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初恋という狂気の日々 第十八章

 第十八章 噂の収束は突然に……

 合唱コンクールの練習も終盤に差し掛かり、クラスも比較的まとまってきていた
そうして 合唱コンクールは無事終わり 絢辻さんのリーダシップもあってか優秀賞が取れた
最優秀賞は温厚さんのいるクラスだった記憶がある

そして数日後に行事で頑張っていた人を学年で表彰するみたいな会が開かれた 絢辻さんはもちろん選ばれていたし、他クラスだと温厚さん(第十二章 参照)等といった いわゆる優等生の人達が選出されていた記憶はある 

 私は恥ずかしながら 温厚さんに対して僻みを基にした見方をしていたので、優等生は絢辻さん一人で充分であり あなた(温厚さん)は出る幕ではない みたいな考えを脳内で唱えていた

ちなみに賞を貰った時 絢辻さんは仮面モードなので、「私だけの頑張りではなく周りが〜」みたいな感じで当たり障りないコメントを難なく残したが、後日 私に本音を吐露した時は 

「ろくに仕事できない輩と切り替えできない子供っぽい連中もいるんだから、あたしがやるしかないでしょ? まぁあそこまで上手くいくとはあたしも思ってなかったけどね やっと面倒な仕事から一つ開放されて良かったわ 」

やはり このギャップが凄い そして さすが天下無敵の仮面優等生 だと痛感させられた

また 賞を貰っている時 周りの数人が質問してきた 「結局 絢辻さんのことはどう思っているの?」トーンからして真剣そうだった 
私は何食わぬ顔で「クラスメート」と答えた 
周りはえ?好きじゃないの?という反応 私は「たしかに凄い人だと尊敬はしてる」と返答すると、周りはつまらなさそうにして その日は終わった 

 そうして たまに茶化されたりする日が続いていたが、ひょんなことから 状況は変わった

ある日 絢辻さんと私が会話をしていて 美人さん(第十章でも登場)が綺麗という話になり、誰だか知らないが 美人さんを綺麗と私が言っている場面を盗み聞きしていた様である  


ではここで 一旦 美人さんについて紹介していく 

美人さん(以下 美人さんor美人【人物名】等と表記)
・文字通り美人(学年で一番といっても過言ではない)
・見た目の雰囲気は福原遥さんに似ている
・私と絢辻さんと美人さんはこの時点で同じクラス
 ・私とは小6辺りから頻繁に話す様になり お互い名前で呼び合う位には仲は良い
・絢辻さんともソコソコ話す
・あまり男子とは話さず 仲の良い数人の女子と喋るタイプ
・性格は温和で優しい ・読書好き 
・典型的清楚美人 ・成績優秀(クラスで3位くらい?)
・高嶺の花が故 逆に彼女を狙ってる人は少なかった

 余談だが 癖のある絢辻さんじゃなくて、優しく温和な美人さんとも仲が良いのに、好きにならなかったのはなぜか?とたまに聞かれる 

たしかにそう思って当然だろう しかし絢辻さんの魅力はギャップ萌えがあったというのが理由の一つにあるからで、他にも様々な要因があるのだが、これ以上書くと長くなるので また後の章で詳しく触れることにする


瞬く間に噂は広がった 私は最初こそ やべぇ面倒なことになったと思ったが、ふと考えがよぎる

“あれ?これもしかして 美人さんが好きって噂が広まれば 茶化しも減るし、絢辻さんが好きという本心がバレないのでは?”

美人さんには迷惑な話だが、あえて私は否定しない路線を取ることにした 
 どういった感じかといえば、「美人さんが好きなの?」と聞かれたら びっくりして焦る動作をしながら「まぁ綺麗だとは思ってるよ…」と返答するといった具合である  
そうして周りからはテラバドは美人さんが好きという認識が広まっていったが、美人さんは気にしないタイプで優しかったことも相まってそのまま 今までの様に関わってくれた 改めて感謝を申し上げたい 

その噂のおかげもあってか、絢辻さんと喋っていても目線は全く気にならなくなったし茶化されることもなくなり、私が周りを気にせず美人さんと話していたからか、飽きたのか知らないが冬休み直前には収まっていった

この記事時点での時系列 中学1年生 冬 出会って3年以上


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