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2024年6月29日

2024/06/29 05:32

「あぁーーーーー!」
「ああああぁああーーーー!!」

ある昼下がり。私が住む商店街に突如響き渡る大きな声。
甲高いよく通る声だった。
びっくりしたのは一瞬で、そのあとは「うるさい」と感じた。
声の主を探しに外に出る。ランドセルを背負った小学生三人組だろうなと予想していたが本当にその通りだった。
どうやら下校途中に遊んでいるようだ。

さて、なんと声を掛けよう。

「うるさいぞ!」
「静かにしろ!」

これは私らしくない。

「ここでは静かにしてね」
「ここでそんな声を出してはいけないよ」

これも違う。そもそもお前は何様なのかと自分に聞きたくなる。

とりあえず横を通ってみた。
小学生にチラ見される。三人は誰が一番大きな声が出せるか競い合っているようで、各々が全力で声を出している。真横を通り過ぎるタイミングでそれを喰らったのだが、これはキツイ。耳が痛いのと、なぜか私の方も恥ずかしくなってきた。

小学生の横を通り過ぎて背中を見る。路地から出てきた老人が小さな声で「うるせぇぞガキ」と言っていた。直接言えない気持ちは分かるが、かっこ悪いぞ老人。

ターンしてもう一度小学生の横を通り、店に戻る。
もう少ししたら私の店の前を通る。さて、どうやって声をかけようか。

私の耳のためにも、そして小学生のためにも、注意したい。
小学生のためにという部分が重要。彼らは早かれ遅かれ怒られる。先ほどの老人みたいな人かもしれないし、また別の誰かかもしれない。
止めてあげられるのは私しか居ない。芽生えた使命感は止められない。

店の前を小学生が通る。
身体を半分ほど出した私が小学生を見ると、目が合った。
「あっ」みたいな顔をした小学生。
私は声を出さず、自分の唇に人差し指を縦にあてた。
「しーーー」

これで、いいのだ。

2024/06/29 05:47

タイマーが鳴ったので今日はこのへんで。

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