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【読書】『私、誰の人生もうらやましくないわ。』児島令子

死ぬのが恐いから飼わないなんて、
言わないで欲しい。

「おうちを汚すから飼わないというなら、
犬はお行儀を身につけることができる。
留守がちだから飼わないというなら、
犬はけなげにも、
孤独と向き合おうと努力するかもしれない。
貧乏だから飼わないというなら、
犬はきっといっしょに貧乏を楽しんでくれる。

だけど・・・
死ぬのが恐いからって言われたら、
犬はもうお手上げだ。
すべての犬は、永遠じゃない。
いつかはいなくなる。でもそれまでは、
すごく生きている。
すごく生きているよ。
たぶん今日も、
日本中の犬たちはすごく生きていて、
飼い主たちは、大変であつくるしくって、
幸せな時間を共有してるはず。

飼いたいけど飼わないという人がいたら、
伝えてほしい。犬たちは、
あなたを悲しませるためにやっては来ない。
あなたを微笑ませるためだけにやってくるのだと。
どこかの神様から、
ムクムクしたあったかい命を
預かってみるのは、人に与えられた、
素朴であって高尚な楽しみでありますよと。」

 (日本ペットフード 企業広告 2003年)



「あした、なに着て生きていく?」など数々の名コピーを生み出してきたコピーライター・児島令子による初の作品集。

広告コピー集、なのだけれど、
「コピー」の枠はらくらくと飛び越え、
これはもう、もはや詩集、完全に文学。

商品を買いたくなるというより人生を生きたくなる言葉の数々に、
背中を押され支えられ、「さあ生きよう」と思える本だった。



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