見出し画像

1223水曜日には図書館に行く

水曜日には図書館に行く。

TSUTAYAのDVDレンタルが水曜日に半額になるのを狙って、そこそこ遠いTSUTAYAと図書館はまとめて行ってしまおう、という感情から生まれた毎週水曜の楽しみであった。
しかし、暴力や殺人、セクシュアルマイノリティに関するの表現が含まれるものを嫌う父からの圧によって、映画を見ることを制限された今、ついでの習慣だったはずの図書館通いだけが残った。

満足に本の流通しない田舎の、人もあまり来ない図書館には、子供を連れた母親向けの料理本や雑誌ばかりが充実して、私が読みたい本はほとんど無い。

ずっと気になっていたけど読んだことがなかった火の鳥を、毎週2冊ずつ。他の本と合わせ5冊になるよう借りていたのだけれど、今日行くと私が返した刊以外が全て無くなっていた。聞いてみると、子供のカードも使って11冊ごっそり借りていった人がいるらしい。1回で借りられるのは5冊なのに、そんなことするんだ、と思ってめちゃくちゃ面白くなっていた。

年末だし、少し時間をかけて読めるようなものを読みたいなと思いつつ、幼稚園の頃から通っている場所だ、既に読みたいものは読み尽くしている。

2時間近く執拗に棚を見て、首を傾げ、日本の名随筆集(陶、性、香の)3冊と、世界文学全集(ゾラとモーパッサンが収録されたもの)と、カフカの作品集を借りた。
正直全部読んだことがあるので、うーんという感じなんだけど、改めて読もうかなと迷っていた名前を一応選んだので年末年始はどうにかなりそう。本当は火の鳥が借りたかったんだけどな。

アイリッシュコーヒーを作るために、ウイスキーと生クリームを買って帰る。寒くなってきたから、温かいものを欲するようになった。小学生ぐらいの頃は、冬でも冷たくないと嫌だと思っていたけど、温かいものばかりを手に取る。老いを急激に感じている。まだ20歳なのに。

指先が冷える。靴下を家の中で履くのだけはまだ慣れないけれど、足を伸ばして眠れない。

胎内にいる時、誰しもが猫背だな、と思いながら肌触りの良い毛布を顔まで上げる。