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ゴッホ『悲しみ』|雨夜の星の絵画帖

「悲しみ」
Sorrow
(1882)  

フィンセント・ファン・ゴッホ
Vincent van Gogh
(1853-90)

🇳🇱オランダ・後期印象派

👶 フロート・ズンデルト🇳🇱
⭐️ オーヴェル=シュル=オワーズ🇫🇷

🌎MoMA🇺🇸





 前回取り上げた『星月夜』つながりで、ゴッホです。

 ニューヨーク近代美術館のサイトで見つけました。
 線に一目で心を打たれたので、取り上げてみました。

 連作ものだそうで、こちらはリトグラフですが、鉛筆やペンを使った作品もあるみたい。↓




 絵のモデルとなったClasina Maria Hoornik、通称Sienさん。幼い娘の手を引いてハーグの街路をさまよっていた彼女を、ゴッホが見かけたのがきっかけでした。
 貧困ゆえに身を売って、お酒とたばこの依存症になり、妊娠までして(させられて)しまった彼女に、ゴッホは恋愛感情というより、同情と義の心を抱き、身柄を預かりました。結婚しようかと考えたりもしていたそうです。
 ですが、おなかの子どもを出産したあと、彼女は自分から立ち去っていったとのこと。1年ほどのご縁だったそうです。(以上、↑Wikipediaより)

 ゴッホ、いい人です😢
 そして、おなかの子の父親は悪い人です😢

 ここは敢えてきっぱりと。だって、男女それぞれに、新しい命に対して責任がありますもの。
 現代ではそのままでは済まされません。国によってはDNA鑑定してでも、父親に相応の責任を取ってもらうようになってきたのは、喜ばしい(というか当たり前の)ことですね。
(話がとげとげしくならないように、ここで終わりにします…)



 ひとりの人間として、たまたま知り合った人を、(愛ではなく義なので、幸せにはできないかもしれないけれど)不幸から救い出してあげたいと願い、継続的な関係として努力し続ける気持ちでいたこと。時々人間が見せる、真に英雄的な行為だと、私は思います。
 ゴッホ、画業もすごいですが、人としても素晴らしいです。



 パウル・クレーの線がけっこう好きなのですが、タイプは違えど、この線描もいいですね。(あっ、ムンクの線も好きです ·͜· ♡)

 この作品はゴッホにとって大切な作品だそうで、「これまで描いた中でベストな肖像」との言葉も残されているそうですよ(^^) ←鉛筆・ペン画のほうかも

I want to make drawings that touch some people. Sorrow is a small beginning [...] there is at least something directly from my own heart.

一握りの人でいいから、心にふれる絵を描きたい。『悲しみ』はその小さな一歩だ。…(略)…少なくとも、この心からそのまま流れ出た何かが、そこにはある。

同Wikipedia より

(ちょいと意訳。いま、谷崎潤一郎が書いた口語についての論考を読んでいるので…これについてはまたいずれ。)


ニューヨーク近代美術館の該当ページはこちら↓
https://www.moma.org/collection/works/67087

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