しく心から笑っている顔なのだ

その時 私は心の中で呟いた❨あんなに嬉しそうな表情は私の前でしか見せないと思っていたのに……❩ 
そしてその瞬間に 私は気づく  “自分は無意識の内に傲慢な思いを彼女に対して持っていた”……と 

私は“自分に対して” 反省の念や羞恥心 それと同時に
“職人くんに対して ”羨ましさ 妬ましさ” そして絢辻さんに対して “話しかけたい気持ち” 等が込み上げてグチャグチャに混ざりあった 

 そして私は 少しでも爪痕を残さんとばかりに、絢辻さんに話しかけに行った  しかし近くに行っても 彼女は話に夢中で私には気付かない 

スキを見て話しかけた瞬間に彼女はやっと気づく
そして楽しそうだった表情から一変 スッと遠くを見つめる様な顔になる 
私「あっちで愛嬌さん 美人さんとかとトランプゲームやってるけど どう来る?」
絢辻さんは何処か他人事な雰囲気で返す「え? あぁうん 誘ってくれてありがとう 後で行くかも」 
私「わかった じゃ待ってるよ〜」

しかしながら 絢辻さんはトランプゲームに参加することはなかった

第三十五章 不誠実

新幹線を降り、バス移動をしながら 様々な場所を巡っていき 無事 一日目が終わった。
そうして夕食の時間となる 夕食は隣クラス合同のバイキング形式なので、私はここで絢辻さんと喋る機会を探ることにした 
けれど いくら隣クラスとはいえテーブルが離れている。だから 中々機会に恵まれない そうしてる内に、テーブルに戻り食事となった。 
ここで席配置を軽く説明する  

 男①             私   
机□□□□□□□机
   温厚さん   美人さん

こんな感じであった 

そんな中で 話題が“優しい人”となった 
男①がふざける 「優しい男と言ったら 俺だろwww」
私は苦笑い 
男①がより調子に乗る 「俺 優しいだろ? あんた達も(温厚さん 美人さん)もそう思うやろ?w 」

その瞬間 彼女らは笑顔で毒舌を二人で吐く「いや〜それは無いかな〜www あんたよりテラバド(私)の方が優しいよ」 私は不意をつかれて驚く 
男①がキレだす 「はぁ?! 俺よりコイツがいいのかよ! 仮に彼氏にするとしてもか?!」
二人は返す「少なくとも あんたみたいに暴言は吐かないよね。 恋愛どうこうで考えたことないけど
どう見ても あんたよりは優しいでしょ」
私もまんざらでもない表情で返す「ありがとうございます。二人の様な素晴らしい方に言われると、嬉しいです」 それを聞いて男①「良い気になってんじゃねぇぞ!」と私にキレだす 無論 ふざけたノリではあるが

しかしこの時 内心では真面目に考えていた❨もしかしたら絢辻さんに対する想いも この二人に対する想いに変わるかもしれないな………今は好きかわからないけど、対象が変わりつつある可能性も無くはない❩  


そんなコトを考えつつ おかわりを取りに向かうと
並び順の前に絢辻さんがいた  向こうも気づき 
喋る流れかと思ったが、特段会話もせず お互い会釈をして終わった

そのせいか私は❨やっぱり喋れないのは辛いけど、もう変わる時なのかもしれない❩ という思いが 先ほどより強くなった

終いには❨絢辻さんがそうなら仕方ない 私もあの二人なら同じクラスだから より関わる機会もあるし…❩
そんな不誠実な考えまで浮かんできてしまった

そんな ぼんやりとした気持ちを抱えつつ 各々は宿泊部屋に戻った

この記事の時点での時系列 中学3年生 春〜夏 出会って五年以上


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