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ルー大柴化が進む私

突然ですが、みなさん「ルー大柴」さんご存じでしょうか?今でもテレビで時々見かける、あの顔の濃いおじさんです。

90年ぐらいに突然どこからともなくテレビに現れたお笑いタレントで、自分のことををミーと呼び、少し大袈裟なカタカナ言葉を話します。

当時「笑っていいとも」の全盛期。ルー大柴さんもその中の何曜日かを担当していたように記憶しているけど、違ったらごめんなさい。とても顔が濃くはっきりした眉毛と腹話術のお人形のようなぎょろっとした目が特徴です。

私は結構好きでした。変な人だけど優しい。誰かを傷つけたり下げたりすることなく、ただ単に話し方や話の内容でなんとなく笑ってしまう。

随分話がそれてしまいましたが。。どうしてルー大柴さんかといいますと。ここからが本題。

最近、私がかなりルー大柴さんに寄ってきている、という話をしたかったのです。

つまり私の日本語がおかしいことになっているという話です。薄々気がついてはいたけれど、とうとう先日長男に指摘されてしまいました!

「僕の日本語ちょいちょい直すけど、お母さんの日本語もどれだけ?って感じなんですけど。。。」

お笑いが大好きな長男の話す日本語はとても流暢、そしてアクセントも今風。だから余計刺さる。

「チョップスティックとかたまに言ってて。はあ?って感じだし。気づいてないよね、多分ってか絶対。」

長男の激しい攻撃はやまない。そんなこと言ってないもん・・・涙。でも覚えてないだけなのかな??チョップスティックはさすがにまずいです(汗)。

今の生活は基本英語。家で子供たちといるときは、できるだけ日本語を使っているけれど、仕事も夫との会話も全部英語。テレビをつければニュースはもちろんドラマも広告も全て英語。どこに行っても英語。それは当たり前ですよね、カナダなんだから。こういう環境の中にいても英語が上達することはまずないけれど。。。それでも英語がじわじわと染みついてきているという感じは否めません。

日本で生まれて日本で育った私は、日本語には人並みの自信があります。接客業の経験もあり、尊敬語や謙譲語の使い方も問題なし。子供たちにも聞かれればちゃんと答えてあげられます。読書も好きですし。。。。

なのに、最近私の会話の中に不思議なカタカナ言葉が増えているみたいなのです。長男曰く、結構そのカタカナ言葉は無理があるそうで。

話すときに注意してみると。確かに言いたいことを表す単語がすぐに思いつかないと、無意識に英語をそのままカタカナにしてしまっているようです。日本では通じない妙な言葉もこちらにいる日本人にはスムーズにわかってもらえるので、それに甘んじてしまってこの結果です。

そんなことを日本語学校の親子さんに話してみたら、「わかるわかる」と、とても前のめりの反応。彼女たちも同じようなことを感じていたそう。「思い出せないよね。日本語。」「そもそもぴったりの日本語ってないからね」そうなんですよ。。。そういうことなんです。

例えば。。。

「ブラックトップのガーベージだしといて。」
「フリッジにコンドメント戻して」
「ドロップオフしたところで待ってて!」

でも本来なら。。。

「黒い蓋のごみ箱出しといて。」
「冷蔵庫に調味料(マヨネーズとかケチャップ)戻して。」
「車で下ろしたところで待ってて?」

という感じ???近い・・けどちょっとやっぱりニュアンスがずれてしまうような気がするなあ。でも日本でも最近はこんな感じに近づいてきているのではないかしら???英語話す人増えましたよね!それに日本語をきれいに話す外国の方も。

コンドメントなんてぴったりする日本語はないような気がします。とても便利なのに。ホットドックなんかを食べるときにあったらいいなあと思う調味料全般がここに入ります。ケチャップ、マヨネーズ、ソース、レリッシュとりあえずソースっぽい調味料。多分お醤油もここに入ります。この英語を日本語に変えたら、やっぱりコンドメントでしょう。

たまの帰省、久しぶりに会う友達とは話が最初から炸裂します。去年の帰国時はコロナで3年分たまった近況をお届けしたかったし、聞きたかったわけで。1分でも多く話しをしたい、とても切実な思いなわけです。そうすると会話のスピードが上がる → いつも以上に私の日本語がおかしなことになってしまう。となります。

話してる時に時々友達の表情が曇って私との間に見えない「?」の文字が浮かんでいるようです。でもそれをかき消すように弾丸トークを続ける私。友達も何とか回復し会話についてきてくれていて、一応話したいことを一気に伝え一息。会話は成立しているみたいだったのだけど、ちょっと気になり友達に聞いてみます。

「もしかして、ちょっと私の話変?」

すると、友達。

「いや結構いい勉強になってるよ。英語でそういうふうに言うんだ!みたいな。」だそうです。

実際に初対面だったら大分引かれると思うけど、何十年も知り合いでいる彼女たちには少なからず今の私に至るまでのステップを踏んでくれているので、もう驚くこともあきれることもないのかもしれません。

「あーなるほどね」みたいに思ってくれているということで、結果おーらい。まあいっか。

「そういうの、良くないよ。ちゃんと反省しないと成長しないよ。」と長男、いつもの私のセリフをそっくりそのまま私に投げつける。さすが、息子よ!その通り!

でもね、思うんです。もうこのルー大柴化は多分誰にも止められない。きっとこれから、もっとひどくなっていく気がします。さすがに自分のことをミーとは呼ばないと思うけど。。。

癖のあるルー大柴さん結構好きだったけど別にそんな風になりたいとか目指していたわけではないのに、大分近づいてしまった。。。

そういうちょっと変わった人も、きっとこれからグローバルになっていく時代、増えること間違いなし!というよりすでに結構いると思います、実際。少なくとも私の周りにはかなりいます。

ダイバーシティが騒がれる昨今。こんなおかしな私でも日本に帰った時は是非仲間に入れてくださいね。みんな違ってみんないい、です。みなさんがどこかでルー大柴みたいに唾を飛ばしながらすごい剣幕で話しているおかしな人がいたら、「もしかして、あの人???」と温かい目で見守ってください。

でも引き続き、これ以上ルー大柴化が少しでも進まないよう、会話の中で諦めずに正しい日本語探しも気を引き締めて頑張ります。

画像はmaki_memoさんのシンプルなイラスト使わせていただきました。タイトルも素敵「言葉が丁寧に扱われているのが好き。」です。
肝に銘じます。


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