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Kaidan

それは、夜半に横浜の平沼橋を西口方面から桜木町方面へ渡っている時のことである。
橋の両側には自転車昇降用のエレベーターがあり、その横に階段が付いている。
音は橋の上のその降り口にいる時から聞こえていた。

着メロではなく携帯電話の呼び出し音。

しかし、階段を下まで降りても、その音の主は見当たらなかった。
それでも依然と呼出し音は響いている。
そこの階段を降り切ったところは、かつては踏切だった場所である。
音はその踏切だった方向から聞こえてくる。

だが・・・・

その方向にはフェンスがあるだけで、踏切はもう存在していない。
しかし、確かにその方向から聞こえてくる。
やがて、相鉄の平沼橋に入っていた電車がこちら側に走ってきた。
ライトのおかげで踏切付近が多少見やすくなった。

そして・・・・・・・

電車が橋の下を通り過ぎようとした時、かつて踏切で人の通り道だった所に人影が見えたような気がした。

携帯電話を手にした女性の。

怖くなって、その場を足早に通り過ぎようとした、その時!

自分の携帯電話が鳴った。

怖くて出ることができなかった.........。

もし、あの電話に出ていたら、どうなっていたのだろう........。

だから、今でも非通知の電話にはでない。
あちら側に呼ばれるかもしれないから....。

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